うさぎドロップ
2011年/日本
疾走感の失速について
総合 60点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
やはりSABU監督はここでも登場人物たちをいつものように走らせるのであるが、それはただ画面に疾走感をもたらすだけのものではない。例えば前半で、主人公の河地ダイキチが6歳の鹿賀りんを引き取って一緒に暮らすことになり、毎日りんを担いで家と保育園と会社を駆け回るシーンは大変でありながらも充実感が溢れている。りんはダイキチと同姓になることを断るのであるが、ダイキチはりんの父親になるべく、りんの父親である祖父が使っていたトレーニングマシーン(通称スカイウォーカー)を自宅に運んで刻苦勉励する辺りから調子がおかしくなってくる。‘スカイウォーカー’でどれほど走ったとしても、それは前に進まない‘足踏み’でしかないためである。そのことに痺れを切らしたかのようにりんは友達の二谷コウキと共に姿を消したことで、再び走り出し、自分のアイデンティティーを取り戻したダイキチのもとにりんは戻ってくるのである。
『うさぎドロップ』においてSABU監督は自身の持ち味を十分に発揮出来ていると思ったが、この観賞後に残る後味の悪さは何なのであろうか? 圧倒的な‘父親贔屓’の演出と比較して、ダイキチの母親の河地良恵、りんの母親の吉井正子、施設の職員である杉山由美子など、子育てと仕事を両立できなかった女性たちの殺伐とした言動が、両立出来ていて尚且つモデルとして華やかに活躍している二谷ゆかりの存在も手伝って、女性は子育てと仕事が両立出来て当たり前という誤ったメッセージを発することにならないのかと危惧してしまう。
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