Claude François "Comme d'habitude" | Archive INA
昨夜のBS-TBSで放送された「SОNG TО SОUL」でポール・アンカが1957年に
リリースした「ダイアナ」が取り上げられていた。当時ポール・アンカは16歳で天才と
呼んで間違いないだろうが、1960年代のいわゆる「ブリティッシュ・インヴェイジョン」に
よって一気に「オールディーズ」と化してしまった。その起死回生としてリリースされた曲が
イギリス勢に対抗してフランス人のクロード・フランソワと大御所のフランク・シナトラと
組んだカナダ人が1968年にリリースした「マイ・ウェイ」だったという流れが面白い。
ここでは「マイ・ウェイ」のオリジナルであるクロード・フランソワの「Comme d'habitude」
を和訳しておきたい。
「Comme d'habitude」 Claude François 日本語訳
僕は起きて
君を急かせるけれど
君は目覚めない
いつものように
君の身体が冷えるのを心配して
僕は君にシーツをかけ直す
いつものように
無意識に
僕は手で君の髪の毛を撫でる
いつものように
でも君は寝返って僕に背を向ける
いつものように
僕は急いで着替えて
いつものように部屋を出て
独りぼっちでコーヒーを飲んで
いつものように遅れる
音をたてずに家を出ると
いつものように外の景色は灰色におおわれている
寒いからいつものようにコートの襟を立てる
いつものように
一日中僕はいつものような「ふりをするふり」をするつもり
いつものように微笑むだろう僕は
いつものように笑いだして
ついにはいつものように生きようとする
そして一日が過ぎ
僕はいつものように家に帰るだろう
いつものように君は出かけたまま
まだ帰ってきていない
いつものように僕は独りぼっちで
冷えたグランドベッドで眠るんだ
いつものように僕は涙を隠すだろう
いつものように夜でさえ
僕はいつものような「ふりをするふり」をするつもり
いつものように君は帰ってきて
いつものように僕は君を待っているだろう
いつものように君は僕に微笑みかけ
いつものように君は服を脱いで
いつものように君は眠りにつき
いつものように抱き合うだろう
いつものように
いつものようなふりをして
いつものように愛し合い
いつものようなふりをするんだ
フランク・シナトラの「My Way」が決意表明だとするならば、クロード・フランソワの
「Comme d'habitude」は諦念を歌っており、同じ曲に正反対のニュアンスの歌詞が書かれて
いることに正直驚かされるのであるが、「ふりをするふりをする(jouer à faire semblant)」
というフレーズが「本気」を表すのならば、なかなか凝った歌詞である。