御用金
1969年/日本
‘トリッキー’な演出の違いについて
総合 20点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
13歳の時に年季奉行に行かされ5年の間懸命に働き貯めたお金で花嫁衣裳を買ったおりはは先に花嫁衣裳を村に送っていたのであるが、黒崎村へ帰ってみると許婚者も父親もなく、村ごと‘神隠し’に遭っていた。それではあの時斬られた花嫁衣裳を着た女性は誰だったのかというあたりから疑問が湧き出してからは、主人公の脇坂孫兵衛が敵に囲まれて家に立てこもる際に、超人的な跳躍を披露して家の屋根に登ったり、ロープで両手首や両腕を縛られて木の枝に吊るされた後に雪の中へ落下してしまうのであるが、六郷帯刀が放った手裏剣だけでロープを切って脱出するという曲芸まで披露してしまうなど疑問の渦に巻き込まれる。クライマックスの脇坂孫兵衛と六郷帯刀の一騎打ちは最終的には脇坂が勝つものの、どのようにして六郷を斬ったのかはっきりしない、その余りのトリッキーな演出に、五社英雄監督の殺陣の演出の放棄を感じざるを得ない。例えば、『仇討』(今井正監督 1964年)における中村錦之助と丹波哲郎との‘トリッキー’な殺陣の演出と比較してみれば監督の力量の差は一目瞭然である。六造が崖から落ちた後を目で追いかけるおりはの顔のズームアップでさえ明らかに失敗していることが誰にでも分かり、題材が良いだけに非常に残念な結果になってしまっている。
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