横道世之介
2012年/日本
冷たいノスタルジー
総合 40点
ストーリー 0点
キャスト 0点
演出 0点
ビジュアル 0点
音楽 0点
1987年に現役で法政大学の経営学部に入学した主人公の18歳の横道世之介は故郷の長崎から新宿に現れる。ちょうど斉藤由貴が「AXIA」のカセットテープのCMキャラクターをしていた頃である。
当時法政大学の教授を勤めていた柄谷行人の『意味という病』を読んでいる学生がいかにも厭世的で面白くなさそうにしている様子は、その後のポストモダン思想の失速を皮肉っているようだが、世之介を巡るストーリーそのものは面白いと思う。しかし親友の倉持一平と阿久津唯の出産にまで立会い、多少早すぎるような気がするが、1988年2月28日に生まれた赤ん坊を写真に収めたり、フランスに留学するガールフレンドの与謝野祥子を見送ったりしているのに、世之介と関わった人たちがその後、35歳になった世之介が人命救助で命を失うまで彼に再会していないという事態をどのように捉えればいいのだろうか。つまり本作は世之介の人の良さよりも世之介と関わっていながら喧嘩をしたわけでもないのに何故か彼と‘絶交状態’のままでいた友人たちの無関心な態度の冷たさが残る後味の悪さを感じざるを得ないのである。
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