原題:『The Duke』
監督:ロジャー・ミッシェル
脚本:リチャード・ビーン/クライヴ・コールマン
撮影:マイク・エリー
出演:ジム・ブロードベント/ヘレン・ミレン/フィオン・ホワイトヘッド/マシュー・グッド
2020年/イギリス
評価のあり方とメディアの変化について
主人公は多少脚色されているが、60歳のタクシードライバーのケンプトン・バントンで、ストーリーは彼は1961年に高齢者たちが公共放送であるBBCに受信料を払わなくても見ることができるようにと運動をしており、その流れでロンドン・ナショナル・ギャラリーから「身代金」としてゴヤの『ウェリントン公爵』を盗んだという実話が元になっている
メインのストーリーには敢えて触れないが、興味深い点として、ケンプトン・バントンが『ウェリントン公爵』を見て「たいした絵ではないな」と言っていることで、名画ともてはやされるほど良い作品とは思えないのは確かなのである。
一方で、ケンプトン・バントンは独学で脚本を書いているのだが、あれほどトークで法廷を笑いで包んだ男の脚本は結局一度も採用されることはなかったのである。どうもここら辺りに有名による過大評価と無名による過小評価の問題が、絵画という「高尚さ」とテレビという「大衆性」に挟まれて隠されているような気はするのである。
(『The Portrait of the Duke of Wellington』)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/eiga_log/entertainment/eiga_log-126918