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 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『百日紅 ~Miss HOKUSAI~』

2015-05-18 00:00:39 | goo映画レビュー

原題:『百日紅 〜Miss HOKUSAI〜』
監督:原恵一
脚本:丸尾みほ
撮影:田中宏侍
出演:杏/松重豊/濱田岳/高良健吾/美保純/清水詩音/筒井道隆/麻生久美子
2015年/日本

監督のインスピレーションの元となる「百日紅」と「向日葵」について

 葛飾北斎を中心とした妻と2人の娘の物語は今公開されている他のアニメーション映画のような派手さはなく、小さなエピソードが淡々と語られるだけなのであるが、本作のラストで主人公のお栄(後の葛飾応為)の代表作である「吉原格子先之図」(浮世絵太田記念美術館所蔵)が映し出され、この光と影の強烈なコントラストを見せる洋風の絵にインスピレーションを得たように本作も光と影が際立った描写で描かれており、奇しくも『名探偵コナン 業火の向日葵』(静野孔文監督 2015年)ではフィンセント・ファン・ゴッホの『ひまわり』が取り上げられ、それぞれ「オリジナル」に対するスタンスを変えてストーリーに上手く組み込んでいるところが興味深い。
 例えば、突風で家の戸が吹き飛ばされ、嫌な予感を抱えて家を飛び出して走るお栄を背後から正面をワンカットで捉えるカメラワークで一気に画面に緊張感を漲らせる原恵一監督の演出の冴えは相変わらず美しいとは思うが、声優としての杏の起用が正しかったのかどうかは賛否が分かれるのではないだろうか。


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