原題:『エイプリルフールズ』
監督:石川淳一
脚本:古沢良太
撮影:大石弘宣
出演:戸田恵梨香/松坂桃李/ユースケ・サンタマリア/寺島進/里見浩太朗/富司純子
2015年/日本
コメディー作品といえども気になる演出ミスについて
七つのエピソードを上手く収斂させている手腕はさすが古沢良太が脚本を務めているだけのことはあるが、敢えて一つだけ述べておくならば、寺島進が演じた宇田川勇司がゴルフの練習をしている、千葉真一が演じる暴力団幹部に向かって歩きながら持っていたカバンに手を入れて取り出したものが拳銃ではなく芋けんぴだったのであるが、これは宇田川が誘拐したが実は宇田川の実の娘の江藤理香が食堂で宇田川と同じバッグを持っていた、戸田恵梨香が演じる新田あゆみのバッグとこっそりと入れ替えていたからである。宇田川はどうして自分のバッグに拳銃の代わりに芋けんぴが入っていたのか記憶を辿っていき、娘の理香の仕業であると思い至るのであるが、宇田川は新田あゆみの存在に気がついていなかったのだからこれはあり得ない。事実だけを描いて宇田川は気がつかないままという演出が正しいはずなのである。
出来るならば全てのエピソードが一つにつながっていれば上手く大団円を迎えられ、より感銘を受けたと思う。