MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『サムライマラソン』

2019-03-17 00:58:52 | goo映画レビュー

原題:『サムライマラソン』
監督:バーナード・ローズ
脚本:バーナード・ローズ/斉藤ひろし/山岸きくみ
撮影:石坂拓郎
出演:佐藤健/小松菜奈/森山未來/染谷将太/青木崇高/竹中直人/門脇麦/豊川悦司/長谷川博己
2019年/日本

一貫して日本がアメリカと張り合えた競技について

 本作は1855年のペリー提督の来航から端を発し、幕府の命令で安中藩に「忍び」として正体を隠して暮らしていた主人公の唐沢甚内が安中藩主の板倉勝明が外国からの脅威に備え、藩士たちの心身を鍛えるために十五里の山道を走らせる企画「遠足(とおあし)」を板倉の謀反と誤って幕府に報告したことから起こる様々な諍いが描かれている。
 前半の時代劇から、幕府から送られてきた刺客たちがカウボーイのような衣装で現れてからは、「日本人」対「アメリカ人」のように見える。そして江戸時代の物語が終わった後に、現代の群馬県の安中市の主催による「安政遠足 侍マラソン」の様子が映され、そこに円谷幸吉、君原健二、谷口浩美、谷口浩美、有森裕子、高橋尚子などの写真がインサートされるのである。この演出意図を勘案するならば、開国以来、日本はアメリカの圧倒的な力に支配され、「遠足(とおあし)」も「遠足(えんそく)」と言い換えられて骨抜きにされながらも、マラソンだけは唯一当初からアメリカと張り合えたものだったという事実ではないだろうか。


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