MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『スペンサー ダイアナの決意』

2022-10-23 00:58:00 | goo映画レビュー

原題:『Spencer』
監督:パブロ・ラライン
脚本:スティーヴン・ナイト
撮影:クレール・マトン
出演:クリステン・スチュワート/ジャック・ファーシング/ティモシー・スポール/ショーン・ハリス/サリー・ホーキンス
2021年/イギリス・アメリカ・ドイツ・チリ

「寓話」の描き方について

 冒頭で「実際の悲劇を基にした寓話(A fable from a true tragedy)」とあるように本作は史実を追って描かれているわけではなく、主人公のダイアナ妃の王室のおける苦しい立場が抽象的に描写されている。それは冒頭から車を運転しているダイアナ妃が自分がどこにいるのか分からないところから既に暗示が始まっている。
 さらにダイアナ妃を苦しめるのが部屋の置かれていた、彼女の祖先であるアン・ブーリン(Anne Boleyn)に関する本である。ヘンリー8世と正妻のキャサリン・オブ・アラゴンとブーリンの関係が、チャールズ皇太子とカミラ・シャンドと自分の関係に似ており、ブーリンは姦通で処刑されているのである。
 ところがいくらダイアナ妃がルールを無視した行動を起こし、あちらこちらへ走り回っても王室のルールはびくともせず、クリスマスを挟む3日間は時間通りに料理が運ばれ、時間通りに教会に赴き、長男のウィリアムには狩猟を学ばせ、ダイアナ妃の思いが考慮されることは全くもってない。
 ダイアナ妃の最後の頼みの綱は二人の息子で、狩猟を妨害し2人を連れ出すことでようやくダイアナ妃は自由を手に入れる。冒頭で料理の具材を積んだ何台ものトラックが城に向かう光景とは正反対に、最後は2人の息子を乗せてダイアナ妃が運転する一台の車が城を後にして、3人はケンタッキーフライドチキンを川沿いにある長椅子で座って食べるのである。
 3人が歌っていたマイク・アンド・ザ・メカニックスの「オール・アイ・ニード・イズ・ア・ミラクル」は本作を観ながら聴くとチャールズ3世の懺悔の歌のように聞こえる。以下、和訳。

「All I Need Is A Miracle」 Mike + The Mechanics 日本語訳

行きたければ行けばいいし
いたければいてもいいと僕は君に言った
君が僕にまとわりつこうがどうしようが僕は気にならなかったし
君が去ろうがどうしようが僕は気にならなかった

君が正しかったことなど一度もなかったことは分かっているから
いつでも僕が正しかったことを僕は真実だと認めるつもり
僕は一度も決心できなかったから
僕は行き当たりばったりでやってきた
僕はあなたを子供扱いしたけれど
残りの人生で君がいないとなると寂しくなると思う

僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ

僕には時間の余裕がなかったから
一度も電話はしなかったけれど
ただ君を傷つけるために
僕はいつもの僕とは違うことをしてしまった
絶対に傷つけるべきではなかった人に

僕は自分は冷静でいたつもりだった
自分は強い人間だと思っていたけれど
いつもの古びたお馴染みの言い訳だ
失うまで自分が何を手に入れていたのか君には絶対に分からない
もしも僕が君に追いつくならば
君の残りの人生で僕は君を愛するんだ

僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ

もしも僕が君に追いつくならば
君の残りの人生で僕は君を愛するつもりだ

僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ
僕に必要なものは奇跡だけ
僕が必要な人は君だけ

Mike + The Mechanics - All I Need Is A Miracle (Official Video) 

Mike + The Mechanics - All I Need Is A Miracle '96 (Official Video) 

Mike + The Mechanics - All I Need Is a Miracle (2019 Version)
gooニュース
https://news.goo.ne.jp/article/postseven/entertainment/postseven-1801372


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