MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『リズと青い鳥』

2018-05-22 00:15:06 | goo映画レビュー

原題:『リズと青い鳥』
監督:山田尚子
脚本:吉田玲子
撮影:高尾一也
出演:種﨑敦美/東山奈央/藤村鼓乃美/山岡ゆり/杉浦しおり/黒沢ともよ/朝井彩加
2018年/日本

青とピンクの絶妙なハーモニーについて

 本作は2つのスタイルで描かれている。一つは北宇治高等学校吹奏楽部でオーボエを担当する鎧塚みぞれと、フルートを担当する傘木希美の物語で、もう一つは希美がみぞれに渡す『リズと青い鳥』という絵本である。メインストーリーは山田監督のいつものタッチで青みを強調して描かれていると思うが、『リズと青い鳥』の物語はまるでジブリ作品のようなタッチでピンクを強調して描いており、そこに山田監督の野心が感じられる。
 さらにストーリーも良く練られており、友人を束縛する者とされる者が最後で逆転するという展開は、本当にあの『けいおん!』(2011年)の吉田玲子が書いたのかという巧みさである。
 しかし本作をアニメーション監督の山本寛が自身のブログで「結論から言うが、山田尚子の仕事としては最低の映画だ。なんかもう、やる気がないというか、ちょっと、病んでるんじゃないの?と思うくらいだ。映画で愚痴を聞かされているように感じた」と評しているから驚く。山本は「僕は登場人物が、みんな自殺するんじゃないか?とすら思えてしまった。それくらい出てくる少女も、指揮をしている顧問も、生気がない。」とも書いているのであるが、確かフランス新印象派の画家のジョルジュ・スーラ(Georges Seurat)も当初は描かれた人物像に生気が感じられないと非難されていた。


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