MASQUERADE(マスカレード)

 こんな孤独なゲームをしている私たちは本当に幸せなの?

『特集:シャブロル三部作発売記念 紀伊國屋書店レーベルを讃える』 100点

2009-03-17 23:12:16 | goo映画レビュー

特集:シャブロル三部作発売記念 紀伊國屋書店レーベルを讃える

-年/-

ネタバレ

クロード・シャブロルに関する覚書

総合★★★★★ 100

ストーリー ☆☆☆☆☆0点

キャスト ☆☆☆☆☆0点

演出 ☆☆☆☆☆0点

ビジュアル ☆☆☆☆☆0点

音楽 ☆☆☆☆☆0点

 今回の特集は1930年生まれのフランスの映画監督クロード・シャブロルの『女鹿』(1968年)『不貞の女』(1968年)『肉屋』(1970年)三部作発売記念ということなので、この3作品についてレビューを書いておきたい。
 この3作品を観た感想は、シャブロルは物語よりも映像を優先させる監督なのだということである。例えば『不貞の女』のラストは夫であるシャルルの目線で立ちつくしたままの妻エレーヌと息子が映されてシャルルが警察に連れて行かれることが暗示される印象的なシーンで終わるのであるが、常識で考えればエレーヌと息子はシャルルを追いかけるはずである。『肉屋』のラストシーンも不可解である。自分の腹にナイフを刺した肉屋のポポールをエレーヌは病院へ連れて行くのだが、ポポールは亡くなってしまう。しかしエレーヌは死んだポポールを見に行くことはなくそのまま車に乗って帰ってしまうのである。シャブロルの作品から漂ってくる‘スリリングさ’は、このように物語を犠牲にしても映像を優先させるために生まれ出るものだと思う。
 『不貞の女』はテレビを見るシーンを挿入していることから察すると、登場人物の顔のアップを意図的に多用して‘テレビ的’に撮ってそれが成功している。
 『肉屋』は物語が破綻しているように感じる。ラストの川岸に佇むエレーヌの両目とエレーヌの背後から光る車のヘッドライトの怪しげなシーンは、まるでエレーヌが連続殺人事件の犯人かのように感じさせる。ポポールがナイフで腹を刺すシーンにしても本当にポポール自身が腹にナイフを刺したのか、あるいはエレーヌがポポールを刺したのかはっきりと描かれていない。実は真犯人であるが本人がそのことに気づいていない愛するエレーヌを庇うためにポポールは自ら犯人の振りをして命を絶ったのかと再考する余地がある。
 この3作品の中で最高作なのが『女鹿』であることは誰もが認めるであろう。この作品には1968年のフランスの5月革命が色濃く反映されている。反体制運動というものは新しい芸術表現を模索することでもなされていた。主人公の一人であるホワイは‘貧しい’画家志望の娘であり、もう一人の主人公‘金持ち’のフレデリークの別荘に居候していた2人の男たちは本を読んで革命を唱えて、雑音同然の‘前衛音楽’を奏でていた。しかしそのまま体制/反体制の二項対立を描いただけではゴダールの二番煎じに甘んじてしまうであろう。シャブロルの慧眼はこの二項対立を超えたところにある。例えば桟橋でフレデリークとホワイが一緒に歩くシーンは2人の間に鏡があるかのようなシンメトリーなものであったし、後半ではホワイが濃い化粧をしてフレデリークと瓜二つのような顔になる。つまりシャブロルにとって革命とは対立することではなく、敵対する相手とどちらが本物なのか分からなくなるまで同化することなのであり、フレデリークの別荘に居候していた2人は建築家のポールに同化できなかったために革命に失敗したのである。何故これほどの傑作が今まで日本で公開されなかったのか、何故フィルムで観ることができないのか不思議である。


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偏見の塊

2009-03-17 00:00:11 | Weblog

うつ病休業は気が弱いから? 自民・笹川総務会長が発言(朝日新聞) - goo ニュース

 それにしても麻生内閣の失言ネタは底なしである。言うまでもなく学校の先生で、

うつ病で休業している人が多くて、国会議員には1人もいないのは、うつ病の人に

日本国民が投票しないためである。そもそもうつ病というものは気の強弱とは全く

関係がないはずである。「苦しい時こそ知恵が出る」と笹川は言うが、苦しい時に

知恵が出るのは苦しい時に知恵が出る人だけである。「ブラブラ遊んでいたら必ず

犯罪は伸びます」と笹川は言うが、ブラブラ遊んでいて犯罪に手を染める人は、

忙しくても犯罪に手を染めるのである。要するに笹川は全てにおいて偏見でしか

物事を考えていないのである。笹川の脳の血流にこそ問題があると思う。


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