こんにちは。匠技術研究所の谷山 亮治です。
OLPC(One Laptop Per Child)の基本ソフトにMicrosoft WindowsXPが搭載されることがOLPCとMicrosoftから発表になりました。
OLPCにWindowsXPが採用とのITmediaの記事(日本語訳)へ
OLPCプロジェクト(日本語)へ
(*)メニューにマウスポインタを乗せると日本語で解説が出ます。使いにくく読みにくい。
OLPCのWiki(日本語)へ
(*)Wiki形式で情報が提供されており、こちらのほうが日本語での情報が多く読みやすい。
WindowsXP版XOを解説するMicrosftのUnlimited Potentialブログ(英文)へ
(*)WindowsXPがOLPC上で動作する意味を解説しています。
WindowsXP版XOを説明するMicrosoftのビデオ(英語)へ
(*)上記英文のブログ中で紹介のビデオ。XOのハードウエアの特徴が良く判る。
ビデオ中でWindowsが動くことでOfficeも使えるとの紹介があります。Linux上でもOpenOfficeを使うことができます。
OLPCは世界の子供達にノートPC(Laptop PC)を普及させることを目的にMIT(米国マサチューセッツ・工科大学)のNicholas Negroponte氏の呼びかけによるNPO団体であり、OLPCが企画した子供向けPCをXOと呼んでいます。低価格のパソコンでありながら、通信機能を備えインターネットに接続できることが必須の条件です。
非営利で企画・製作をし、世界中の子供に配ることが目的ですから、全ての部材を低価格で抑える工夫が必要です。販売価格はUS$100を目指しましたが、実際にはUS$100の実現はできていません。
「子供にコンピュータを使った教育をする」からには何らかのコンピュータを使う必要があります。OLPCは単に子供用コンピュータを企画するだけでなく、教科書やノートに相当することもこのコンピュータを通じて提供することを目指しています。
これまでの活動の中で世界最大のPC用CPUメーカーである、Intelが参加し、離脱しました。離脱の影響は判りませんが、XOのCPU(コンピュータの心臓部)にはAMD社のものが採用になりました。
XOもコンピューターですから基本ソフトが必要です。これまでの基本ソフトは、LinuxをXO用に調整したSugarOSでした。すでにいくつかの国でパイロットプロジェクトは終了し、その他の国からXOの発注がかかる段階になって、WindowsXPの採用とXPへのSugarOSの操作画面の移植が発表になったのです。将来はWindowsとSugarOS/Linuxを選択できるようにするとのことです。
「教育用PC」は「実用PC」とは大きく異なる視点があります。子供が操作や存在を覚えることで、将来のビジネスに繋がるという視点です。
かって、Sunが大学や研究機関にSun製のUNIXコンピュータを安く提供しました。教官や学生はそれを使って「コンピュータ」を覚え社会に出て行きます。勤め先でコンピュータを使うときは、使い慣れたコンピュータの導入を薦めます。ですから、教育機関に安く機材を提供することを、将来のビジネスへの種まきとして行う企業もあります。
Microsoftはすでに、学生向けの開発ツールやサーバーOSを無償で提供し始めています。OLPCプロジェクトのWindowsXPが幾らで提供されるのか不明ですが、例え無償だとしても、将来への種まきであることは確かだと思います。
Microsoftは自社のUnlimited Potentialプロジェクトを通じて子供の教育分野への様々な技術を提供することを発表しています。(大学生などへは、やはり自社のDreamSparkプロジェクトで行う)
Microsoftに「教育分野で種まきをするな」ということではありません。コンピュータ用の教科書をMicrosoftがつくり、教材のPCにもMicrosoftの製品が使われていき、子供が最初に覚えるコンピュータの操作性がWindowsであるという「大人側の選択」が正しいのか、大人はもっと真剣に考えたほうが良いのです。
OLPCプロジェクトでも「大人の選択」の方針の違いから、Intelが脱退したり、Linuxを基にしたSugarOSの開発者がプロジェクトを去ったりしています。OLPCプロジェクトはAppleが無償でMacOS Xをプロジェクトに提供することを断ったという報道もあります。Appleを断ったのなら、何故Microsoftを採用したのでしょうか?
テレビの番組を選択するのは、視聴者の自由です。Microsoft製品を選ぶか、その他のものを選ぶかは利用者の判断です。
OLPCの日本語Wiki(先に紹介)の最下部に「五つの基本原則」が紹介されています。
以下引用---
5つの基本原則―
子供の所有権: 私はXOを自分の靴みたいに履きます。
低年齢:私は長く歩けるとってもいいXOシューズを持っています。
浸透: 健全な教育は予防接種のようなものです。それはすべての人に行き渡り、無知と狭量から守ります。
接続性: 私たちが一緒に話すとき、私たちは一緒にいます。
フリーかつオープンソース: フリーでオープンな環境をください。そうすれば、私は喜んで学び教えるでしょう。
--- 引用ここまで
MicrosoftはWindowsXPはXOへの採用あたり、オープンソース化したのでしょうか?それとも、このWikiの翻訳が間違っているのでしょうか?
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