こんにちは。
サーバー用Linuxとして普及しているCentOSがCentOS8からリリース方針を変更しました。CentOS7の方は、これまで同様EOLは2024年6月30日ですので慌てる必要はありません。CentOS8の方も以下を読めば、慌てる必要がありません。
CentOSはたいへん安定した、良いサーバーOSだと思います。主たるサーバOSとして使ってきました。システム構築にはUbuntu ServerかCentOSどちらかを適材適所で使います。
これまでのCentOSは、メジャーバージョン(CentOS5,6,7..)リリース後10年間のサポートが期待できました。これが、システム構築には良い条件なのです。さらに、CentOSの「基」は「RHEL(RedHat Enterprize Linux)」の公開部分から再パッケージ化したものです。すなわち、すでに利用実績があるものを基にしています。当然、安定性を期待できます。
このような背景から、CentOSはシステム構築のLinuxとしてサポートを求めなければ、極めて良い選択だと考えてきました。
CentOSは、RHELのリリースを後追いする形でメジャー、マイナーリリースを重ねます。この方針がCentOS8から変わり、2021年12月31日に、これまでのリリース方式が終了します。これまでに準じた10年サポートはなくなります。ありゃ〜。私も困ります。
すでにCentOS8はCentOS8-Streamという新しいリリース方式を提供しています。この方式では、7.1,7.2のようなポイントリリースの考えを無くし、手当が必要なソフトウエアを随時更新していきます。
こうすることで、構成するソフトウエアの、特にセキュリティパッチ等のリリースが時期に則したものになります。また、構成するソフトの更新も適宜行われることになり、これまでの「固定したポイントバージョン」という考えがなくなるのです。
システムを構築して提供する側は「どのバージョンを基準に提供するか」の基準を持つことが難しくなります。「2021年4月ごろに作ったんだよね」「その時のOSは再現できるの???」と5年後に会話するわけです。
「そういう作り方に慣れろ。それが今からのやり方だ」ということもよく理解できますが、CentOS8の発表で困ることがあります。それは「CentOS8-StreamはRHEL8と同等ではなく、RHEL8に将来的に追加、変更する機能を実装する」という発表です。すなわち「RHEL8のテスト実装」に位置づけられます。あらまぁ〜〜。Stream化より、こちらのほうが抵抗があります。
私は、CentOS8のポイントリリース版を使い続けます。2021年には、「CentOS」ではない、これまでのポイントリリース方針を踏襲するRHELクローンOSに移行します。
すでに、CentOS6はEOLになりましたが、当方のお客様のシステムは2024年までセキュリティパッチを提供し続けます。このパッチはCentOSコミュニティーの成果ではなく、たくさん使っている会社が作成したものを、分けてもらうのです。
RedHat Linuxは、今はIBMがスポンサーです。CentOSコミュニティーは発足当初と異なり、RedHat社の支援を受けています。その事自体はLinuxを巨大企業が支えるのですから、良い方向性だとおもいます。ただ、RedHat社は自社のサポートサービスを使って欲しいのです。CentOSの方向性を安定版提供から、発展版提供に変え、早期にテストして製品版RHELに反映させ、品質を向上させたほうが良いことも理解できます。ただ、それではシステム構築担当は使いにくい。なのでRHELのライセンスが売れるというシナリオなのでしょう。
CentOSでシステムを組んできた方は、システムのことはおわかりでしょうから、他のRHELクローンOSに移るだけでしょう。RHELを積極的に使っている方は、早期検証版としてCentOS Streamが役に立ちます。
すでに、これまでのCentOSの固定リリースの良さを引き継ぐ、新しいコミュニティの創設の発表が、いくつか行われています。元々がオープンですから、分派することで「これまでのリリース方針を維持する」というCentOSとは異なる、新しい流れが生まれます。オープンソースのプロジェクトならではの、柔軟性です。
長い間CentOSを利用してきた方は、一度CentOSプロジェクトが弱体化した時期を経験しており、代替案を考えたことでしょう。今は、しっかりした選択肢も複数あるので、あまり困らないというのが正直な気持ちです。
「CentOS8はどうなるのか-Streamという新しい方向性」
私は、RHELクローンOSを継続して使う方向です。