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「秘密は日記に隠すもの」永井するみ

2012年07月28日 09時29分34秒 | 読書(小説/日本)

「秘密は日記に隠すもの」永井するみ

永井するみさんは2010年9月3日に亡くなられた。
本作品が、著者最後の作品である。
すぐ出版されるかな、と思っていたけど死後約2年を必要とした。

内容は短編集。
それぞれゆるいリンクがある。
ミステリ風味だけど、心理要素に重きを置いている。
特に、「サムシング・ブルー」は傑作。
「日記」型式で物語が展開し、落とし穴がある。

永井するみさんは1961年生まれなので、40歳台で亡くなられたことになる。
1995年に「瑠璃光寺」、1996年に「マリーゴールド」を書かれている。
デビュー当時からレベルが高かったのが分かる。
「マリーゴールド」など、新人のレベルと思えない深みがある。
創作期間は約15年だけど、数々の佳作を残されている。

枯れ蔵 ★★★★☆ (新潮社、1997年1月/新潮文庫、2000年2月刊)
樹縛 未読 (新潮社、1998年4月刊/新潮文庫、2001年2月刊)
ミレニアム 未読 (双葉]、1999年3月刊/双葉文庫、2000年11月刊)
ランチタイム・ブルー ★★★☆ (集英社、1999年12月刊/集英社文庫、2005年2月)
歪んだ匣 ★★★★ (祥伝社、2000年7月)
大いなる聴衆 ★★★★ (新潮社、2000年8月/創元推理文庫、2005年6月)
天使などいない ★★★★☆ (光文社、2001年4月/光文社文庫、2003年6月)
隣人 ★★★☆ (双葉社、2001年7月/双葉文庫、2004年7月)
防風林 ★★★★☆ (講談社、2002年1月/講談社文庫、2005年11月)
ボランティア・スピリット ★★★☆ (光文社、2002年8月/光文社文庫、2005年1月)
唇のあとに続くすべてのこと ★★★★☆ (光文社、2003年1月/光文社文庫、2005年10月)
希望 ★★★☆ (文藝春秋、2003年12月)
俯いていたつもりはない ★★★☆ (光文社、2004年9月/光文社文庫、2007年8月)
ソナタの夜 ★★★☆ (講談社、2004年12月/講談社文庫、2008年1月)
ビネツ 美熱 ★★★☆ (小学館、2005年6月)
さくら草 ★★★★☆ (東京創元社、2006年5月)
ダブル ★★★★★ (双葉社、2006年9月)
欲しい ★★★☆ (集英社、2006年12月)
年に一度、の二人 ★★★★☆ (講談社、、2007年3月)
カカオ80%の夏 ★★★★★ (理論社、2007年4月)
ドロップス ★★★★★ (講談社、2007年7月)
グラデーション ★★★★☆ (光文社、2007年10月)
義弟 ★★★★☆ (双葉社、2008年5月)
レッド・マスカラの秋 ★★★★☆ (理論社、2008年12月)
悪いことはしていない ★★★★☆ (毎日新聞社、2009年3月)
グラニテ ★★★★☆ (集英社、2008年7月)
マノロブラニクには早すぎる ★★★★☆ (ポプラ社、209年10月)
逃げる ★★★☆ (2010年3月 光文社)
秘密は日記に隠すもの ★★★★ (2012年7月 双葉社)

 

著作前半は短編が多く、後半は長編が多い。(短編に佳作が多くハズレなし) 
「唇のあとに続くすべてのこと」「天使などいない」「ランチタイム・ブルー」「歪んだ匣」「ボランティア・スピリット」「ソナタの夜」
著者の特徴として、不倫を含めて愛情テーマが多い。
「年に一度、の二人」「ドロップス」(文庫本化の際「涙のドロップス」に改題)・・・・ほとんどの作品がそう。
お仕事ミステリ・・・「さくら草」「ビネツ」「欲しい」も印象深い。
成長小説「グラデーション」も佳編。
女子高生が探偵として活躍する「カカオ80%の夏」「レッド・マスカラの秋」もよかった。




【「秘密は日記に隠すもの」ネット上の紹介】 
父親の秘密を見つけた女子高生の日記「トロフィー」、母の死を引きずる43歳独身男性の日記「道化師」、姉妹で同居している結婚を控えた姉の日記「サムシング・ブルー」、熟年夫婦の日常を記した夫の日記「夫婦」。まったく無関係な4人だが、本人たちも気づかぬところで、実は不思議な繋がりがあった……。

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