永井するみさんは2010年9月3日に亡くなられた。
本作品が、著者最後の作品である。
すぐ出版されるかな、と思っていたけど死後約2年を必要とした。
内容は短編集。
それぞれゆるいリンクがある。
ミステリ風味だけど、心理要素に重きを置いている。
特に、「サムシング・ブルー」は傑作。
「日記」型式で物語が展開し、落とし穴がある。
永井するみさんは1961年生まれなので、40歳台で亡くなられたことになる。
1995年に「瑠璃光寺」、1996年に「マリーゴールド」を書かれている。
デビュー当時からレベルが高かったのが分かる。
「マリーゴールド」など、新人のレベルと思えない深みがある。
創作期間は約15年だけど、数々の佳作を残されている。
枯れ蔵 | ★★★★☆ | (新潮社、1997年1月/新潮文庫、2000年2月刊) |
樹縛 | 未読 | (新潮社、1998年4月刊/新潮文庫、2001年2月刊) |
ミレニアム | 未読 | (双葉]、1999年3月刊/双葉文庫、2000年11月刊) |
ランチタイム・ブルー | ★★★☆ | (集英社、1999年12月刊/集英社文庫、2005年2月) |
歪んだ匣 | ★★★★ | (祥伝社、2000年7月) |
大いなる聴衆 | ★★★★ | (新潮社、2000年8月/創元推理文庫、2005年6月) |
天使などいない | ★★★★☆ | (光文社、2001年4月/光文社文庫、2003年6月) |
隣人 | ★★★☆ | (双葉社、2001年7月/双葉文庫、2004年7月) |
防風林 | ★★★★☆ | (講談社、2002年1月/講談社文庫、2005年11月) |
ボランティア・スピリット | ★★★☆ | (光文社、2002年8月/光文社文庫、2005年1月) |
唇のあとに続くすべてのこと | ★★★★☆ | (光文社、2003年1月/光文社文庫、2005年10月) |
希望 | ★★★☆ | (文藝春秋、2003年12月) |
俯いていたつもりはない | ★★★☆ | (光文社、2004年9月/光文社文庫、2007年8月) |
ソナタの夜 | ★★★☆ | (講談社、2004年12月/講談社文庫、2008年1月) |
ビネツ 美熱 | ★★★☆ | (小学館、2005年6月) |
さくら草 | ★★★★☆ | (東京創元社、2006年5月) |
ダブル | ★★★★★ | (双葉社、2006年9月) |
欲しい | ★★★☆ | (集英社、2006年12月) |
年に一度、の二人 | ★★★★☆ | (講談社、、2007年3月) |
カカオ80%の夏 | ★★★★★ | (理論社、2007年4月) |
ドロップス | ★★★★★ | (講談社、2007年7月) |
グラデーション | ★★★★☆ | (光文社、2007年10月) |
義弟 | ★★★★☆ | (双葉社、2008年5月) |
レッド・マスカラの秋 | ★★★★☆ | (理論社、2008年12月) |
悪いことはしていない | ★★★★☆ | (毎日新聞社、2009年3月) |
グラニテ | ★★★★☆ | (集英社、2008年7月) |
マノロブラニクには早すぎる | ★★★★☆ | (ポプラ社、209年10月) |
逃げる | ★★★☆ | (2010年3月 光文社) |
秘密は日記に隠すもの | ★★★★ | (2012年7月 双葉社) |
著作前半は短編が多く、後半は長編が多い。(短編に佳作が多くハズレなし)
「唇のあとに続くすべてのこと」「天使などいない」「ランチタイム・ブルー」「歪んだ匣」「ボランティア・スピリット」「ソナタの夜」
著者の特徴として、不倫を含めて愛情テーマが多い。
「年に一度、の二人」「ドロップス」(文庫本化の際「涙のドロップス」に改題)・・・・ほとんどの作品がそう。
お仕事ミステリ・・・「さくら草」「ビネツ」「欲しい」も印象深い。
成長小説「グラデーション」も佳編。
女子高生が探偵として活躍する「カカオ80%の夏」「レッド・マスカラの秋」もよかった。
【「秘密は日記に隠すもの」ネット上の紹介】
父親の秘密を見つけた女子高生の日記「トロフィー」、母の死を引きずる43歳独身男性の日記「道化師」、姉妹で同居している結婚を控えた姉の日記「サムシング・ブルー」、熟年夫婦の日常を記した夫の日記「夫婦」。まったく無関係な4人だが、本人たちも気づかぬところで、実は不思議な繋がりがあった……。