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「派遣社員あすみの家計簿」③青木祐子

2022年02月07日 08時20分12秒 | 読書(小説/日本)


「派遣社員あすみの家計簿」③青木祐子

シリーズ3作目が出たので、早速読んでみた。
それぞれの人物造形が良く出来ている。
「いるいる」、と思わせる登場人物たち。
その行動に対する地の文での登場人物の口を借りて著者解説が的確。

前作同様、男女のすれ違い、価値観の相違を分かりやすくエピソードで披露する技術は秀逸。そのあたりが、「これは経費で落ちません!」と違うところ。「これは経費で落ちません!」は、職場での人間模様、群像劇のようになっていて、「職場」「仕事」を中心に描いている。

本シリーズは、「友情」を描いているが、「男女関係」も大きな要素。どうして別れるのか、あるいは、くっつくのか、偶然とタイミング要素も含めて描いている。特に、男性キャラクターに対する解析は辛辣とも言えるほど容赦なし・・・そこが読んでいて気持ちいい。
さて、出版社の解説では『シリーズ3作目にして完結!』、とある。これで終わりなのか・・・残念。

新婚の夫に対する妻のコメント
P31
「仲よさそう。大事にしてるよね」
(中略)
「そりゃそうよ。大事な大事な高性能ATMだもん。壊れないようにしっかりメンテナンスして、30年間長持ちさせなくちゃ」

P129
あすみは昔から雑魚モテするたちだった。有能な美女にアタックする勇気と自信のない男が、あすみならいけるだろうと踏むのだ。

P136
そうだった。福田は説教臭い男なのだった。まずあすみにいろいろ喋らせ、次に自分が反対意見の正論を述べ、論破して勝ち誇るのが好きなのだ。福田は気持ちいいのだろうが、論破されるほうはたまったものではない。(こんな男っているよな・・・酒の席で説教臭いヤツって、サイテーと思う。自分が説教して気持ちよくなりたいオナ男・・・実は、これって自戒を込めて書いている。歳をとるとつい一言いたくなる時ってある。ぐっとこらえる事が必要。酒の席では「説教」より「笑い」、と思っている)

【関連図書】

「派遣社員あすみの家計簿」①②青木祐子

【閑話休題】
本シリーズも面白いけど、どちらかと言うと、「これは経費で落ちません!」シリーズの方が好み・・・3月18日に新刊が出るようで、楽しみ。

【ネット上の紹介】
渋谷にある人気IT企業に派遣され、SNSに記事を投稿することになったあすみ。三年勤めれば正社員に登用される可能性もあり、三十歳を目前にして将来を考え始める。そんな折、理空也から連絡が。「苦しいよ助けて」―見捨てられず、あすみは指定されたマンションを訪れる。一方、ケンカ別れした豊加とは友人の結婚パーティで再会する。無職だった豊加は小さな商社に就職したようだ。フリーランス仲間と事務所を作った仁子、専業主婦を目指す菜々花、愛人になりたいという優奈。アラサー女子がそれぞれの生き方を模索する中、あすみが選ぶ人生とは!?

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