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「天空の犬」樋口明雄

2013年11月02日 23時05分00秒 | 読書(小説/日本)

「天空の犬」樋口明雄

救助犬・メイとハンドラー・夏実の活躍を描いている山岳小説。
南アルプス・北岳が舞台。
とても面白かった。(犬と山が好きな方はたまらないでしょうね)

次のような構成になっている。
序章   雪崩
第一部 被災地
第二部 山へ
第三部 希望
第四部 向かい風
終章   天空の犬

序章・・・北岳での救助の様子が描かれ伏線となっている
第一部・・・夏実がNPO法人の救助犬チームに混じって東日本大震災の南相馬市に派遣される。救助犬メイとともに五日間にわたる救助活動を終え、帰還するが、心療内科に入院。さらに三ヶ月以上自宅療養と通院、リハビリの日々。精神的なダメージを受ける。実は、彼女には“共感覚”という特殊能力があり、心に深い疵を受けてしまう。
第二部・・・やっと回復した夏実。新しい内示を受ける。南アルプス署地域課へ転属。翌年山岳救助隊に任命される。

P66
山岳救助といえば、危険な山を舞台に活躍する屈強な男たちの世界である。だいいち自分は登山はおろか、ハイキングやキャンプすら、ろくにしたことがない素人。まして遭難者を背負って難所から下ろすようなハードな日常に耐えられるだろうかと思っていたら、山岳救助犬のハンドラーとしての赴任なのだといわれて納得した。

北岳が舞台になる第二部から、どんどん面白くなる。
山の素人である夏実が努力して一人前になっていく様子が描かれる。
同時に、山によって心の疵も癒やされていく。

P330
夏実のセリフ(成長の証が読み取れる)
「山岳救助隊に階級なんて関係ない。ここでは山のベテランであるか、そうじゃないかが大事なんです。他人の命を預かって無事に家に戻すことが、私たちの仕事だから」

*先日、文庫本にもなった。↓
 

【ネット上の紹介】
南アルプス山岳救助隊の新人隊員・星野夏実は、相棒の救助犬、ボーダーコリー=メイとともに、北岳にある現地警備派出所に着任した。過酷な訓練と、相次ぐ山岳事故、そして仕事への情熱と誇り。そんな日々の苦楽をともにする仲間にも打ち明けられない秘密が、彼女にはあった。東日本大震災の被災地で目の当たりにした凄惨な光景―“共感覚”という能力を持つがゆえに受けてしまった深い心の疵が、今もなお越えられぬ岩壁のように夏実の前に立ちはだかっていた。やがて立て続けに起こり始める不審な出来事。招かれざるひとりの登山者に迫る陰謀と危難を察知した夏実は、猛り狂う暴風雨の中、メイとともに命をかえりみず救助に向かった…。

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