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巨星墜つ─スロベニアの偉大なるアコーディオン奏者 Slavko Avsenik 死去

2015年07月03日 | 音楽


スロベニアの偉大なるアコーディオン奏者、Slavko Avsenik(スラヴコ・アヴセニク)が昨夜、この世を去りました。
昨年11月に85歳になったときはまだまだお元気そうだったのですが…
と言いつつもいつかその日は来るんだと覚悟してなかった訳じゃないんだけどやはり時が来るとショックはデカイです。
元々ジャンプ好きで、プラニツァでのW杯で大ジャンプが出たときに流れる「Planica Planica」を演奏しているのが
誰なのか、と言うところから入ってSlavkoと出会ったこともあり、やはりこの曲の思い入れがまず強いわけですが、



だがやはりSlavkoと言ったらこの曲でしょう。「Na Golici」、ドイツ語でのタイトルは「Trompetenecho」。
元の曲名の意味は「ゴリツァの上で」で、ゴリツァとはSlavkoの故郷近くのオーストリアとの国境にある
標高1836mの山の名前です。



この曲と出会ったときの衝撃は凄かったなぁ、
まぁ自分が最初に聞いたのはメンバーが何人か代わった後のバージョンなんだけども、ここは黄金時代のメンバーで。
この曲、元々Slavkoが工場で働いていたときにミシンのリズムから着想を得て、1つ上の兄Vilkoと共に作ったたんだとか。
1953年のことで、最初はトリオでの演奏で、ラジオ録音だったのがそれが大きな反響を呼んだようで、
その年にギターが抜けてトランペット(85年まで一緒に活動することになるFranc Košir)、さらに兄Vilkoが
クラリネットで加わってカルテット
55年にギターのLev Ponikvarが復帰、クラリネットがZoran Komacに、バリトンがMik Sossに交代してクインテット
(まぁこの頃にはボーカルも付けてインスト以外も出してるんだけど)となって曲も完全体となった感じで、
そのクインテット「Gorenjski kvintet」の演奏でその曲はスロベニアだけでなくドイツ語圏を中心に1000万枚以上を
売り上げて、カバーされた数も600を超えるとか。その中には日本のエーデルワイスカペレなんかもあるんだろうね。
その活躍でドイツでは故郷ゴレンスカのドイツ語名オーバークラインから「Oberkrainer」の名が付き、
その後後追いのバンドがこの名を冠することが増えたのでドイツ語圏では「Original Oberkrainer」となった訳ですね。
そして1961年にクラリネットがAlbin Rudanに交代、自分にとってはここからのメンバーが一番印象深いというか
一番好きですね。

他にも30以上のミリオンヒットを持つ彼ですが、個人的にはNa Goliciと一緒に知った
「Slovenski pozdravi」(独:Slowenische Grüße)も凄く好き。
まぁこの曲はLevさんの指笛が全部持って行っちゃうけどもw



上の2つの曲と出逢い、Slavkoの音楽を本気で好きになったのは98年のLustigen Musikantenのカナダ・ウィスラーでの
ツアー放送に出演した時のメドレーなんですけどね。Ansambel Bratov Avsenikとしての活動は終わり、
Gašperji(独:Die Jungen Oberkrainer)と一緒に活動していた頃ですね。



これを知ってからもう4年になるけど当時とはまた見え方が違ってくるね、本当。
そんなこんなですが彼の影響で同じスタイルのバンドが続々登場し、ドイツ語圏で言えばそれこそSchürzenjägerや
Klostertaler、Alpenland Quintett、Goldried Quintett、Nockalm Quintett…そしてTrenkwalderやAlpenRebellenさえも…
スロベニアでもAlpski KvintettにGašperjiにSlovenski Zvokiに…
そして今はSlavkoの孫Sašo Avsenikが主催するAnsambel Saša Avsenikaが活躍している。
アルプス圏のフォルクスムジークに大きな革命をもたらしたSlavkoだけど、自分の音楽感にも革命をもたらした。
Slavkoの影響から発展していった今日のフォルクスムジークを今自分は愛している。

Slavkoのアコーディオンの音色って何だろうね、聴いてて心が晴れ晴れして来るというか、
本当明るくて元気になれるサウンドなのよね、その旋律といい。だから本当大好きなんです。

Slavko Avsenikという偉大なるアコーディオン奏者がいたことをいつまでも忘れない。
そして彼の名が不思議なくらい知られていない我が日本でももっと知られて欲しい…

ありがとう、Slavko Avsenik、あなたの素晴らしいアコーディオンの音色をいつまでも忘れない。
安らかに眠れ、そして願わくば天国でかつての仲間達と再会していることを。
R.I.P. Slavko Avsenik…


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