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「手を渡す」高等戦術

2010年10月23日 | 囲碁
 10月11日の清水女流王将とコンピュータの将棋対局は、清水女流王将の凛とした姿勢が印象的だった。取材カメラの数も相当多く、負けると正式対局でのプロの初黒星になる訳だから、相当なプレッシャーがかかっていたのだと思う。そして、コンピュータには、プレッシャーがない。終盤は完全読み切りモードになるので、持ち時間が少なくなっては、間違えるのは人間の方だ。

 将棋でも囲碁でも人と人のタイトル戦○番勝負では、例えばわざと下位の者が上座に座ったり、自分に有利な局面での打ち掛け(一日目の終了)をとったりする盤外での「心理戦」も発生する。平常心を失った方が負けである。

 一般の対局では、そのような「心理戦」まではいかないものの、ある種の「駆け引き」が存在する。
 先々週のNHK杯(将棋)予選の放送の解説で、米長邦夫氏が「勝負は、初めから終わりまで最善手を指して勝つというのが理想だが、それはあり得ない。お互いに間違いは発生するし、最後に間違えた方が負ける。そのようななかで「手を渡す」という高等戦術がある。非常に手が広い局面で相手に手番を渡すと、相手が間違う確率が増えるのだ。」というようなことだったと思う。

 プロは、アマチュアとは別の次元で戦っているようである。

 別な見方をすると、そのような戦いのないコンピュータの手、棋譜というのは、強くなったとしても面白みがないのではないかと思うのだが。

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