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囲碁・手抜きの高等戦術3

2012年04月08日 | 囲碁

さて、囲碁の「手抜き」の呼吸。囲碁は、単純に大きいところから打っていけばいいというものでもない。

下の図。二連星から黒5とカカルと、白は小ケイマに受けるのもあるのだろうが、模様の碁にしたくない場合、白6と厳しく挟んでくる。
この場合、黒は、「三三に入ったり」、「両ガカリしたり」、「一間に飛んで白6の石にカケたり」する選択手が見える。明らかにこれが最善!という手があればそれを打てばいいが、盤面がまだ広く、最善手がよく分からなかったり相手に変化(対応)の余地があってこちらの意図を外されたりすることがある。



その場合、例えば、左下を手抜きして左上に黒7とカカッテみる。相手の打ち方によって、「三三に入ったり」、「両ガカリしたり」、「一間に飛んで白6の石にカケたり」する候補のうちどれが最善かをはっきりさせ、自分の打ち方を決めていこうという高等戦術である。相手が打った手の価値を小さくしてしまう効果がある。



因に次の図は、黒7に対し白が8と受けた場合の進行の一例。黒9と両ガカリして、この場面では白の厚みの働きが今一で、白の石が偏った感じになっている。黒7で、先に左下に両ガカリした場合、後から左上に黒がかかっても、白は受けずに左下の厚みをバックに挟んでくるはず。



黒7に対し白が8と挟んできた場合の一例は、次のとおり。黒19が右下の白石の価値を減じている。
布石で、先行しなければとバタバタ決めてしまうのではなく、相手に打たせてその価値を減ずる面白い感じではある。