goo blog サービス終了のお知らせ 

SMILEY SMILE

たましいを、
下げないように…

勝手に継承

2004-08-08 08:25:40 | 太宰
太宰さんが亡くなったのは、

昭和23年6月13日か14日

私の母が生まれたのは、

昭和23年12月25日

きっと、太宰さんのたましいは、

キリストの生まれた日を撰んで、

生まれたばかりの母の中に入ったんだと思う。

そして、次の生のために、休眠を取った。

昭和50年6月9日

残念ながら、太宰さんと同じ19日には出てくること叶わずも、

また、この世に生まれたのであります。

そうして、目の前に死をちらつかせて生きることを止めた

太宰さんのたましいは生まれ変わったのであります。


などと、勝手に妄想して、結びつけてほくそえんでいる男は、

不憫かもしれない。





村上春樹と太宰さん

2004-08-08 07:40:29 | 太宰
全く共通項がなさそうな、このお二人。

太宰的なものを否定したところに彼はいるのだろう。

「風の歌を聴け」「スプートニクの恋人」「ノルウェイの森」・・・

何冊か、読んだことがある。

おもしろかった。

それだけといえば、それだけだった。

おもしろいだけで十分じゃないか。

でも、それだけだったら、再読には値しない。

この辺り、複雑な心境。




太宰シェフの心づくし

2004-07-24 03:03:03 | 太宰
ためになる。

それが、何だ。

おいしいものを、所謂、「ために」ならなくても、味わなければ、何処

に私たちの生きている証拠があるのだろう。

おいしいものは、味わなければいけない。味わうべきである。

 ・・・・

何がおいしくて、何がおいしくない、ということを知らぬ人種は悲惨で

ある。

 ・・・・

おいしさ。舌があれていると、味がわからなくて、ただ量、或いは、歯

ごたえ、それだけが問題になるのだ。せっかく苦労して、悪い材料は捨

て、本当においしいところだけを選んで、差し上げているのに、ペロリ

と一飲みにして、これは腹の足しにならぬ、もっとみになるものがない

か、いわば、食欲に於ける淫乱である。私にはつき合いきれない。

~「如是我聞」


引用長過ぎですね。

これは、勿論、小説についての話です。

でも、そのまま「食べること」として考えても、十分です。

食べることの喜び、歪んでませんか?

カルシウム、ビタミン、栄養素云々は大事です。

私も「食」に携わる人間ですから、そんなことばかり考えていることも

事実。

でも、一番大事なのは、笑顔で、みんなと食べること。

あぁ、おいしかったね!!にっこり。









天使の風貌

2004-07-23 15:34:45 | 太宰
先ほどの太宰追悼文の続き・・・。

花田清輝曰く、

「笑っているかれの背後には、絶えず死の天使の翼のはばたきが、きか

れた。」

「人間失格」の結び、

「……神様みたいないい子でした」

この言葉は、自己への救いと捉えていいのだろうか。

世の中に、天使は、確かに、いる。



恍惚と不安と

2004-07-23 15:29:01 | 太宰
撰ばれてあることの

恍惚と不安と

二つわれにあり

                  ヴェルレエヌ


太宰さんの処女作品集「晩年」の「葉」

の冒頭の句。

これは太宰の言葉だと勘違いしている人もいるかもしれない。

もともとはヴェルレーヌがキリスト教に回心した頃の詩らしい。

太宰さんの使い方は、うまい・・・。

(ちなみに、「生まれて、すみません」も彼の言葉では、ない)

見事、自分の心情を託しきっている。

で、自分はというと、おこがましい話だけれども、

似たような感覚に襲われることが、ある。

これは、特別な感性では、ない。

人として、人間として生きて在ることへの感謝、のような感情。

撰ばれる、と、恍惚という言葉に騙されては行けない。

不安、というこの言葉が、一等大事なんだ。

澄切った・・・

2004-07-23 13:41:56 | 太宰
ああ、暑い・・・。

これからビールを飲むことのいい訳のように、口からこぼれた。

一番搾り

「澄みきった、コク」


ふと、渡辺一夫の太宰さんへの追悼文のタイトルが、思い浮かんだ。

「澄切った切なさ」

太宰さんを表わす、見事な評だと思う。

太宰さんは、こんな渡辺一夫に、死の直前「如是我聞」というエッセイ

で痛烈な批判をしている。渡辺氏もそれに対する申し開き、弁解という

意味もあったのかもしれない。

心の中の事情はともかく、渡辺氏の捧げた花はフォスフォレセンスのよ

うに可憐な花だった。

太宰さんは詩の人

2004-07-21 15:40:46 | 太宰
「私は、詩人というものを尊敬している。純粋の詩人とは、人間以上の

もので、確かに天使であると信じている。だから私は、世の中の詩人た

ちに対して期待も大きく、そうしてたいてい失望している。天使でもな

いのに詩人と自称して気取っている変な人物が多いのである。」

~「散華」

または、(当時の)詩自体を

「散文をただやたらに行をかえて書いて読みにくくして、意味ありげ

に見せかけている」~「郷愁」

と言い切ってもいる。

「私は、中原中也も立原道造も格別好きではなかったが、津村だけは好

きであった」~「同」

私は、津村信夫を読んだことがない、というか、中也も立原道造もほと

んど知らない。不勉強・・・。

太宰さんは他人の気障はお嫌いのようで、自分は十分気障で、三島に

「田舎者のハイカラ趣味」などと言われてしまっている。

まあ、太宰さん自身、「他人の甘さにはめくじらを立てるくせに、自分

の甘さを美徳のように考えたがる」と言ってるけれど。

私が、やたら改行するのは、気取ってるから・・・?

いや、単純に、この方が、読みやすいと思うから・・・。


兎も角、太宰さんは、小説家というより詩小説家という言葉が似合う。

この現代に到るまでの愛され方にしても。

詩小説といえば、プーシキンの「エウゲーニイ・オネ―ギン」を太宰は愛していたよう

です。

ひたすら待つ太宰さん

2004-07-21 15:09:14 | 太宰
太宰さんは、ずっと、待ってます。

今も、この今も。

「満願」
「走れメロス」
「待つ」
「斜陽」

待つということは、信じるにも通ずる。

祈り?

それは、果たして来るのか?来ないのか?

いや、来る来ないは問題ではないのかもしれない、

「なんだか、もっと恐ろしく大きいものの為に」~走れメロス

「もっとなごやかな、ぱっと明るい、素晴らしいもの」~待つ

待つということの、ドキドキ。

待たされるということの、不安。

待たせるということの、焦燥。

そういった感情の中で日々生きている。

でも、もっと、恣欲を超えた所にも何かあるような気がしてならないんだ。







金魚

2004-07-12 11:08:23 | 太宰
金魚も、

ただ飼い放ち在るだけでは、

月余の命、保たず。       太宰治

「二十世紀旗手」・・・いや、「HUMAN LOST」でした。

自らを金魚と言い得る矜持、若き太宰君、痛々しい青春の日々です。

私は、目が大きいので「出目金」とアダナされてたっけ・・・。

最近、若い子に「後生畏れるべし」と感じること、多くなってきました。

でも、案外そのままだったり、落ちてしまったりするのかなあ。

才能を伸ばすなんていうこと自体、大それたことなのかもしれません。

現状維持、一歩前進、で息も絶え絶え、汗びっしょり。

経験でカヴァーするか?っても、まだまだヒヨッコ。

・・・とにかく走り続けるほかないようです。


また、よかん

2004-07-10 12:54:19 | 太宰
太宰の「愛と美について」より、


いくら、新宿の街を行きつ戻りつ歩いてみても、いいことは、

ございませぬ。それは、もう決まって居ります。

けれども、幸福は、それをほのかに期待できるだけでも、それは幸福

なのでございます。

花言葉

2004-07-04 00:41:07 | 太宰
ぽかんと花を眺めながら、人間も、本当によいところがある、と思った。
花の美しさを見つけたのは、人間だし、花を愛するのも人間だもの。
                         
「女生徒」太宰治

なんかこの言葉、変だけどなんか好きなんですよね。
私もぼんやり、花を見ていて、なんで美しいんだろ、と考えた。
赤やピンクの鮮やかさと葉や茎の緑のコントラストがいいんだなあ・・・、きっと。

何故、人は花を愛するのか?


フォス・フォレッセンス

2004-06-24 02:56:54 | 太宰
太宰の作品としては異色といえる短編。
夢と現実、のお話。
終戦後から死まで、怒涛の3年間で太宰が惜しみなく見せつけた傑作短篇群の代表的な一作。

「私は、この社会と、全く切りはなされた別の世界で生きている数時間を持っている。それは、私の眠っている時間である。私はこの地球の、どこにも絶対に無い美しい風景を、たしかにこの眼で見て、しかもなお忘れずに記憶している。
私は私のこの肉体を以って、その風景の中に遊んだ。記憶は、それは、現実であろうと、また眠りのうちの夢であろうと、その鮮やかさに変わりが無いならば、私にとって同じような現実ではなかろうか。」

夢の中に美しいものがある、桃源郷がある。
弱さと美しさの危ういバランス
夢と現実の往還が際立っている。
でも、ひょっとしたら、太宰さん、すこうし出来に不満だったかもしれない。
でも、それは、マイルスが、「Kind Of Blue」に不満を持っていた程度かもしれないが。
フォスフォレッセンスという花はあるんでしょうか?
一度見てみたい。
どんな香りがするんだろう。

私は、日常生活とブログ生活が混沌として来ている。