さて、今日は、すてきなすてきな詩をご紹介したいと思います。
例によって、太宰さんです。
「花一輪」
サインを消せ
みんなみんなの合作だ
おまえのもの
私のもの
みんなが
心配して心配して
やっと咲かせた花一輪
ひとりじめは
ひどい
「どれどれ
わしに貸してごらん」
やっぱり
ぢいさん
ひとりじめの机の上
いいんだよ
さきを歩く人は
白いひげの
羊飼いのぢいさんに
きまっているのだ
みんなのもの
サインを消そう
みなさん
みなさん
おつかれさん
犬馬の労
骨を折って
やっと咲かせた花一輪
やや
お礼わすれた
声をそろえて
ありがとう、よ、ありがとう!
(聞こえたかな?)
すてきなすてきな詩に、説明は蛇足ですね。
詩は、人間が生むものなんだけれども、生まれてしまったら、もうその人の
ものではない、そんな気がするのです。
あたらしくうまれた、いのち。
たとえば、風の音、匂い、温度。
感じる人は、敏感に反応します。皮膚感覚?
感度の差は、どうしようもないもの、仕方ない。
わかるものは、わかる。
わからないものは、やっぱりわからない。
それでいい。
わからないのに、わかったような顔するのは、
なんだか、哀しくなりますね。
感じたものを、その感触を損なわず、言葉に移しかえる。
あなたの感覚は、この星をどんなふうにとらえるの?