新型インフルエンザ・ウォッチング日記~渡航医学のブログ~

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opinion@zav.att.ne.jp(関西福祉大学 勝田吉彰研究室)

グラクソ社ワクチン副作用報道のゆくえは?

2009-11-24 14:42:34 | 政策提言/政策への疑問

当ブログで21日に紹介した(元ソースは19日付)の、グラクソ製ワクチン回収騒動@カナダ件、
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/e41679f293d407b90697e42eb03a7554

昨日23日になり朝日が追いかけ
http://www.asahi.com/health/news/TKY200911220249.html
今朝になり、ほぼ全紙に載り・・・という状況。

さて、これからどう動いてゆくのか、ウォッチャーとして興味深々です。いくつか視点、見どころを提示しましょう。

  • これまで、カナダのドタバタ劇、少々お粗末な話、等々、いやというほどいっぱい紹介してきました(それだけ現地報道があるからですが)。 しかし、(ウクライナやエジプト話に比べ)カナダ話はいまいち関心盛り上がらずという雰囲気でしたが、なぜか唐突にこの話は新聞各社に拡がっています。他のカナダ話に比べ突出。なぜか?
  • なんらかの意図(スピン)をもって朝日に流され、そして他紙がワッと追いかけという状況になっているのかもしれません。かなり上手です。
  • 霞ヶ関のあるグループの皆さんが、海外製ワクチンがお好きじゃないという話は、今や木村ブログやロハスの独占情報ではなく一般メディアにも報じられています。すでに有名です。
  • 国産ワクチンが、合併症もち高齢者の死亡例2桁程度の線でどうにかやってゆける事がわかった今、このタイミングでこの情報が流れれば、世間一般が抱くイメージは?
  • で、次なる見どころは、「厚労省から現地に急派される調査団」の帰国後記者会見あたりでしょうか。
  • あるいは逆に、今回の一斉報道の後、沙汰やみになるという展開も予想されます。今回だけで十分だとなると・・・

以下、管理人の私見。

管理人は、ここ数か月の世界各地のドタバタをウォッチしながら、「ワクチン安保」の視点が重要と考えています。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/6611e5e80f9faad3318e24de0e9a8693

「現行どころじゃない、H5N1級や、それ程じゃなくてもスペイン級のものが襲ってきたら、ワクチン生産国は自国向け優先して輸出停止するであろう。だから、自国で自国民カバー出来る程度のワクチン生産能力を持っておかなければならない」という論です。 ノバルティス米工場の記事でも述べられています。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/b3942baf18caa5b11793a1676bc16a01

よって、厚労省の方々と阪大微研はじめワクチンメーカーの方々が巷間言われている”密接なお付き合い”をされるのは悪いことではないと考えます。
また、今回の件で、(実際の不幸な犠牲者発生なく)世間のムードがそういう方向にゆくのなら、それはそれで一定の評価も出来るかなと思います。

ただ、同時に、国内関係者の皆さんには、「使う人の身になった」製品の開発努力を求めたいと思うのです。
つい先だっての「10mlバイアル問題」に象徴されるごとく、机上だけで決めたような話はいかにもマズイ。 海外医療現場を経験した人間には、日本製ワクチンの使いにくさはいかにも歯がゆいのです。こういった部分を改良され、「使う人に優しい」製品開発とセットで、ワクチン安保を確保していっていただきたいと思う次第です。↓参照ください。
http://blog.goo.ne.jp/tabibito12/e/e208e6feaddb27788515f00f2c4584ba

 

コメント (1)
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ノバルティス細胞培養法新工場に期待寄せる米国

2009-11-24 14:13:49 | インフルエンザ:海外の動き/海外発生

ノバルティス社が米ノースカロライナ州に大規模工場建設計画。

  • ノバルティス計画。米国内にて、細胞培養法による大規模工場計画。
  • 米国CDCは、少なくとも国民1億6千万人にワクチン接種させたい意向をもっているが、これまで供給できたワクチンはわずか5千万人分。絶対的不足。
  • 新工場稼働すれば、
  • 生産予定は細胞培養法、アジュバント入り製品。
  • アジュバント入りは、現行、米国内では認可されていない(欧州ではドイツはじめ、すでに認可)。米国ではさらに別のデータ必要要求、軋轢も。(ノバルティス社スポークスマンEric Althoff氏は、欧州で認可されていることを引き合いに出し、米国内で生産して欧州へ輸出することも出来るのだよ・・・とすごんでいる)
  • 米国内で生産できるワクチン量は、必要量を全部まかなうには至らない。グラクソ・カナダ工場は、米国からのオーダーを満たせるのは、カナダ国内向けのオーダーが終わった後になるとしている。また、もっと激しいパンデミックが起こったとき、ワクチン生産国は製品輸出を差し止める可能性がある(ゆえに、米国内で生産できる能力を高める必要がある)。

アジュバントをめぐり軋轢はあれど、ワクチン安保の視点から、おおむね歓迎という雰囲気のようです。

ソースは11月23日付ロイター↓
http://www.reuters.com/article/internal_ReutersNewsRoom_ExclusivesAndWins_MOLT/idUSTRE5AM2XR20091123
Next-generation flu vaccine plant to open in U.S.

 


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