音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

但馬路をゆく 湯村温泉

2006年12月13日 | インポート

   湯村温泉へは若い頃、幾度となく訪れているけど、その景観に格別の変化はない。それは誰もこの鄙びた里に変化を求めないからだ。今日は氷雨が降っている。以前訪れた時も季節は冬で、やはり今日のような氷雨が降っていた。ぼくはそんな風に昔に思いを馳せながら紅葉の進む通りを歩いていく。 Yは風邪が悪化すると言い張るので駐車場に残したまま、ぼく一人で通りを歩き始めたのだ。ぼくのBlogは大別すると、三つの伏線に分類される。未来、現在そして過去。四十数年生きてきたので過去が大半を占めている。輝かし過去もあれば思い出したくもない過去もある。現在は人間関係がパラレルだ。ぼくには愛する女が居て、愛する家族が居る。でも、肝心な家庭がない。人間関係はきわめて希薄だ。それを世間一般では「異質」と呼ばれもなんら不思議はない。そんなふうに考えを巡らしていると目の前に石段が現れる。 雨で濡れた路面が光っている。ぼくは想念を引き戻す。…未来はぼく自身にもわからない。それはこのBlogがいつまで続くか誰もわからないように。けれど、過去や今生きている現在があるから、未来があり、そこへ繋がっていく気がする。…商売熱心な年配の女が店から通りに現れ、売り物を買わないか勧める。ぼくは丁重に断り、歩を進める。 ぼくはBlogで本について語っている。音楽についても語っている。そのいずれでもない事についても語っている。しかしそのすべてがどこかでリンクし、大小さまざまな歯車となり連動してゆく。それがぼくのBlogの最大の特徴だし、「謎」の部分だと思う。いわばぼくのBlogはそれ自体立派なミステリー性を孕んでいる。 ヒントは今までのBlogのなかで提示してきたつもりだし、このBlogの意図する事柄が何なのかを暗示している。ぼくは普段は寡黙だが、ことBlogになると話は別で、至って饒舌となる。吉永小百合主演の『夢千代日記』が上映されたのはいつの事だったろう。随分前の事で忘れてしまった。豊岡の映画館で観たのは覚えているのだけど、大雑把な年月さえ思い出せないでいる。話の筋も朧げで当時観た覚えのある『天国の駅』や『おはん』とストーリーを混同してしまう有様だ。 …余談だけどぼくがはじめて覚えた女優の名前が「吉永小百合」だと母親から聞き、幼い頃、TVで「吉永小百合」が映ると「さゆり! さゆり!」と嬉しそうに騒いでいたらしい。 今回のBlogは過去に向かって思い出を辿る旅だ。ここにYがいないことはもしかしたら大きな意味があったかもしれない。 ぼくはそんな思いを胸に湯村温泉を後にする。石段の上からは大勢の観光客が降りてくる。冬場にシーズンを迎えるこの温泉地はいつにもまして華やいで見えた。紅葉に彩られた通りを抜け、Yが待つ駐車場に歩を速めた。  


最新の画像もっと見る

コメントを投稿