音盤工房

活字中毒&ベルボトムガール音楽漂流記

ボブの遺志を継ぐリタ・マーリィー渾身の名盤

2010年03月13日 | インポート

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 僕の人生の中でもしもボブ・マーリィーのアナログ盤との出会いがなかったら、きっとレゲエという音楽は僕のライブラリーには存在しなかった。

 もしもボブ・マーリィー&ザ・ウェイラーズの『CONFRONTATION』を聴かなかったら、そう、リタ・マーリィーの『HARAMBE』を聴くことは絶対にありえなかった。

 そう考えるとボブ・マーリィー亡き後に、妻のリタ・マーリィーとクリス・ブラックウェルにより編集されたこの追悼アルバムがいかに僕のその後のライフスタイルを変えて行ったかがわかると言うもの。

 久しぶりにそんな回想に耽りながら『HARAMBE』を聴くと、彼とザ・ウェイラーズが遺したレゲエという音楽の偉大さを感じずにはいられない。

 このアルバムは、夫を、そしてかけがえのない友を亡くした者達の鎮魂歌のようにも聴こえる。リタのソウルフルなヴォーカルが時にはゴスペルを歌うように神々しく厳かであり、時に愛に満ちたラブソングのようにも聴こえ、そのいずれもがボブ・マーリィーが愛したレゲエ・ミュージックのあのもの悲しいサウンドに包み込まれている。

 つい先日のこと、そろそろ新しいレゲエアルバムでも聴いてみるかとCDショップを覗いてみて適当なところを試聴して廻ったが、悉く、数曲聴いてすぐに棚に戻してしまった。

 ヒップホップはそれほど嫌いという訳ではないけれど、レゲエにそれらを持ち込むほど僕の頭は柔軟ではないのだ。せっかく脳みそを最新のレゲエサウンドで満たそうとした僕の思惑は見事に外れた訳である。

 ボブ・マーリィーの死後間を置かずにリリースされた『HARAMBE』は、1981年から1982年にかけてタフ・ゴング・スタジオで録音された。

 通算2作目となる『HARAMBE』は前作同様、リタ自身に加え、グラブ・クーパー、リッキー・ウォルターズ、ステーブ・ゴルディングらがプロデュース。

 レコーディング・エンジニアとしてエロール・ブラウンやスティーヴン・スチュワートの名前が挙がっている。

 『HARAMBE』は、ボブの遺志を引き継ぎ、まるで『CONFRONTATION』の続編のようなアルバムである。「対立」から一転、「一緒に頑張りましょう」という和解の意味が込められ、ボブ・マーリィーの最後のメッセージに対するリタ・マーリィーの答えのようなアルバムとしても聴くことが出来そうだ。

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