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まずは、おめでたいニュースからひとつ。
記事としては若干古いけれど、やっぱり取り上げておこうと思って。
「白黒映画には雨が降る」なんて、昔よく言われたものだ。
もちろん本当の雨ではなくて、フィルムのキズ。
「黒澤映画には字幕をつけたがよい」なんて悪口も、よく聞かれたものだ。
たしかに黒澤映画に限らず、昔の邦画は、
音声が聞き取りにくかったものだ。
ノイズが入りまくって。
しかし現在では、ありがたいことにデジタル復元技術というものがあって、
昔の映画を新作同様のクリアな映像と音にすることができるのだ。
そしてこのたび、映画「羅生門」のデジタル復元プロジェクトチームが賞をいただいた。
むろん、邦画初めての快挙だろう。
これを機会に、昔の優れた邦画をどんどんクリアな作品にしていただきたい。
ところが。
よりにもよって、黒澤明生誕100年のめでたい年に。
なんともクリアでない問題が浮上してきた。
例の、佐賀県に建設される「黒澤明記念館」の問題だ。
全文を引用する。
佐賀県伊万里市に建設予定の黒澤明記念館計画をめぐり、事業主体「黒澤明文化振興財団」(黒澤久雄理事長)が不明朗な寄付金管理をしていた問題で、同市の塚部芳和市長は27日、「財団を信じてきたので『寝耳に水』の感だ。財団から正式な説明を受け、議会とともに対応したい」との談話を出した。
同財団に関して西日本新聞の取材を受けた市は26日、財団から直近の2007年度決算報告書を入手。資産状況の確認作業を進めており「市や市議会へのこれまでの報告内容とどう矛盾するかを分析中」(開発推進課)としている。
市はこれまでに、記念館設立などの権利取得や建設用地の取得・造成、本館建設までの仮施設として開設された「黒澤明記念館サテライトスタジオ」の維持管理などの費用を負担。昨年11月までの財政支出は、計3億5千万円に上る。
今回の問題では、記念館建設に向けて企業や個人から募った寄付金について、財団が「約3億8千万円を受領し凍結(保管)している」と市などに報告していたにもかかわらず、直近の決算報告書に資産計上されていなかったことが発覚した。
要するに、寄付金の3億円の使途がわからないということである。
思えば、「黒澤明記念館」を作ろうという話が持ち上がったのは、
黒澤明が亡くなった直後のこと。
ところが、あれから10数年たって佐賀にできたものといえば、
「黒澤明サテライトスタジオ」だけ。
石原裕次郎だって美空ひばりだって、亡くなってからすぐに記念館ができたのに
なんで?
とつくづく疑問に思っていた。
そのことが、このことと結びつくとは思えないが、
現時点では
まるでラショーモンのようだ。
財団は、事実関係をはっきりしてほしい。
P.S.本文中の「まるでラショーモンのようだ」は、日本語で言うところの「真相は『藪の中』だ」とほぼ同義語。
つまり、真相がはっきりしないということ。
日本では原作の「藪の中」を採用しているが、外国では映画化した「羅生門」を採用しているってところがおもしろい。
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