あまくさ人のひとりごち

あまくさ人のひとりごち、つまり独り言です。
撮りだめした写真も併せて載せます。

牛深小森海岸の夕陽

KKC48

第739回 黒澤明 生誕100年なのに

2010-01-27 20:35:01 | 映画
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まずは、おめでたいニュースからひとつ。



黒澤明監督の『羅生門』デジタル復元プロジェクトチームが全米映画批評家協会で映画遺産賞に! - goo 映画


記事としては若干古いけれど、やっぱり取り上げておこうと思って。
「白黒映画には雨が降る」なんて、昔よく言われたものだ。
もちろん本当の雨ではなくて、フィルムのキズ。
「黒澤映画には字幕をつけたがよい」なんて悪口も、よく聞かれたものだ。
たしかに黒澤映画に限らず、昔の邦画は、
音声が聞き取りにくかったものだ。
ノイズが入りまくって。


しかし現在では、ありがたいことにデジタル復元技術というものがあって、
昔の映画を新作同様のクリアな映像と音にすることができるのだ。


そしてこのたび、映画「羅生門」のデジタル復元プロジェクトチームが賞をいただいた。
むろん、邦画初めての快挙だろう。


これを機会に、昔の優れた邦画をどんどんクリアな作品にしていただきたい。


ところが。


よりにもよって、黒澤明生誕100年のめでたい年に。
なんともクリアでない問題が浮上してきた。
例の、佐賀県に建設される「黒澤明記念館」の問題だ。



佐賀県伊万里市長「寝耳に水」 黒澤財団寄付金問題 資産状況を調査(西日本新聞) - goo ニュース


全文を引用する。



 佐賀県伊万里市に建設予定の黒澤明記念館計画をめぐり、事業主体「黒澤明文化振興財団」(黒澤久雄理事長)が不明朗な寄付金管理をしていた問題で、同市の塚部芳和市長は27日、「財団を信じてきたので『寝耳に水』の感だ。財団から正式な説明を受け、議会とともに対応したい」との談話を出した。

 同財団に関して西日本新聞の取材を受けた市は26日、財団から直近の2007年度決算報告書を入手。資産状況の確認作業を進めており「市や市議会へのこれまでの報告内容とどう矛盾するかを分析中」(開発推進課)としている。

 市はこれまでに、記念館設立などの権利取得や建設用地の取得・造成、本館建設までの仮施設として開設された「黒澤明記念館サテライトスタジオ」の維持管理などの費用を負担。昨年11月までの財政支出は、計3億5千万円に上る。

 今回の問題では、記念館建設に向けて企業や個人から募った寄付金について、財団が「約3億8千万円を受領し凍結(保管)している」と市などに報告していたにもかかわらず、直近の決算報告書に資産計上されていなかったことが発覚した。


要するに、寄付金の3億円の使途がわからないということである。


思えば、「黒澤明記念館」を作ろうという話が持ち上がったのは、
黒澤明が亡くなった直後のこと。
ところが、あれから10数年たって佐賀にできたものといえば、
「黒澤明サテライトスタジオ」だけ。
石原裕次郎だって美空ひばりだって、亡くなってからすぐに記念館ができたのに
なんで?
とつくづく疑問に思っていた。
そのことが、このことと結びつくとは思えないが、
現時点では


まるでラショーモンのようだ。


財団は、事実関係をはっきりしてほしい。

P.S.本文中の「まるでラショーモンのようだ」は、日本語で言うところの「真相は『藪の中』だ」とほぼ同義語。
つまり、真相がはっきりしないということ。
日本では原作の「藪の中」を採用しているが、外国では映画化した「羅生門」を採用しているってところがおもしろい。 



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第738回 これはもう指導でも体罰でもないです

2010-01-27 20:03:02 | 教育

さすがは東京六大学の名を冠した附属高校。
教育的指導も、ハンパではない。
もちろん皮肉で言っているのよ。



教諭が生徒を軟禁暴行=修学旅行中、2人大けが-「禁止行為」とがめ・法政高(時事通信) - goo ニュース


「被害」に遭った生徒がどんな生徒だったかは、ワタクシは知らない。
相当横着な生徒だったのかもしれない。
殴らないと話の通らない生徒だったのかもしれない。
それでも、あえて言わせてもらおう。


これはもう、教育的指導ではない。
体罰でもない。


暴力行為そのものである。


そりゃあねえ。
ワタクシも、高校時代に持っていってはならないものを持っていった。
携帯ゲーム機なんてものはなくって、ファミコンを。
旅館のテレビに接続して遊んでたものだった。
修学旅行先の本屋でエロ本を買ってまわし読みをしたこともある。
友人はワインを買ってきてその日のうちに一本空けてしまい、
泥酔状態の挙げ句、バレて停学を食らってしまった。


もう何十年も前の話だが。
ワタクシも含めて、誰も教師からボコボコに殴られたという話は聞かない。


それを考えると、今回の一件は、常軌を逸しているとしか思えない。



 2教諭は16日夜から18日にかけ、宿泊先のホテル食堂で、同校で禁止している携帯ゲーム機やスノーボードを持ってきたといった理由で、9人の生徒を正座させたという。9人は期間中、外出できなかった。教諭は没収したゲーム機を折るなどして壊したという


 さらに殴るけるの暴行をし、没収したマージャン牌を入れたみそ汁を飲ませたり、自分の髪を強制的に刈らせたりした。夜から朝まで半日間眠れず、断続的に暴行を受けた生徒もいた


 うち2人の生徒は頭やひざなどに2~3週間のけがを負い、登校できない状態が続いている。暴行を見たため、不眠や食事ができないと訴える生徒もいる。(上記記事より)


また、別の記事では



特に体罰がひどかった3人に対しては、食堂で夜8時から翌朝8時までほとんど寝かさず正座させ、手やゲーム機で頭を殴ったり、ひざをけったりしたという。この教諭2人は、過去にも生徒を殴ったり正座させたりという体罰をしていたという。旅行には別の2人の教諭も同行しており、4人とも自宅謹慎している。


 14~18日の旅行中、3人を含む9人が、ゲーム機や携帯電話を隠し持っていたり、浴場で大声を出したりしたとして、食堂で長時間正座させられたまま、頭から水をかけられたり、床に落ちたマージャンパイを入れたみそ汁を飲まされたりするなどの体罰を受けた。2人は打撲やむち打ち症で全治2~3週間のけが。体罰はほかの生徒がいる前で行われ、9人以外の生徒の持ち物も含め携帯電話やゲーム機数十台をこわした。旅行の参加者全員が精神的なショックを受けているという。(本日付朝日新聞記事より)


往年の「戸塚ヨットスクール」も真っ青の「指導」。
何かもう、28歳と36歳教諭の中で、何かがはじけて吹っ飛んでしまったとしか言いようがない。
一体何が、延々12時間にもわたる「指導」に駆り立てたのだろう。


それにしてもだ。
禁止されているものを持ってきただけで、こんな「指導」を受けるのである。
まして飲酒や喫煙が見つかったら、どんな「指導」が待っているのだろう。

イッキ飲みを強要した挙げ句、
夜の北海道に裸で放置するのか。
それとも、全身にタバコという名のお灸を据えられるのか。
はたまた、「お前がタバコになれ」とばかりに、
頭に火をつけられるのか。


こういうのを世間では、「拷問」とか「虐待」とかいうのだが。


ところで、法政大学中学高等学校のHPではお詫びの文章が掲載されていた。
全文を引用する。



 マスコミ報道にもありますように、今月実施いたしました高校2年生の修学旅行(北海道エリア)におきまして、引率教諭による複数の生徒に対する指導の範疇を超えた暴力行為などがありました。誠に痛恨の極みであり、直接被害に遭われた生徒の方々のみならず、他の生徒の皆さん、保護者の皆さま、そして関係各位に多大なご迷惑をおかけしましたことを深くお詫び申し上げます。また、本校入学を希望する受験生の皆さまにも、不安や不信の念を抱かせてしまうこととなり、心よりお詫び申し上げます。

 今回の件を重く受け止め、直ちに理事長を本部長とする「対策本部」を設置し、本校のみならず、学校法人法政大学全体としてもこの問題に対応いたしております。事実関係に基づいて関係者の厳正なる処分を検討するとともに、身体的・精神的苦痛を与えてしまった生徒の皆さんへのケアを最優先として、具体的な対応を実施しております。
 それとともに、教育がどうあるべきかという原点に立ち返って、生徒指導や学校運営の在り方を全面的に見直し、二度とこのような不祥事が起こることのないよう、信頼回復に向け、万全の体制のもと、全学を挙げて取り組む所存でございます。

 皆様には、多大なご迷惑とご心配をおかけしましたことを重ねて深くお詫び申し上げます。


                                          2010年1月26日 法政大学中学高等学校


 


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