打撃時に1度バットが下がったらどれだけズレるのか。ひじを上げて腕力で振りに行くと…肩から手首35cm バットの長さ75cm とする。肩を中心とした円周110×2×3.14=約690(cm)360で割ると1.92(cm)。一方、脇を締めてなるべくグリップをからだに近付けてボールをとらえようとした場合…バットの長さ75cm以内のズレとすると。75×2×3.14=(約)470(cm)360で割ると1.31(cm)。「約6mm」この差は致命的だ。“コンパクトに” “最短距離で” “脇を締めて” 振った方がいい理由がここにもある。
投球時に手元でコントロールの角度が1度ずれたらホームプレート上でどれくらいズレが生じるのか。ピッチャープレート~ホームプレートは16m(小学校高学年)これを半径とする円の円周16×2×3.14=約100(m) 360度で割ると0.279(m)…約28cmズレるのだ。ピンチで「打たせるよ~」って言うけど、打たせたピッチャーを見たことない。冷静でいられない状態では1度くらいズレて当たり前か・・・
野球は投手と打者の勝負から始まる。ストライクの取りやすさ(投手)と芯でのとらえやすさ(打者)を比べてみる。ピッチャープレート~ホームプレートは16m(小学校高学年)ストライクゾーンたて方向60cmとすると、0.6÷16=3.75%。 肩から手首35cm バットの長さ75cm、バットのスイートスポット2cm(バットの直径約6cmの1/3)とすると2÷110=1.82%。 投手が約2倍有利ということは打率3割にかなり近い結果である。ストライクが入ればアウトというわけではないし、芯でとらえればヒットでもないからこれが全てとは言えないが、この比較はなかなか面白いと思う。
いわゆる「コツ」として感覚的に認識されている動作について、物理学的・人体力学的根拠があってアドバイスしているのか、学生時代にコーチに教わった通りに言っているのかで、同じことを言っていても伝わり方が違う。
コーチングにおける大きな課題は、自分の感覚とはたから見た印象は違うことが多いということである。
「感覚を伝える」ことは難しいし、感じ方はひとりひとり違うから表現が変わる。例えば「最短距離でボールをとらえろ」「内側からバットを出せ」「開くのを我慢しろ」「グリップを残せ」などは、いずれも同じような体のパーツの使い方、バットの動き方になる。