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スウェーデンの家族 (プラスチックな関係)

2022-06-09 14:21:54 | スウェーデン

 

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で、長いです。いつもよりは、短いけど。覚悟して読んでね

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グラン通り4番地に住んでいるヨーナスは、35歳。妻のエレンは年上の37歳。17歳と5歳の子供がいる。でも、この子たちは、エレンの連れ子で、ヨーナスの子ではない。

同じアパートのハッサンはリンダと同棲中。結婚はしていない。リンダは妊娠中である。

やはり同じアパートのブッセは48歳。離婚して一人暮らし。ときどき、成人した子供が遊びに来る。

そしてリーサ。年齢不詳だが、もう若くはない。女優という仕事のせいか、とうとう独身で今まで来てしまった。今も、一人暮らしである。

 

 

え、なんの話かって? 実はこれ、初級のスウェーデン語の教科書の登場人物なのだ。日本人の常識から見ると、教科書の登場人物としては、かなり不自然な印象を受ける。

 

だって、日本の教科書だったら、サラリーマンのお父さん、少し年下の専業主婦のお母さん。そして、出来のいい男の子と女の子。たまには、物分かりのいいおじいちゃんとおばあちゃんが登場。一戸建てに住んでいて、もしかしたら犬なんかを飼っている。なんていう家庭が登場しそうではないか。

 

ま、そんなおとぎ話のような家庭はともかくとしても、冒頭の人間関係が、初級の教科書にのるのも不思議ではないスウェーデンの現状がある。

 

サンボと呼ばれる同棲関係は非常に多いし、たとえ結婚したとしても、離婚率も高い。子供が生まれたから入籍しようなどという考えも日本ほど一般的ではない。二度三度の再婚だって、珍しいことではない。

私だって、そうした状況は理解できた。しかし、私が理解に苦しんでとまどったのは、離婚した二人が、その後も顔を合わせることだ。良い友達になったりしているのも珍しくない。

 

スウェーデンに行ったばかりの頃、ヤノス家の夏至祭りのパーティに呼ばれた。それ以前に、別の場所でヤノスのお母さんに紹介されていた。とすれば、そのお母さんと結婚している人は、ヤノスのお父さんだとおもうでしょ。ところが、パーティの席には、他にヤノスのお父さんと呼ばれる人がいたのだ。そして、その人も奥さん連れ。

 

芯まで日本人の私は、「あ、そうか。私のヒアリングが悪かったのね。ヤノスの両親はこっちの二人ね。向こうのカップルは親戚か何かだったんだ」と自らを納得させた。

 

だって、たかだか二十人ぐらいしか集まっていないパーティに、すでに再婚している父親と母親のそれぞれのペアを同席させるなんて、想像できないじゃない。

 

ところが、事実はそれだった。我が家以外の出席者はその事情を知っていて、全く平気に振る舞っている。

日本人の私は、お父さんの方とばかり話をしていると、お母さんが気を悪くしないかとか、座席が隣になったらまずいだろうなとか、要らぬ気を使ってしまう。それに、その話題にだけは、触れてはいけないだろうと思って、会話もぎこちなくなる。

ほとほと、疲れてしまった。

 

後で、事情を聞くとヤノスが成人した頃二人は離婚したのだそうだ。その後、二人とも次の伴侶をそれぞれ見つけて、それぞれが幸せに暮らしている。両親が離婚したとはいえ、子供にとっては、父親は父親。母親は母親である。どちらに邪魔されることなく会う権利がある。パーティを自宅で開くのに、どちらかだけを呼ぶなんてそんな不公平なことはできないのだ。

 

この血の繋がらない親子関係をあらわすプラスティックという表現がある。父の再婚相手の女性…プラスティックママ、母の一緒に暮らしている男性…プラスティックパパ、といった具合だ。

 

2000年当時、Anders Sandgergさんの記事(sesam)で、彼が取材した16歳のクラスの生徒の複数が、本当の兄弟ではない他の子供と住んでいたと読んだことがある。そして、ほとんどが、本当のパパ、あるいはママと毎週会っていた。プラスティックパパの多くは、いわゆる継子に気を使うため、継子いじめどころが、可愛がり過ぎてしまうこともあるようだ。プラスティックの子供を持つために、自分の子供をよりよく理解できるようになったという記述もあった。

 

娘の誕生会を開いた時、招待した友達の一人は、その週末は、本当のパパと会う週だったので、送り迎えは本当のパパが来た。プラスティックパパをよく知っている私は、ちょっとドギマギしてしまった。

最も、就職活動の時などに、この大家族のコネクションを総動員するので、複雑な人間関係もすてたものではないらしい。

 

 

 



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