のんびり起業を目指す日々

好きなことを勉強しながら、のんびりとお惣菜屋さん開業をめざす毎日です。

5.小説

2024-08-15 05:52:00 | 日記
帰りの電車は全て各駅停車で帰ることにした。
ここ数年は、水戸から特急に乗り換えることが多かったが、各駅停車のみで帰ればお得な青春18切符が利用できる。
今年は仕事量もうまく調節してきたので、そういう日程にする事が出来た。
帰りの電車の時間まで一時間くらいあるので、小高交流センターの中庭で、コンビニで買っておいたなみえ焼そばを食べた。
なぜ買ってあったかというと、帰りの電車が水戸行きで、水戸まで長い時間食事が買えないと考えたからである。
食べた後は駅へ歩いた。
すると左手にある、フルハウスというお店が開いていたので立ち寄った。
小説家が経営するお店ということで、お店ができたころは、若い人がたくさん集まっている事があった。
その様子を見てお店は知ったが、今回まで立ち寄ることが出来なかった。
電車が来るまでまだ30分ほどある。
アイスコーヒーを頼んで時間をつぶすことにした。
お店は本屋とカフェが合わさったようなお店で、カフェ商品を頼めば時間をゆっくり過ごせるようになっているようだ。スマホなどの充電もできる。
都市部でのスタバなどの様な利用のできるお店である。
小高ではそうした事ができる場所として、貴重な存在だろう。
手前のスペース、そして少し高くなった奥の二つのスペースそれぞれ壁際の棚に、たくさんの本が並んでいる。
おすすめの本には、著者や本を推薦する著名人本人の推薦文の入ったポップを添えてあり、そこは人脈のある小説家のお店らしい所に感じた。
スマホを眺めて帰りの下調べや、店内を少し見て回って時間をつぶし、最後に一冊の文庫本を買って店を出た。

電車を待つ小高駅は、駅員室だった場所がお店になっていた。
食料品を中心に小高のオリジナル商品が多く、小高カレーも売っていた。
そこで少し買い物をしていると、列車到着のアナウンスが流れてきた。
急いで向かいのホームへ渡り、電車に乗った。

車内では買っておいた小説を読み始めた。
JR上野駅公園口。
そう、先ほどのフルハウスのオーナー、柳美里さんの本である。
数冊ある中で、この小説に決めたのは、このあと水戸では各駅停車上野行きに乗り換えるからである。
表紙を開くと、最初の見開きに著者の直筆と思われる一行の言葉があった。
この小説の伏線なのか、読者へのメッセージなのか。
その言葉は意味深げに感じて、一瞬何を意味するか考えてしまった。
さすが小説家である。
あらすじを調べた時は自分に合う本かわからなかったが、読み始めてみると内容に興味がわき、先の展開も気になって読み進んでいく。
小説はいいなと憧れが沸いてきた。
次の自分のブログの投稿は小説っぽくしてみようと決めた。

4時間ほどの常磐線各駅停車の旅も終盤、東京が近づくとダイヤが乱れてきた。
神奈川で起きた地震の影響だった。
北千住で乗ってきた労働者風の男性が向かいの座席に座った。
少しイライラしているような顔だった。
先行の電車が詰まっていて、南千住駅で停車時間が長くなった。
「最近地震が多くて困りますね」
向かいの座席の男性が言った。
「そうですね、東日本の震災からずっと多いですね。」
自分は返した。
ヤフーの路線案内の示した通り、日暮里駅で京浜東北線に乗り換えた。
上野駅のホームが想像以上に列車が詰まっているようで、京浜東北線が発車しても、先ほど乗っていた常磐線はまだ日暮里駅にとどまっていった。
乗り換えた京浜東北線の車内は、疲れたように見える人が多く感じた。
お店も物もあふれていて便利で、良い仕事もあるはずの東京。
みんな東京の恩恵があるから住んでいて、大部分の人が良かれと思って住んでいると思う。
その車内が、福島の電車の車内より少し雰囲気が暗いんじゃ無いかと思った。
ハッとした。
(自分はどうだろう)
自分の仕事はこのところ安定しているけれど、どうしても時間に追われたり、休みも普通の会社員の様には取れない。
普通の状態と思っていた状態は、心も体も実は良好とは言えないかも知れない。
東京で生活していると、イライラした人とぶつかる事も多々ある。
(そんな自分はいい顔をしている?)
夕方まだ居た福島ではどうだったか。
暑さのなかボランティア活動をして、ご飯を食べて、たくさん寝て。
確かに疲れが出てしまった時間もある。
けれどそういった福島での日程で、気持ちがイライラしたり、ストレスを感じたことは無い。
(実は福島にいた時の方がいい顔していたのでは)
そう考えると、「さぁ切り替えて東京での仕事に戻って頑張るぞ」と、東京に舞い戻って来た自分は何なのか、良くわからなくなった。

終わり。





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