以下は前章の続きである。
藤井
大手マスコミと最高権力者がぶつかるのは、突きつめるとボーダレス・エコノミー派とナショナル・エコノミー派の戦いだと思う。
アメリカの大企業の多くが無国籍化している。
大手マスコミは、そういう勢力と一体です。
「国民経済、国家を取り戻そう」という政治家は彼らと戦わざるを得ない。
その点で安倍さんとトランプの場合は、ベクトルが一致している。
トランプの場合は、共和党の指名受諾演説の時に「私の使命は国民国家アメリカを取り戻すことだ」とはっきりと言っている。
立派だと思う。
だから経済のボーダレス化というのは制限しなければだめだ。
国の経済、国民経済を保護するのは当たり前じゃないか。
政府を監視する「権力者」
藤井
安倍さんも「日本を取り戻そう」と言っているから、基本スタンスは、同じだと思います。
戦後敗戦国体制をやめて日本を再建する立場だから、今のマスコミの主流は敵になる。
その図式が構造的にあると思います。
日本は敗戦国だから、いわゆる東京裁判史観で国家の伝統などを否定するのがマスコミの主流派でしょう。
高山
その前に、マッカーサーによって作られた憲法がある。
政府が再び戦禍を招かないように監視するのは国民であるといった前文があって、国家対国民という対立を日本に持ち込ませた。
ある種の分割統治だ。
インドではヒンズー対イスラムみたいな宗教による対立を煽る分割統治をやったが、日本には対立させる構造がなかった。
それで苦肉の策で国家を国民の敵に仕立てた。
国民は政府を監視し、それを倒すことが正しいと新聞を使って吹き込んだ。
でも日本の政府ほど脆弱なものはない。
朝日新聞の船橋洋一(元朝日新聞社主筆)は「暴力装置」という左翼言葉で政府を批判したりするけど、権力者と言われる割に権力がない。
米国が持ち込んだフェイクニュースをもとに新聞が騒いで首相をクビにしたり、政府の暴力装置である地検特捜が、勝手な裁量権を振り回して閣僚をボコボコに捕まえちまう。
そんなのは権力者でもなんでもない証拠だ。
それで新聞は首相や政府を監視して、ちょっとでも踏み外したら叩かなきゃいけない、それが新聞記者の務めだ、みたいな形を作ってしまった。
まだマッカーサーに操られたままというのは日本のジャーナリズムの悲劇です。
藤井
自分たちが最高権力者気どりなんですね。
だから一方で、われわれが朝日を監視しているわけです(笑)。
高山
安倍総理が文字通りの権力を持っていれば問題ないんですけどね。
トランプの場合は完全な権力者だけど、そのわりにやっていることがしどけないというか……。
この稿続く。