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優等生は年を経ずして凡庸に戻る。しかし、天才は時を超越する。

2024年03月22日 09時44分01秒 | 日記

2011/6/14

日本の株が安い理由…日本経済新聞2011年6月14日15面より
文中黒字化は私。 

株式相場が低迷を続けて久しい。
東京株式市場の時価総額が象徴的だ。
バブル末期の1989年末が611兆円、東日本大震災直前の今年2月末が329兆円である。
この間、多くの新規上場があったにもかかわらず、市場規模は半分程度にまで縮小した。
 
市場のPBR(株価純資産倍率)はほぼ1倍でしかなく、投資家の嘆きを代弁している。
すなわち、企業は生産活動をするより、今すぐ企業を清算したうえで、株式資本として経営者に託した資金を返却してほしいと。

もはや株式市場は市場としての体をなしていないともいえる
日本から株式市場を消滅させないためには、株価が低迷を続けている理由を探り出し、対応すべきである。
 
まず指摘すべきは企業の責任である。
大企業の事業資産当たり営業利益率は、この10年間の平均で4%を下回る。
ここから租税負担を控除すると、同純利益率は2・4%に届かない。
これでは株式に投資する気に到底なれない。
 
もう1点、現在の企業には事業的、経営的魅力が欠如している。
多くの企業は没個性化し、市場並みに振る舞っている。
上場企業自身は優等生のつもりなのだろう。
しかし、投資家が待望するのは、競争企業をあえて後追いせず、技術力、経営力で世界を席巻する個性的企業である。
天才への渇望ともいえる。
優等生は年を経ずして凡庸に戻る。
しかし、天才は時を超越する。
天才を輩出してこそ、日本市場に覇気が戻ろう。
 
とはいえ投資家にも責任がある。
市場並みで満足するインデックス運用に象徴されるように、投資家自身に覇気がない。
投資家の本来の姿とは、優れた企業に積極投資して応援する一方、ダメ企業を売却してムチ打つ行動である。

政府にも責任がある。
企業の基盤たる社会をどう運営するのか、現状は一歩先さえ見えない

投資家が多大なリスクを感じ、投資を控えるのは当然だろう。
外交、税制、社会保障、エネルギー供給、選挙制度などに対して明確な政策を打ち出し、具体化するのが政府の喫緊の課題である。
 
株式市場の活気は上場企業の活気である。
活気ある上場企業は豊富な雇用と賃金を国民に提供する。
そうだから株式市場は金持ちだけのものではなく、政府の重要な政策目標となる

政府が株式市場活性化に向けて行動し、企業や投資家を先導するように望みたい。       
(癸亥)


2024/3/10in Tokyo


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