Sun Set Blog

日々と読書と思うコト。

穏やかな休日

2008年03月28日 | Days


 今日は久しぶりに約8時間眠って、休日っぽさを満喫する。
 普段は4時間から6時間くらいの睡眠で、「目の下の隈がチャームポイントです」というようなしょっぱい感じになっているので、ゆっくり眠ることが出来るのはとても嬉しい。
 それからいつものように12時までに出せば当日中に仕上げてくれるクリーニング店までてくてくと歩いて行き、途中コンビニで公共料金の支払いなんかを済ませる。
 ガス料金はコンビニではなく、少し離れたところにある商店に直接支払いに行く。そこは小さな商店とガスの両方をやっていて、いつも出張ばかりで集金のときにいないので、自分から支払いに行っているのだ。
 店番をしていたのは随分とスローモーな動きのおじいちゃんで、いつものように挨拶交じりの言葉を交わす。ものすごくゆっくりとした動作で手書きの領収書を書いてくれて、「わざわざありがとうね」と言われる。「いつもいないのはこっちですから」と答え、店を離れる。用事をひとつ済ますたびに、なんとなく荷物が軽くなったような気持ちになる。

 気持ちのよい午前中で、コートはもうそろそろ必要ないなーと思う。
 舗道から見える丘には梅や、名前を知らない白い花なんかが咲いていて、少しずつ春になってきているのだなと思う。
 普段は季節の変わり目をなかなか実感できないので、実際にはクリーニング店への往復40分コースなのだけれど、ちょっとした散歩気分でこういうのが休日だよなあと嬉しくなる。
 いい年をした大人なので、散歩が好きですとはなかなか大きな声では言えないけれど。
 
 部屋に戻ってきてから洗濯をして、休みのたびにいつも洗濯しているよなーと独り言のように思う。でもまあ一人暮らしの人は誰だってそうだろうし、洗濯物をハンガーにかけたりするのは気持ちのいいことでもあるのできらいじゃない。
 そして合間の時間は読書をして、文章を書く。

 夕方の少し前に、クリーニングを取りにもう一度てくてく歩いていく。車で行くのも便利なのだけれど、最近はいつも歩いていくようにしている。やっぱり往復でたっぷり40分くらい掛かる。途中、スイミングクラブの前を通ったときに、たくさんの子供たちとその親たちが送迎バスに乗り込んでいくところで、日常の暮らしの時間がちゃんと流れているのだなと思う。他にも、野球部風の格好をした小学生くらいの子供たちがバットを肩に掛けながら歩いていて、DSがどうとかいう話をしてすれ違っていく。犬の散歩をしている人がいて、何台ものバスが様々な通りを過ぎていく。僕がいま住んでいる横浜市の郊外は、随分とバスの路線が多い地域なのだ。坂道も多いから、バスがないと不便な人たちがたくさんいるのだろう。

 クリーニングのバッグを肩に掛けて、そんな坂道のひとつをのんびりと歩いていく。iPodからはお気に入りの音楽。
 のんびりと言いながらもペースは早いのか、少し汗ばむくらいだ。そんなところからも、もう冬は終わっているのだなと思う。
 途中、小さなパン屋さんに入っていくつかのパンを購入する。その店は本当に小さな店なのだけれど、くるみパンにオレンジやパイナップルが入ったものを売っていて、それがおいしいのだ。
 今日はパイナップルの方を買う。
 また、バターロールも買う。店で作っている手書きのPOPには、「テーブルブレッドにどうぞ」というようなことが書かれていて、これはいつもテーブルの上に置いてあるパンという意味だと思うのだけれど、そういうのっていいなと思う。いつもおいしいパンがダイニングテーブルに載っていること。なんだか随分と幸福そうなイメージだ。

 夕方に夕立。短い時間に集中して激しい雨が降る。いいタイミングでクリーニングを取りに行ったのだと思う。
 そして宅急便でAmazonで注文した本が届く。以前にも書いたようにAmazonのプライムというサービスに入っているのだけれど、これに入っていると深夜に注文した本が、当日の夕方には着くのだ。これは出張の合間に1日しか休みがないようなときでも使えるのでとても重宝していて、とてもよいサービスだと思っている。

 夜はジョギング(10.60km)。それからゆっくりとお風呂に入って、夜ご飯を食べる。今日はフットサルに誘われていたのだけれど、久しぶりの連休だったので今回はパスをして一人でのんびりと過ごしていた。
 明日は朝から夜まで遊びに出掛けるので、今日くらいはのんびりしようと決めていたのだ。

 そして気がつくともう23時になっていて、今日はのんびりすることができたなと思う。
 よかったよかった。


―――――――――

 お知らせ

 Usherの「Love in this club」をまずは繰り返し聴いているのです(6月のアルバムが楽しみなのです)。

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ウラシマ的

2008年03月28日 | Days

 今日は6日ぶりに横浜の部屋に帰ってくる。
 先週の土曜日の早朝に出発して、木曜日の23時に部屋に到着。
それからジャージに着替えて10.02kmジョギングして、お風呂に入って、いまこの文章を書いている。
 明日は休みなので、久しぶりにゆっくりと眠ることができるというのはとても嬉しい。それでつい夜更かしをしてしまい、睡眠不足になるのがいつものパターンだ。

 今回は2連休で、3月頭に連休を取って以来の連休なので、久しぶりに慌しくない休みという感じだ。出張生活なので、連休じゃないと慌しく雑事をこなしているだけでまたすぐ次の出張に出掛けることになってしまい、慌しいのだ(と言っても、土曜日にはすでに朝から晩まで予定が入っていて慌しいのだけれど……)。

 今日驚いたのは、出発のときにまだオープンしていなかった新横浜駅の新しい駅ビル【キィービック・プラザ】がオープンしていたことで、もうそろそろだなとは思っていたのだけれど、すっかり忘れていた。だから、オープンした新しい商業施設を目の当たりにして、何となく浦島太郎のようだと感慨めいたことをぼんやりと思っていた。

 ただし、着いたのは22時少し前だったためほとんどの店が閉まっていて、とりあえず2階にあるキオスクのグランド・ショップを覗いてみた(22時まで営業)。
 雑誌や飲み物などの定番アイテムのほかに、横浜スイーツのみやげなどを販売しているコーナーだ。
 そこで、danoというおいしそうな店が入っていたので、つい列に並んで購入してしまう。焦菓子と名付けている焼菓子で、パンフレットのようなものを見ると、

 日本スイーツ界の重鎮ムッシュマキノが完全プロデュース。

 と書かれている。このムッシュマキノがどんな人なのかはわからないのだけれど、「ちょいこげ(バニラマドレーヌのスイートポテト仕立て)」、「バリこげ(アーモンドクリームのふわふわパイ重ね)」、そして「黒こげ(黒胡麻味噌のしっとりフィナンシェ風)」という3つの焼き菓子は、確かにおいしかった。同じ店で新横浜駅限定と書かれたスフレも販売していて、今度購入してみようかなと思う。

 いまホームページを見てみると、レストランなんかは23時までやっているので、今度から出張の帰りにちょっと寄ってみようかなと思う。
 そう言えば、どんな店があるのだろうとショップリストの看板の前に立って写真を眺めていたら、隣に若いカップルがやってきた。どこにしようかみたいな話をしていて、結局彼氏が「ココイチ」を選択し、その選択に「これだけあるのにココイチ! なんでココイチ!」というようなことを言っていた(それでも、結局ココイチに向かって行ったようだけれど)。
 確かに小洒落たおいしそうな店がたくさんあったので、よっぽどカレーが好きだったのだろうなとなんとなく微笑ましくて笑ってしまった。


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 お知らせ

 東京駅のグランスタもそうですが、最近はエキナカやエキウエのオープンラッシュですね。

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アダプター

2008年03月26日 | Days

 今日のDaysも三宮から。
 21時に仕事を終えて、車で約45分かけて三宮に戻ってくる。途中、スターバックスのドライブスルーに寄って、ラテを買って飲みながら運転する。カーラジオからはFM80.2。最近はよく車で移動しているので、パワープレイの曲はすっかり覚えてしまったような気がする。

 戻ったときには雨が降っていなかったのに、ジョギングをはじめようとホテルを出ると、小雨が降り始めていた。一瞬躊躇して、それでも走り始める。せっかく着替えたのだし、小雨なら逆に気持ちがいいくらいだろうと思ったのだ。

 けれども、雨は途中で勢いを増し、「これは下手をすると風邪を引いてしまう!」と声に出さずに思う。それでもとりあえずきりのいいところまでは走ろうと、自分の中のチェックポイントのひとつまでは行くことにする。雨を吸っているのか、ジャージが心なしかいつもより重く感じられる。
 結局、今日はいつもより短い9.05km。44分06秒で走り、1kmあたり4分51秒ペース。

 途中、これは何かの修行なのかと少しだけ思ったけれど、こういうときのシャワーはより身体が温まるような気がするし、何だかんだ言っても走った後には走ってよかったといつも思う。

 すっかりホテル暮らしが板についてきたのだけれど、自分なりのある種のパターンと言うか、効率的な流れのようなものが出来上がっている。たとえばキャリーバックの中には替えのYシャツや下着と別に、ジーンズにTシャツやボタンダウンシャツなどの私服も入っている。実際自分の自由になる時間は早朝とジョギングの終わった22時~23時以降なので私服を着て外に出るわけではないのだけれど、ホテルの部屋でもジーンズにTシャツなどを着ていると、随分と気楽なのだ(少なくとも、ホテルのベッドの上に置かれているパジャマ≒ユカタ的なものを着ているよりはずっと)。

 そして、メッシュの袋の中に、各種コンセント関係が入っている。

・マルチタップ(3つ口)。
・デジタルカメラのアダプター。
・シェーバーのアダプター。
・ジョギング用のヘッドホン(耳当てタイプ)。
・iPodのアダプターとケーブル。
・DSのアダプター。
・携帯電話のアダプター。

 こうして書いてみるとアダプターばかりで笑ってしまう。マルチタップを持っているのはホテルの部屋によってはコンセントがひとつしかついていないからで、意外とと言うかかなり重宝するのだ。

 ちなみに、DSは半年ほど前に購入しいまもバッグには入っているのだけれど、考えてみるともう4ヶ月くらい一度も電源を入れていない……もったいないような気がするけれど、最近はDSをやる時間があるなら本を読むか文章を書こうと思っているのだ。

 他にバッグには大体いつも3~4冊の本が入っている。最近はほとんどビジネス書が中心で、今月読んだ小説は村上春樹訳の『ティファニーで朝食を』(「クリスマスの思い出」を読むのはいったい何度目なのだろう?)、三浦しをんの『むかしのはなし』、そして乾くるみの『リピート』の3冊だけだ。後はビジネス書。特に最近は新書が多い。短い章立てで構成されていて、移動中のちょっとした時間でも読むことができるので重宝するのだ。

 そして、この文章を書いているノートパソコン。別の肩掛けバッグの方には会社から支給されているノートパソコンが入っているのだけれど、それだけだとこうやってプライベートなインターネット閲覧などがやりづらいので、自分用のものも持ち歩いているのだ。
 確かに、それだと荷物は多く大きくなるし、自称動く要塞というのもまんざらオーバーではないかなとも思う。
 もちろん、それなりに重いし大変ではあるのだけれど、それでも出張が日常なのだから、それなら日常を自分にとって過ごしやすくすることは大切なことなのだ、きっと。


―――――――――

 お知らせ

 最近はMAXIMのカフェメニューシリーズ(粉末ミックス飲料)が気に入っているのです。
 今日は木苺ラテ。
 木苺って漢字は、字面がいいと思うのです。

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ランドリーを待つ間に。

2008年03月24日 | Days

 今日のDaysは三宮から。
 今朝は5時半に起きて、8時少し前までホテルの部屋で資料を作成する。資料をメールした後で、車で移動して9時少し過ぎに店に到着。
 店では売場の状態を確認したり、先週の数値をまとめたり、メンバーとコミュニケーションをとったりと慌しく過ごす。途中何度も電話が掛かってきて(今日は電話の多い日だった)、携帯電話を充電する。

 21時少し前に店を出て、それから名神経由で1時間かけて三宮へ。今日から3連泊するホテルの駐車場に車を停める。
 22時少し過ぎからいつものジョギング。今日は12.05kmを59分10秒で走る。1kmあたり4分54秒ペースで、消費カロリーは867。
 それからシャワー浴びて、いまはジャージなんかをホテルのコインランドリーで洗濯しているところだ。
 いまは23時40分で、これを書き終わったら軽く夕食を食べて(コンビニで買ったおにぎりとサラダ)、それからちょっと仕事をする予定。

 資料というのは期限のあるやらなければならないものではなく、自発的に部下の教育に役立つのではと思って作っている趣味のようなものだ。それなので気持ち的には全然楽だし、むしろいい息抜きのようなものになっている。部下が結構喜んでくれたりするのも、嬉しくなることだし。

 そんなだからか、仕事が趣味なんですかと言われるけれど、「違う違う」と声を大にして言おう(でも、微妙に説得力がないような気がする……)。


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 お知らせ

 趣味は読書です(今年はビジネス書中心で30冊くらい読んでいます)。

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焼プリン

2008年03月23日 | Days

 今日のDaysは新大阪周辺から。
 午前7時台、いつものようにのぞみに乗って関西へ向かう。
新幹線に乗るときには「エクスプレス予約」を使っているのだけれど、席番リクエストという機能を使って座席を指定している。そのときに基本的には、進行方向から見て反対側の一番後ろの席を予約する。のぞみの普通車両は3人掛けと2人掛けの座席に分かれているのだけれど、その2人掛けの通路側の席だ。
 大体においてそれは1や20のDになるのだけれど、なぜそうするのかと言うとその席には壁と席の間に大きなバッグを置くことのできるスペースができるからで、大体いつもその隙間に黒のキャリーバックを滑らせる。2人掛けの方を選ぶのは眠ってしまったときのことを考えていて、3人掛けの方だと通路側に座る僕が眠り込んでしまったら、一番窓際の人がトイレに行ったりするときに移動しづらくなってしまうと思うからだ。2人掛けの方なら、ひとつくらいの席はなんとか越えていけるだろうと思うし。
 もちろん、身も知らぬ人にそんなに気を使う必要はないのだけれど、それでも乗り物の中でのトイレ問題は、意外と(というか人によってはかなり)切実な問題だと思うのでそういうところで人にあまり迷惑をかけたくないのだ。

 そして、ノートパソコンを取り出してぱちぱちかちかちと入力をはじめる。仕事は降り続ける雪の中で雪かきをし続けるみたいに終わらないくらいにあって、たとえば朝に一生懸命雪かきをしても、夜になるとまた同じように積もっている。それには少しだけうーんと思うのだけれど、考えてみれば終わらない冬はないのだ。それなので、永久に雪かきをし続ける必要はないのだ、きっと、たぶん……そうだと思うのだけれど……(ちょっと自信がないかも)。

 22時くらいまで仕事場にいて、それから社有車を運転して今日のホテルを目指す。社有車には昨年つけてもらったHDDカーナビがついていて、そいつはなぜか随分と狭い道を案内する。あんまり狭くて、途中通り過ぎてしまったような道さえあるくらいだ。
 このナビとは半年ほどの付き合いだけれど、ときどき随分とお茶目な道をナビしてくれる。また、ときどき近隣にある観光名所やホテルなどを教えてくれて、そんなときには液晶の画面にその施設の写真が表示される。設定を変えればその表示を消すこともできるのだろうけれど、面白いのでそのままにしている。運転していると、「近くに、○○があります」などと教えてくれるのだから(ちなみに、そのときに画面に出ている「詳細」というボタンをタッチすると、その施設の関連情報が表示される! かなり意味のない機能だ)。

 ホテルに着いてから、夜ご飯を食べに行く。22時半をすでに過ぎていたせいもあって、お好み焼き屋は見つからなかった。それで、ふと目に入ったラーメン屋に入る。なぜそのラーメン屋が目に入ったのかというと、看板に「焼プリン」と書かれていたからで、ラーメン屋に焼プリンなんて書かれていたら、そりゃあやっぱり気になってしまう。

 入ったのは藤平というラーメン屋で、関西には結構たくさんあるチェーン店のようだった。ラーメンは食べやすく、焼プリン(もちろん注文した)もおいしかった。
 そしてホテルの部屋に戻ってきて、Daysを書いている。
 これからちょっとだけ仕事をして、明日に備えよう。


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 お知らせ

 新しくなった新横浜駅がもう少しでオープンですね。この半年間、毎週この駅の変化を見てきたので、なんだか不思議な感じがします。

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ミルクキャンディ

2008年03月21日 | Days

 昨日の23時30分に横浜の部屋に到着。
 新横浜駅から地下鉄に乗って、いつもの駅で降りて、いつものバスターミナルに行ったのだけれど、すでに終バスも過ぎた後で誰の姿もなかった。祝日だったんだものなと、カレンダー的感覚が薄まっているような気がしながらタクシー乗場へ。
 小雨が降っていて、黒いプラスチック製のキャリーバッグに雨がたまっていく。いくつかの小さな水玉。私鉄と地下鉄の駅とバスターミナルがあるその駅は、いつの間にかかなりの頻度で訪れる場所になってしまっている。何度も来ているので、どんな店がどこにあるか大体わかっていて、いろいろな時間の表情を見ているような気がする。同じ場所でも、時間によって表情を変えることを、僕はときどき忘れてしまうのだけれど、それは余裕がないからなのか、それともただぼんやりしているからなのか、それとも気を張りすぎているからなのか、いまいちよくわからない。
 いずれにしても、小雨の降る夜の駅前は、明るい人の普段見せない表情を垣間見たときのように、なんとなくしんとしてしまうような光景だった。

 乗り込んだタクシーの運転手さんはちゃんとサービス業言葉を話す人で(当たり前のことだけれど、タクシーの運転手にはいろいろなタイプの人がいて、ぶっきらぼうな職人のような人もいるのだ)、飴玉が入った籠を目の前に出してくれて、「おひとつどうぞ」と言ってくれた。
「あ、いいんですか。ありがとうございます」と言いながら一番上にあった飴玉をひとつ手に取る。車が走っている最中だったので早くしよう(あぶないし)と思ったのと、そういうときにはとりあえず手近なものを取ってしまう。飴玉はミルクキャンディで、口の中にやけに甘い味が広がる。

 籠の中にはいろいろな飴玉があったので、そういうときでもゆっくりと吟味する人はきっといるだろう。何かを選ぶということはどんなときでもある種の結果をもたらすものだし。けれども、個人的にはこういうときにはなんでもいいんじゃないかと思っている。大切なのはたとえば今回であればタクシーに乗ったら飴玉をもらって嬉しいということであり、それがレモン味かオレンジ味か薄荷味かということは、記憶に残る細部にはなるけれど、嬉しかったことの核の部分ではない。レモン味だから嬉しかったのではなく、思いがけず飴玉をもらったということが嬉しかった核なのだ。

 そのときそのときで、自分にとって何が核なのかということを、ちゃんとわかっていられるようでいたいなと思う。これは割といつも思っていることで、基本的な方向性があっていれば、微調整はいくらでもできるというような気でいるのかもしれない。たとえばボートを漕いでいて、目的地の方向がわかっているのとそうでないのとではまったく結果が変わってくる。1日ボートを漕いでゴールに近づくのと、全然別の場所に向かっていくというのとでは全然別物だ。それでも、1日ボートを漕いでいたという時間は同じだけ掛かるのだ。
 だからこそ、核となることが何なのか、あるいはどこを目指しているのか、ということを漠然とでもわかっていて、ボートを漕いでいくことが、たぶん大切なのことなのだと思う。

 気をつけているつもりなのに、それでも時々それを忘れてしまう。それなので、こうやってときどきちゃんと思い返していこう。


―――――――――

 お知らせ

 明日は大阪泊です。お好み焼きが食べたいと、なぜかいまから思っているのです。

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ステーキ

2008年03月20日 | Days

 今日のDaysも三宮から。
 今日は中国地方を担当している同期が神戸にやってきていて、夜ご飯を一緒に食べることになった。
「何を食べたい?」
「うーん、神戸牛かな?」
 というベタな返答で、仕事が終わった後で三宮でステーキ店を探す。
 僕も神戸を担当して半年以上になるというのに、神戸牛は食べたことがなく、せっかくの機会だからと喜んで探すことにした。
 基本的には大概のところに一人で入ることができるけれど、さすがに神戸牛の店にはなかなか一人では入りにくいものがあり入ったことがなかったのだ。

 三宮のハンズの近くで、ちょうどよい感じの看板を見つける。
 エレベーターで上の階を目指す。扉が開いた先はモダンな感じのステーキハウスで、中に入ると他には誰も客がいなかった(ちょっとやばいのかなと少しだけ思う)。
 ハの字に広がった14席のテーブルと、6席ほどのカウンター席。奥の方には個室の扉が一室見えている。カウンターの方に案内され、メニューを手渡される。もちろん、神戸でステーキなのだからそれなりに高いのだろうと予想はしていたのだけれど、それでも当たり前のように5000円は超えていて、お勧めっぽいセットとグラスワインを注文する。

 シェフが一人やってきて、目の前で肉や野菜を焼いてくれる。コースになっていて、前菜やスープなどが順次出てくる。
 肉(フィレにした)を手際よく焼いて切り分けてくれて、それを好みのソースなどで食べる。かなりやわらかくてかなりおいしい。
 粗びきの黒胡椒や塩、からしをしょうゆでほぐしたものに、主に野菜焼きに合うポン酢。それらにつけて食べていく。途中、シェフがこれはポン酢がいいですよとか、そういったことを教えてくれる。

 肉はやっぱりとてもおいしく、同期と一緒に「おいしい」を連発する。
 赤ワインたった一杯でほろ酔い加減になって、随分と気持ちよくなる。
 食後にはコーヒー(エスプレッソ)が出てきて、同期は隣で満足そうに煙草を吸っていた。

 店を出ると、勢いを弱めていた雨が再び雨足を強めていた。
 EXCELSIOR CAFFEが近くにあって、そこでホテルの部屋で飲む用のコーヒーを購入する。
 時計を見ると23時少し前。明日が祝日のせいか、三宮には随分とたくさんの人が帰らずに集っている。

 値段的にしょっちゅう食べることの出来るものではないけれど、値段的な部分でも高いだけのことはあるというおいしさだった。
 せっかく神戸を担当しているのだから一度は食べてみたいとはずっと思っていたので、そういった意味ではとてもよかったかなと思う。


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 お知らせ

 ホテルに戻ってから置かれていた観光パンフレットを見てみたら、ちょうど行ってきたばかりの店が掲載されていて、実は当たりだったのだとわかってさらに嬉しくなったのでした。

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Hard-run Kilometers!

2008年03月18日 | Days

 今日のDaysは三宮から。
 相も変わらず出張中で、今月に入ってからすでに11泊目。三宮では大体同じホテルに泊まるようにしているのだけれど、他の地域への出張もあったので6つのビジネスホテルに宿泊している(ただし、いまは同じホテルに4連泊中)。宿泊したホテルや当日のスケジュールは手帳に記録しているのだけれど、あらためて見返してみると結構おもしろいことになっているなーと思う。ちなみに、今回の出張は木曜日の夜に横浜に帰り、金曜日1日休んだ後、再び5泊6日で大阪と神戸にやってくる。なんだか、関西に住んでいるんじゃないか? とさえ思う。

 ちなみに、今日もいつものように夜のジョギング。
 Nike+iPodでの表記だと、12.48kmを59分32秒で走ったことになっている。これは1kmを4分46秒で走るペースで、消費カロリーは898なのだそうだ。この表記がどの程度正しいものなのかはよくわからないけれど、それでも走っていく度に数字が加算されていくことはとてもやりがいのあることだ。ちなみに、先日Nike+iPodを導入してからの累計の距離が1000kmを越えて、それもとても嬉しいことだった。そのときには普段の画面に切り替わる前に「Hard-run Kilometers!」というメッセージが表示されて、達成感のようなものももちろんあった。

 1000km。4桁。
 いまいち実感できないけれど、この数字に積み上がってくるまでそれなり以上の時間がかかったし、継続は力なりなのかなと思う。いまでは10kmを走ること自体は(タイムを別にすれば)かなり辛いということはないし、ハードワークな日々でかつ外食中心の出張生活の中でも、健康を維持することができている原動力になっているようにも思う。
 出張生活になった最初の数ヶ月はほとんどジョギングをしていなかったけれど、昨年の後半にこれじゃあ駄目だと思い直して出張先でも出来るだけ走るようにしたのだった。そして、今ではキャリーバック(動く要塞と呼ばれている黒のサムソナイト)の中には常にジャージとジョギングシューズが入っているようになっている。

 そして今もジョギングを終えてシャワーを浴び終わったところで、ホテルのコインランドリーでジャージを洗濯している。一連の流れ、一連のルーチンワークのようなもの。

 部下たちや上司たちはストイックだと言う。出張先で何もわざわざ走ることはないだろうと。けれども、今の生活では日常が出張なのだから、だとしたら出張先で走らずにいつ走るのかという感じもする。ストイックなのかな? とはちょっとだけ思うけれど、楽しんでやっているので別にストイックということもないかなとも思う。

 もちろん、ホテルの位置によっては走りづらいところもある。繁華街の真ん中に位置しているホテルだとさすがにちょっと躊躇してしまう。そういったホテルに宿泊するときにはそれぞれの店のメンバーと食事をしに行ったりして走らないことが多い。いずれにしても週に3日か4日走ることができればいいと思っているので、その辺はケースバイケースで柔軟に(いい加減に?)やっている。

 話は変わって、最近は三宮駅からMint神戸に行く途中の連絡通路にあるパン屋の「cmh(セ、エム、アッシュというフランス語読みの店名)」にはまっている。特にハードパンがおいしいのだ。夜22時までやっているので、仕事が終わった後でもまだ開いているし。ジョギングが終わった後ホテルの部屋でスポーツドリンクやコーヒーを飲みながら、ノートパソコンの画面を覗きながらむしゃむしゃとハードパンにかじりついている。やばい! おいしい! と思いながら。
 何だかんだいって、出張生活を楽しんでいるよなと思う。
 他愛のないことを楽しめること自体は、ささやかな特技のようなものなのかもしれないけれど。


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 お知らせ

前に『バンテージ・ポイント』という映画を観たのですが、期待せずに観たらとてもよく出来た作品でした。1時間半にまとめられた脚本がとてもよく出来ていたのでした。期待して観た『ジャンパー』よりも、(個人的には)ずっと良かったのでした。

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日曜日

2008年03月09日 | Days

 昨日は20時過ぎに新大阪でのぞみに乗り込む。火曜日から関西にいたので、4泊5日の出張がようやく終了。
 車内に乗り込んでからまずもぐもぐとサンドイッチを食べる。
 それから、ノートパソコンを広げてぱちぱちと入力をする。新幹線の中で仕事なんてまるでいっぱしのビジネスパーゾンみたいだと他人事のように思う。
 まだまだ全然ちゃんと成果を出せていないような気はするけれど、それでもまずはやるべきことをこなしていくだけだ。
 一応(?)地域のマネージャーなので、どこまで何をやるのかということに対しては、ある程度以上の裁量のようなものはある。スケジュールを決めているのもミーティングなど以外はすべて自分次第だし、マネジメントの手法だって他の地域のマネージャーときっと微妙に違う。そして、どこで線を引くかというのが自分の側に委ねられている場合、やろうと思えばどこまででもやっていいので、線を引く地点が掴みづらいところがあるのだ。
 それなので、個人的には自分に負荷をかけても、部下たちの成長に繋がるようなことを重視しようと思っている。売り上げを確保するというのがもちろん大前提ではあるのだけれど(いまのところ、なんとか好調な数字は作っている)、それを踏まえたうえで何をするべきなのかと考えると、やはり部下たちの成長=チームの底上げだと思うのだ。
 小売業は労働集約産業なので、たくさんの人が仕組みで動くときに成果が現れる。そのときにたくさんの人や管理者のスキルが高ければより円滑に進むというわけだ。
 もちろん、そんなに簡単にはいかないし、O-J-TやOff-J-Tは時間がかかる類のものだ。それでも、やり続けることと伝え続けることだけが少しずつベースをあげていくと信じてやっていくしかない。
 まあ、楽しくやっているのでもしかしたらただの自己満足なんじゃないだろうか? と思うこともあるのだけれど。

 でも、ときどきは自己満足なだけじゃないのだなと思えるようなこともあって、それに救われるところもある。
 先日以前担当していた店舗のパートさんからプレゼントをもらって、とても嬉しかったこともそのひとつだ。手紙も入っていて、その中には「○○さんはパートさんにまで気軽に話しかけてくれて、一緒になって作業もしてくれてこんなふうに仕事をしてくれたマネージャーはいままでいなかった」というようなことが書かれていた。そういうのはやっぱりとても励みになるし、嬉しいなと思う。自分でやろうと思ってやっていることだし、それが責任だと思っているのだけれど、けれどもそんなことがあると大変だったことなんかも帳消しになってしまう。まだまだ全然未熟だけれど、とりあえず頑張ろうと改めて思う。

 昨日横浜の部屋に帰ったのは23時30分少し過ぎ。それから各店舗へメールを返信したりして3時頃眠る。
 風邪はまだ完全には治っていなくて、小さな子供がドアをノックし続けるみたいな咳が出続けている。

 今日は9時30分に起床。起きたら風邪が完全に治っていてくれればいいのにと思うのだけれど、実際にはそううまくはいかない。のどスプレーは今日も手放せなさそうだ。
 シャワーを浴びて、それからキャリーバックからYシャツを取り出す。そしていきつけのクリーニング店のバッグ(専用のやつがあるのだ)に入れる。
 今回は日曜だけ休みで月曜日から再び関西に出張に行くのだけれど、休日が1日しかない場合には、その日のクリーニングはそれこそ食事のように絶対に欠かせないのだ。
 普段なら車で行くのだけれど、今日は外の天気がよかったこともあって歩いていくことにする。片道20分くらいの道のり。iPodをして最近お気に入りのJanetとRADWIMPSとMegをぐるぐるとシャッフルしながら聴く。歩いていると、普段車だとなかなか目に入らないような光景が飛び込んでくる。道端に並んでいるお地蔵様とか、町内の掲示板とか。お地蔵様を見ていると昔読んだかさ地蔵の昔話を思い出す。掲示板には迷子になった犬を探しているポスターが数枚貼られていて、世の中にはこんなにも行方不明になって飼い主を心配させている犬がいるのだと思う。なんだか不思議な感じだ。そんなことはまったく考えてもみなかった。けれども、この瞬間もどこかで本来いるべき場所ではない場所に迷い込んでしまっている犬(たち)がいるのだ。もちろん、飼い主の元が本当に本来いるべき場所なのかどうかということは別にして。

 クリーニングを出して、そのまま近くにあるファミリーレストランで朝昼ごはんを食べる。一人暮らしなのでこういうところはとても気楽だ。パンがとてもおいしくてたくさん食べる。
 最近職場の人たちや母の葬式や四十九日のときに言葉を交わしたたくさんの人から、結婚しなさいというようなことを言われることが多くなって、でもそれは一人ではできないことだからさと一人ごちる。もちろん、頑張ろうとも思ってはいるのだけれど、その一方で友達を紹介すると言ってくれる同期にいまはまだいいよと答えたり、合コンに誘われたのを断ったりしているので、これはもしかしたら全然頑張っていないのかなとも思う。でもまあ、そういうのはタイミングだと思っているので、縁があればその内なんとかなるのかもしれない。ならないかもしれないけど。
 タバコも吸わないし賭け事にも興味ないしお酒も飲めないし、性格だってそりゃあ良くはないかもしれないけど悪くもないと思うのだけれど……見た目は格好いいわけではないけれど、5人以上の人と付き合ってはいるので生理的に絶対にだめという感じでもないような気がするのだけれど。

 部屋に戻ってきてからは、洗濯をして、たまった仕事を片付ける。時々なんだか洗濯をするために横浜に帰ってきているような気がするけれど、まあそれは横においておこう。
 そして、大体21時くらいまでずっとノートパソコンに向かう。さすがに目が痛くなってくるけれど、途中何度か大きく伸びをして、時々のどスプレーをしてやり過ごす。

 そして、(休日なのだけれど)部下からイレギュラーの報告の電話が入ったりして、結構な時間になってしまう。熱はないと思うのでこれからジョギングをして、出張の準備をして眠ろう。


 ……仕事の途中、クリーニングを取りに再び出掛けていった。午前中に歩いていったのが気持ちよかったので、夕方にも歩いていくようにする。
 17時30分少し過ぎ、周囲の空は夕方のものへと変わっている。ゆるやかな坂道に沿って並ぶ家並みが夕日に照らされて、随分と穏やかに世界が回っているかのように思えてしまう。
 子供連れの家族が大きな公園の入り口から出てくる。部活のジャージを来た学生の一団がバス停でお菓子を食べながらバスが来るのを待っている。犬の散歩をしている人がいて、(おそらくは)飼い犬の安否を気遣っている人がいる。ジョギングをしている人がいて、帰宅するのかたくさんの車が街道沿いを流れていく。
 そんな街並みの中を、音楽を聴きながら、少し早足で歩く。随分日が長くなったなと思う。一人暮らしをしていて時々残念に思うのは、そういう他愛のないことになかなか気付けなくなることだ。家族がいれば、そういった他愛のないことのちょっとした感想のような会話が当たり前のように交わされるはずだ。けれども僕はそういった言葉のかわりに、売上の報告を確認したり、乗り換えの時間を確認したりしている。あるいは隙間の時間を利用して本を読んだりしている。
 それは少しだけ寂しいことだ。でもきらいじゃないし、日々はそれでも充実していると思う(27%くらいは、そう思い込もうとしているのかもしれないけれど)。

 往復40分をたっぷり歩くと、軽く汗ばむくらいになる。喉の奥にある咳の塊のようなものも、その汗と一緒に流れてしまえばいいのにと最後の信号を待ちながら思う。


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 お知らせ

 iTunes Music Storeで久しぶりに矢井田瞳のアルバムを買いました。1stや2ndの頃によく聴いていたので、懐かしい! という感じなのです。

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エヘン虫

2008年03月06日 | Days

 昨日は5時起きで本社へ。ミーティングなどを済ませ、15時過ぎに同僚と一緒に新幹線に乗って大阪へ向かう。
 大阪では夜北新地で10人で飲み会。ぐるなびで見つけた個室の創作料理系の居酒屋で、話が弾む。
 今日は1日大阪で仕事をして、各地から集まった店長たちに1時間くらい講義(?)をする。アンケートの結果を見るとわかりやすいと好評だったので、とりあえず安心する。
 それから新大阪駅で夕食を食べて、同僚の一人と新幹線で岡山を目指す。
 今回の人事異動で岡山が担当から外れることになったので、後任に引継ぎをするための移動だ。
 途中、車中でいろいろと話す。後任は同期なので元々知り合いで、そういう意味ではお互いにやりやすい。

 ホテルに到着したのは21時少し前。それからジャージに着替えて、恒例のジョギングをする。一昨日くらいから風邪気味で、咳も出ていたし喉も痛かったのだけれど、ジョギングをしたらもしかしたら直るかもしれないと安易に思っていたのだ。
 それに、いろいろと走らない理由を探してそれを認めてしまうと、次からもその理由に大義名分ができてしまう。だからそういう理由があっても走るという事例を自分に蓄積することで、これからもこういう理由でさぼらないぞというひとつのきっかけになるとは思ったのだ。今日は早く眠るという同僚は「治るか、悪化するかどっちかだな」と話していたのだけれど……

 それとは別に、今日そんな風邪気味の状態でもジョギングを行ったのは、この町を訪れるのがおそらく最後だということもあった。
 担当から外れたらおそらくもう訪れることはほとんどないはずだった。
 そして、この町では10回くらいジョギングをしたのだけれど、なかなか感じのよいコースがあるのだ(もっとも、走るのは夜なので風景を見るわけでもなく、あくまでも走りやすいというだけだけれど)。

 この町のジョギングコースでは、走りはじめと終わりに大きな橋を渡る。オレンジ色のたくさんの電灯で照らされていて、ほとんど明かりのないその周辺の闇のなかに、起きたときには覚えていない夢の中の景色のようにぼんやりと鮮やかに浮かび上がっている。その橋の途中から川下のほうを見ると、川の流れの部分がすっかり影になってしまっていて、しんと暗く沈んでいる。その景色を見るたびに、川や水には惹かれるものがあるよなと思う。
 ジョギングは大体1キロ5分のペースで10km強走る。日中ずっと喉のところに張り付いていた咳の塊のようなものは、走っている間はなぜかどこかに消えてしまっている。定期的な息を吐くリズムが、身体の中の空気を整えていく。
 3kmを過ぎた頃から、汗をかきはじめる。途中、iPodの画面を見る。息はそれほど乱れないけれど、風邪気味のせいかいつもよりペースが遅い。
 5kmくらいのコースでやめておこうかなと思う。けれども最後だしと思い直し、結局10km走る。
 そして、最後の橋のところにきたときだった。
 雪が降り始めたのだ。
 オレンジ色の光景の中に、紙吹雪をざっくりと切ったような雪が、散るようにゆっくりと舞っていた。確かに走りはじめからずっと冷え込んでいた。雪が降ってもおかしくはなかった。けれども岡山だし、もう3月だ。まさか雪が降るなんて思ってもみなかった。
 走りながら、雪を見上げていた。無理をして走ってみてよかったなと思った。こういう思いがけないことがあると、たぶんいつまでも印象に淡く残る。そして、残る記憶はそれほど悪いものにはならなそうなので、そういった意味では人生的には得をしたような気がする。

 もちろん、その町を最後に訪れるときに、3月の雪が降っていた橋をジョギングしていたなんてことは、本当に他愛のないことだ。けれども細部の積み重ねこそがいろいろなものを作っていく。食べるもので身体が作られていくように、日々の細かな仕事が信頼のようなものを生むように。

 ホテルに戻って、シャワーを浴びる。走り終わったら、さっきまで感じなかった喉の痛みをまた感じ出す。ジョギングの間は、エヘン虫はきっと喉のどこかに隠れていたのだろう。
 これはもしかしたら風邪を悪化させたかなと少しだけ思ったけれど、まあよかったということにしておこう。とりあえず。


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 お知らせ

 それでいま5時に起きたのですが、喉はかなり痛いのでした……薬を買わないと……

コメント (2)
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