Sun Set Blog

日々と読書と思うコト。

新しいサービス

2004年11月12日 | Days

 11月12日の日経MJの「駆けるeベンチャー」の囲み記事で、ドリームクリエイトという会社が紹介されていた。ヤマト運輸の社内ベンチャーから発足した会社で、業務内容は簡単に言うと「雑誌に掲載されている商品をお取り寄せ」するというものだ。
ネコレ」というサービス名でサイトが立ち上がっているけれど、ニュースリリースの文章を読むとこう書いてある。

 雑誌に掲載されている商品に興味を抱いても、時間がない・遠い等の理由で購入できないお客様(読者)の不便を解消するため、ヤマトグループのネットワークでメーカーから商品をお取り寄せする事業を展開します。

 そして、読者と、メーカー、出版社それぞれのメリットが書かれている。読者にとっては自宅にいながら雑誌に載っている商品を購入することができるメリットが、メーカーには新たな流通網を整備することなく顧客が増えるメリットが、出版社にとっては「お取り寄せサービス可能」ということが他誌との差別化に繋がるメリットがあるということだ。
 現状では、このお取り寄せサービスは女性ファッション誌の「style」に掲載されている商品について適用されているのだけれど、今月22日に発売される「Ray」という雑誌でも全掲載アイテム(4000から6000アイテム)の通信販売代行が可能となるみたいだ。どんな雑誌でもいいというわけではなく、あくまでも提携先の雑誌のみの運用となっているようだけれど、それでも魅力的なサービスであるとは言えると思う。

 このサービスが特に威力を発揮するのは、主に地方在住者にとってだろう。ファッション誌自体は全国どこのコンビニでも発売されているけれど、中に掲載されている洋服は東京のショップに集中することが多く、近くの店では扱っていない。
 その結果、雑誌の気に入ったアイテムの載ったページを何度も繰り返し眺めながら、そのアイテム風の品物を近くのショップで探す。もちろん、同じようなアイテムがあるはずもなく、かといって旅費を払って東京にまで出るわけにも行かず、結果として断念する(あるいは妥協する)。本当にどうしても欲しいアイテムだと思い余ってメーカーに電話をしたりするのだけれど、取り寄せに応じないショップがあったり、取り寄せができても入金方法などが煩雑で面倒だったりする。そんな苦労(?)をしてきたファッションにこだわりのある10代後半から20代前半くらいまでの人にとっては、かなり喉から手が出るようなサービスなんじゃないだろうか。

 社長自身(まだ20代後半)も学生時代は地方都市に住み、雑誌を読みながら、欲しい商品がなかなか近くで手に入らないいらだちを感じていたのだという。まさにありそうでなかったサービスだけれど、ヤマト運輸の社内ベンチャーから出来上がったというところに必然性のようなものがあって面白い。ただのアイデアを、自前の配送網をバックに現実のものとするのだから。やっぱり、起業をする人には客観的にインフラ等を考えながらも、あったらいいなを形にする強い熱意があるのだろう。

 ただし、問題はコストだ。記事によると代行手数料は送料込みで、商品単価1万円未満は一律3150円なのだそうだ。そこから2万円単位で1000円から2000円上乗せされていく。そして最終的に10万円から30万円未満では15000円の手数料となる。その手数料収入は、ドリームクリエイトと提携先の雑誌社で折半するのだそうだ。もちろん、サービスの利用客の増加に合わせて、手数料は段階的に引き下げていく予定ではあるようだけれど。

 この手数料のさじ加減が結構考え抜いたところなのだろう。メーカーに取り寄せをする手間隙や、メーカーに商品を取りに行く運賃、顧客のところへ送る運賃、間に絡む様々な人件費、そして利益。そういった部分を勘案してこの金額に落ち着いたのだと思うのだけれど、一消費者としてはやっぱり高いような気がしてしまう。10000円のセーターを買うために、3150円の手数料を支払うというのは、いくら雑誌に載っている商品だと言っても、ちょっと高いように思えてしまうのだ。確かに新幹線代よりは随分と安いけれど、かと言ってもろ手を挙げて喜んで払うことのできる金額じゃない。
 感覚的に言うと、高くても1500円くらいなんじゃないかという気がする。
 ちなみに、5月のニュースリリースでは売上目標が3年後に年商5億円だったのだけれど、MJの記事の会社概要では07年3月期に売上高1億円を目標と変更になっている。これは逆に、現実的に事業としての分岐点が見えてきたということなのだと思うのだけれど。

 あとは、その手数料を高いと感じるか安いと感じるかは、やっぱり誌面づくりの力によるのだろうなと思う。地方に住んでいる人が、あるいは都内に住んでいても忙しくて買い物に行くことができない人が、雑誌を見て「これこそが私の欲しかったものだ」と思えるような商品をいくつ掲載することができるか。これはもう、本当に編集者の力だ。
 そして、そういった雑誌でありさえすれば、「相対的にこの服」ではなく「絶対的にこの服」になるわけだから、手数料は相対的に安く感じられるようになるのだろう。また、誌面の魅力も高まるだろうし、その結果同じような雑誌の中での差別化も可能となるだろう。

 いずれにしても、インターネット時代の紙媒体の魅力を高めるためにも、この新しいサービスがうまくいけばいいのにと思う。

 さて、3年後には、どうなっているのだろう?


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 お知らせ

 日経MJ(流通新聞)は面白いですよ。カラーページも多く、読みやすいし。

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ライブ

2004年11月11日 | Days

 先日、渋谷AXで行われたTodd Rundgrenのライブに行ってきたのだけれど、素直に面白いライブだった。
 最新アルバムからの曲が大半(というかほとんど)を占め、ライブ前に期待していた昔の名曲等はまったくと言っていいほどやらなかった(アンコールで1曲やったくらい)。いわゆる大物アーティストの久しぶりの来日公演であるにもかかわらず、回顧的なかつての名曲じゃなく現在の楽曲を演奏するというところが、なんというかまあ、予定調和を無視していてToddっぽい感じがした。

 開演1時間前くらいに現地に到着する。開場前なので周囲に入場待ちの人たちが所在投げに立ち尽くしていたり、一緒に来た人と話し込んでいたりする。特徴と言えば年齢層が高いことで、一人できている(音楽好きそうな)中年風の人も少なくなかった。
 やがて整理券順に中に入る。1Fオールスタンディングの会場なので結構な人数が入るのだけれど、開演10分くらいになるまで人で埋まった感じにはならなかった。個人的には結構前の方の場所を確保することができて喜んでいたのだけれど、後ろを見ると逆に心配になってしまった。こんなに観客が少なくて、ライブはどうなってしまうのだろう? と。あとでネットで見ると今回のツアーのチケットはあまり芳しくない売れ行きだったようで、確かに「トッド・ラングレンのライブに行くんだ」という話をすると、「懐かしいね」か「誰それ?」という反応しかなかったし。
 最近はメジャーなヒットに恵まれていない分(というか昔からメジャーではなかったかもしれないけれど)、コアな昔ながらのファンや音楽好きの人が多いのだろうなと、そんなふうに思った。

 ステージ上には、四つのブースが作られていた。向かって左側がドラム、その隣から右にベース、ギター、キーボードのバックバンドのためのスペースだ。ブースには有機LEDっぽい仕掛けが施されてあって、開演後は音楽に合わせて様々パターンで発光し続けていた。その鮮やかな明かりのパターンを見ているだけでも面白かったくらい。
 やがて、バックバンドが登場する。インドの王族のような衣装を着ている。そして、Toddが現れる。歓声。身体の線がモロに出るぴったりとした衣装に、ロングスカートのような格好。クールというか、年取ったなあというような感じ。そして、会場の狭さによるあまりの近さに感動する。こんな近くにToddが! というような。
 1曲目は、ニューアルバムの1曲目でもあるアップテンポな「Truth」。
 光の鮮やかさと、本物のToddが目の前にいることで、なんだか妙に浮かれてしまう。昔、Todd Rundgrenの曲をよく聴いていた頃には、まさかライブに来ることができるなんて思ってもみなかった。けれども、目の前で50代のToddが歌って(しかも激しく)動き回っているのだ。さすがロックスター。

 と言っても、寄る年波には勝てないのか、お腹なんてぼてっと出ていて、むき出しになった二の腕なんてたぷんたぷんだ。その見た目がいかにも落ちぶれたかつてのロックスターっぽく、逆になんだかすごいと思える。こんな年になってもまだ第一線(厳密に言うとそうじゃないかもしれないけれど)にいて、こうやってライブをしているのだ。そして大きなホールではないにしても、ライブハウスには彼のことを好きな人たちが集まっているのだ。多くのミュージシャンたちが一線からひっそりと消えていくのと比べ、これはかなり素晴らしいことなんじゃないかと思える。

 ライブは2部構成になっていて、前半がロック調、後半がソウル調といった感じだった。そして、前後半の間に衣装替えがあって、後半のToddは前半のだらしなさから打って変わって、オレンジ色のスーツでびしっと決めていた。メガネなんかもかけていて、かなり理知的な雰囲気。前半のちょっと落ちぶれたロックシンガー風の姿もすべて、確信犯でやっているのだと思えてしまうようなクールさだった。何よりも目がものすごく気難しくも賢そうで、博士と呼ばれてもおかしくはなさそうな、カリスマ的な感じさえしていた。
 後半は魅力的な楽曲「God Said」など。途中、楽しそうに即興演奏を楽しむシーンなどもあり、観客も盛り上がる。アンコールも2回あり、気がつくと2時間30分以上のステージだった。お腹いっぱいな感じ。
 本当に新しいアルバムからの曲ばかりで、逆にここまで徹底してくれるとそれも気持ちいいよなと思ってしまうくらい。
 もちろん、心のベスト10には必ず入ってくる名曲「Can We Still Be Friends」とかやってくれたら最高だったのにという思いはあったのだけれど。
 でも、素敵なライブだったと思う。


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 お知らせ

 あと実際にライブで観てみたいのは、Pet Shop Boysです。生ニールの歌声を聴いてみたいのです。

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ビタミンC

2004年11月09日 | Days

 最近、部屋のなんでも机(仕事も趣味も読書も食事も全部する机)に常備しているお菓子がある。それはNOBELの「VC-3000」のボトルタイプで、セブンイレブンのお菓子エンドの上段によく置かれているやつだ。ノーベル製菓株式会社のホームページの、「秋・冬の新製品ラインナップ」のページに画像が出ているやつ。最近、そんな感じのボトルタイプが流行っているのか、各社から結構発売されている。

 VC-3000自体はタブレットタイプで食べきれてしまうので、以前に電車通勤をしていた頃にはよくキオスクで買っていた。けれどもいまは車で通勤しているので、部屋で食べている。

 ボトルには「1ボトルにレモン果汁約600個分のビタミンCタブレット」と書かれている。最近はかなり食べているので、そのうちからだが黄色くなってしまうんじゃないかと思えるくらいだ。成人1日あたりの摂取量は最低100mgあればいいそうだけれど、1粒122mg含まれているので、それだけでも充分なほどだ。ビタミンCは摂取量が多くなっても排出されるので食べ過ぎによるデメリットはなさそうだけれど、だったらあんまりヘルシーでもないのかもとも思う。

 ただ、現在職場で風邪が大流行しているのだけれど、僕自身は風邪をひきそうな兆候すらなくて、それはもしかしたらビタミンCの(厳密に言うとVC-3000ボトルタイプの)力なんじゃないかとさえ思えてしまう。

 レモンなのですっぱいのだけれど、それでもついつい1粒手にとって口に入れて噛んでしまう。よくわからないのだけれど、やめられないという感じは確かにする。小さなサイズであることも中毒性を助長させているし。

 また、先日の日経MJにも、『白物家電「ビタミンC」切り口に』という見出しで、家電各社が年末商戦に向けて「ビタミン」摂取を謳い文句にした製品を発売してくるといった記事もあった。たとえば光合成LEDを使い野菜のビタミンCが増える冷蔵庫とか、玄米のビタミンE減少を抑えるIHジャー炊飯器などが発売されるのだそうだ。さらには「低酸素調理」機能で調理後のビタミン残存率を高めたオーブンレンジなんかはすでに発売されていて、随分とアピールされている。なんでも、ブロッコリーを例に挙げると、鍋でゆでるより1.4倍のビタミンが残るのだそうだ(ちなみに、そのオーブンはグッドデザイン賞も受賞した話題の水蒸気オーブン「ヘルシオ」)。

 最近の家電につけられる様々な付加価値には顧客のベクトルと合致しないように思えるものも少なくないけれど、この手のヘルシーな機能についての需要はきっと高いのだろう。
 いずれにしてもビタミンCづいているよなと思ったりもする。


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 お知らせ

 風邪は本当に流行っていて、大変そうなのです。

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懐かしい場所

2004年11月06日 | Days

 会社の後輩が、横浜に遊びに行ってきたと話していた。
 その話を聞きながら、まだ半年も経っていないというのに、妙に懐かしくなってしまった。
 横浜市には、ある区に2年弱、別の区に1年半と合計約3年半住んでいたので、個人的には結構印象深い土地なのだ。それぞれ、沿線の異なる区に住んでいたので同じ横浜市でも印象が異なっていて、それでもやっぱり便利な場所だということでは共通していた。都市的な意味でも郊外的な意味でも様々な店があって(たくさんのショッピングセンターをめぐり、たくさんのファミリーレストランに入った)、都心にも1時間くらいで出ることができる。海にも山にもそれなりに近く、スポーツ観戦する場所にも事欠かず、遊ぶ場所もたくさんある。

 古くからある街並みと、人口的に作られた街並み。あるいはたくさんの人口がいるにも関わらず、いまだ手付かずの空き地。それらが不思議と共存していて、当たり前のように混じり合っている。たとえば青葉台の駅から歩いていくと街の印象がどんどん変わっていくし、整然としたみなとみらい地区から数駅しか離れていない関内には80年代にタイムスリップしてしまったかと思えるような雑然としたエリアがある。一方で、金沢区のあるところではここは本当に横浜市なのだろうかと思えてしまうほど空が広い場所がある。それらすべてがひとつになっているのだから、やっぱり不思議な街だよなという感覚を抱く。

 転勤を繰り返しているので、様々な場所の、いくつもの記憶が混在している。それでも、20代後半を過ごした横浜市のことは漠然とではあっても、いつまでもちゃんと覚えているのだろうなと思う。まあ、忘れたとしても当時の日々はDaysにも残っているし。


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 お知らせ

 そのうちに遊びに行こうとは思っているのですけど(いまいる場所からは結構遠いのです)。

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よく見るサイト

2004年11月05日 | Days

 インターネットに繋ぐときには見て回るサイトがあるのだけれど、それはニュースサイトだったり、リンク先のサイトだったり、近くのシネマコンプレックスの上映案内のサイトだったりする。
 そんなよく見て回るサイトのひとつにuefa.comがあって、そこで更新され続けているヨーロッパサッカーのニュースを、もう1年以上熱心に読んでいる。
 チャンピョンズ・リーグをテレビで見ていたときに、出場しているチームについての詳細なデータや、エピソードが書かれているサイトはないのだろうかと探したときにはじめて知ったのが最初だった。セリエAもリーガ・エスパニョーラもプレミア・リーグも、ヨーロッパサッカーならほとんどすべてを網羅しているこのサイトの情報量には、全般的な内容が多く深くはないかもしれないけれど、ほぼリアルタイムに近いタイムリーなニュースを知ることができるという意味では本当に重宝する。

 もう少し書き手の匂いが出てくる文章なら、sportnavi.comのコラムの読み応えがある。特に欧州サッカーのコラムはほとんどすべて読んでいるのだけれど、サッカーが人生に占める割合が明らかに大きな各国のエピソードや視点について読むたびに、奥が深いなと驚いてしまう。書き手たちはサッカーが本当に好きなのだなと思えるような人たちでもあるので、それもまた魅力的に映るのかもしれない。

 様々なチームがあり、個性的な監督がいて、多くの特別な選手たちがいる。先日のロナウジーニョのシュートのようにファンタスティックなプレイで決着のつく劇的なゲームがあり、凡庸な展開に終始する退屈なゲームがあり、ノーガードの打ち合いのような激しい試合や、固く閉じられた門を舞台にした攻城戦さながらの守備的な試合がある。生で試合を観ることができるのがもちろんよいのだけれど、結果を見ているだけでもかなり楽しめてしまうのだから不思議な感じがする。試合運びを説明するニュースの文章を読みながら、その逆転のシュートをぜひ見てみたかったなと思わされもする。そういうのも楽しかったりするのだ。

 不思議なことに。


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 お知らせ

 チェルシーのモウリーニョ監督がお気に入りなのです。

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落ち葉踏み

2004年11月04日 | Days

 午前中に「深まる秋」と書いたからか、会社で2時間ほど気になっていた仕事をして、そのまま車で近場の山に行ってきた。
 近場に山、というのがいま住んでいる町のなかなか素敵なところで、これはもちろん地方であることとイコールでもあるのだけれど、やっぱりちょっと思い立って山に行くことができるのはそんなに悪いことじゃないような気がする(同じ意味で、ちょっと思い立っても海が遠いのは残念)。

 やけにカーブの多い山道をのぼり、手前にある有料の駐車場を通り過ぎて、少し不便な場所にある無料の駐車場に車を停める(ちなみに、7月1日に車が納車されてから、まだ2回しかガソリンを入れていない。あんまり乗っていないことと職場が近いこともあるけれど、やっぱりプリウスは燃費がいい)。

 小さな肩掛けカバンにデジタルカメラとiPodを入れて、音楽を聴きながら散歩をはじめる。山道がいくつかの名所や施設を繋いでいて、近場のわりになかなか散歩のし甲斐のある場所だったのだ。

 紅葉はまだ2、3分というところだった。緑がまだ目立ち、それが朝晩の寒さと矛盾しているような気がして不思議だと思う。植物は常に外にあるから、ヒトよりも敏感に季節への対処が早いのだろうと漠然と思っていたのだけれど、その緑の木々を見ているとたとえば東京にいるコートを羽織っているヒトたちの方が、植物よりも敏感なように見える。もちろん、それは温度や季節感よりは、情報に敏感なだけなのかもしれないけれど。

 植物には情報誌も流行のテレビ番組もないから、本当に向かい合うように日々少しずつ色を変えていくしかないのかもしれない、とぼんやりと思う。

 それでも、山道には結構落ち葉が落ちていた。まだ半分も紅葉でもないのだけれど、その一方では冬に向けての準備をしているのだろう。落ち葉踏みとかエアパッキン潰しは気がつくとついしてしまうことのベスト50位くらいには入っていると思うのだけれど、とりあえず今日もお約束で落ち葉を踏み鳴らしながら歩いていた。一応30歳なのにそんなことをしていていいのだろうかとか思いつつ。

 途中、板張りの橋のような遊歩道があって、その欄干の上にたくさんの落ち葉が続いていた。時折、強い風が吹くと雨のように落ち葉が降り続いていたのだけれど、降ってくる葉っぱのうちのいくつかは、下まで落ちずに欄干にうまく着陸したのだと思う。それが印象的で、周囲の木陰の薄暗さも手伝って、なかなかよい雰囲気を醸し出していた。
 それで、カバンの中からデジタルカメラを取り出してぱちりぱちりと写真を撮った。

 今日からのTop写真にもしてみた。


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 お知らせ

 ちょっとだけ涼しくて、散歩にはもってこいな感じでした。

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深まる秋

2004年11月04日 | Days

 最近は少しずつ気温が低くなって、秋が深まってきているように思える。
 この間薄手のコートを出したし、つけはしなかったけれど収納ケースからマフラーも出した。空は高くなったように見え、朝晩には部屋の暖房もつけるようになった。
 少しずつ、季節が変わっていくのを感じるのは好きなことのひとつだと思う。
 もちろん、忙しいときにはそういうことを感じとることは難しい。だからいつもより早く部屋を出た少し余裕のある朝なんかに、周囲の空気の軽やかな変化に驚いてしまう。なんだかささやかだけれど決定的な変化のようなものを見逃してしまったような気持ちになって、失敗したというようなことを思う。もちろん、毎日季節の変化を目を凝らして見守っていたとしても、そういう決定的な変化を見定めることはできないとも思うのだけれど、それでも余裕のない心持が続いていて早回しで一週間が過ぎてしまったような感覚でいるときと、季節が変わりつつある時期が重なるとなんとなく損をしたように感じてしまうのだ。

 でもまあ、今日は休日で天気がよくて、なんとなく得をしたように感じていたりもするのだけれど。
 単純なのだけれど。

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 お知らせ

 1日に飛行機に乗ったときに、機内誌が新品のようにちゃんとしていて、なんとなく嬉しかったのでした。

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長い移動と最近読んだ本

2004年11月03日 | Book

 いまは3日の午前0時40分過ぎ。
 少し前にタクシーで部屋に帰ってきた。1泊2日の出張に出掛けていて、夕方の飛行機に乗って、新幹線に乗って、帰ってきたのだ。
 明日は祝日でもちろん出勤なので、久しぶりのDaysは簡単に。

 この数日間に読了した本。


『店舗レイアウト』(再読)渥美俊一著。実務教育出版。
 →仕事の参考になる本。磁石売場って言葉は、流通業以外の人には馴染みの薄い言葉なのだと思う。この本を読んで様々な店舗に買い物に出掛けると、いろいろと思うところがあるかもしれない。

『カーヴァーズ・ダズン』(再読)レイモンド・カーヴァー。村上春樹編・訳。中央公論社。
 →短編小説が読みたくなり、本棚から引っ張り出してあらためて読み返してみた。魅力的な断片が多いのだけれど、とくに「足元に流れる深い川」が印象的。
 これで3度目の通読だと思うのだけれど、この傑作選を読むとどうしても『ショート・カッツ』を観直してみたくなる(かぶっている作品が多いのだ)。

『真夜中の五分前 side-A』本多孝好著。新潮社。
『真夜中の五分前 side-B』本多孝好著。新潮社。
 →Amazon.co.jpからのメールで紹介されていた本で、設定が面白そうだなと思って空港の書店で購入した。上下巻のように2冊になっていて、ただ2冊で370ページくらいなので、1冊でもよかったのではないかと思う。もちろん、意図はわかるのだけれど。
 飛行機に乗っているうちにside-Aを読み終わり、モノレールに乗っている間にSide-Bを読み終える。喪失と再生の物語で、おもしろかった。脇を固める登場人物たちの生々しさや表情が不思議と感じられないのだけれど、それも主人公の性質を逆に浮かび上がらせているようで印象的。映画になりそうな感じ。


 飛行機は窓際の席に乗ったのだけれど、ちょうど翼の横の座席だった。翼についている照明が窓の外を見ると同じ場所に常にあって、それが飛んでも飛んでも追いかけてくる星のようで、なんだか不思議な感じがした。また、座席のフックには前に座っていた人が忘れたらしいちょっとしたタグ(何かの商品の値札だけ)がかけられていて、バーコードの裏面には、子供向けの動物が描かれた絵と、「Hava a nice dream!」という文字が書かれていた。なんだか面白かったのでそのイラストつきのタグはポケットの中に入れた。

 ほぼ最終の新幹線は全席自由席で、たくさんの人がホームに並んでいた。とりあえず列の後ろに並んだら喫煙車で、やれやれとぼんやり思う。隣の席のおじさんがビールと煙草の「一仕事終えたセット」をおいしそうに飲んだりしていた。こういうときには、煙草を吸わず、お酒も弱い身としては、その行動がどれくらい気持ちのよいものなのかが図りづらくて困ってしまう。もちろん、わかる必要はないのだけれど。


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 お知らせ

 最終間際の喫煙車両は、煙がすごいことになっていたのでした。

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