今日は休日だったので、『プラダを着た悪魔』を観てくる。
パンフレットの見出しを抜き出すと、
オシャレに無関心な彼女が得たのは、世界中の女性が死ぬほど憧れるあの仕事!
カリスマ編集長の要求は悪魔的ハイレベル。努力とやる気だけで乗り切れるのか?
キャリアとプライベート、どうやってバランスを取ればいい?
という映画。男性よりも、女性にとってより感情移入できる作品なのだと思う。
メリル・ストリープ演じる文字通り悪魔のような編集長は極端かもしれないけれど、どこの会社にだって似たような上司はきっといる。彼女(彼)たちの要求に日々応えながら、それでも頑張っている女性にとっては、小気味よい展開が感情移入しやすいんじゃないだろうか? しかも、垢抜けない女性が洗練された、魅力的な女性へと変身していくサクセス・ストーリーなので見ていて単純に楽しいし。
けれども、最後には自分にとっての本当の幸せは何なのだろうと自問し、ある決断をするというのが現代の物語だという気がする。昔なら、社会的なサクセス・ストーリーの部分で、幸せになって終わりだったように思う。けれども、いまでは仕事とプライベートのバランスをどうするかとか、自分にとっての幸せは何なのかとか、それは環境や年齢や時期によっても随分と揺れ動くし……とか、何かと悩み事が多くなりがちだのだ。もちろん、昔だっていろいろと悩みはあったのだろうけれど、それでも現代は考えなければならないことが随分と増えてしまった。いいのか悪いのかは別にして。
個人的には、様々な洋服をまとったアン・ハサウェイが魅力的だった。マンガの登場人物なみに大きな瞳が印象的なアン・ハサウェイだけれど、作中でディレクターのナイジェルに洋服を選んでもらうあたりから、そのファッションを見ているだけで随分と楽しませてもらった。個人的にはスーパーブランドとかはほとんど興味がないのだけれど、それでもお気に入りの服とかカバンを持っていると嬉しくなるという気持ちはわかるし、一部の人がこの映画に出てくるような最先端のブランドにある種の芸術性を見い出し、生涯をかけているというのも話としてはわかる。作中にも日々纏われるという意味で芸術作品よりも崇高だというような台詞があったけれど、そこまでの付加価値がなくてもいいはずのものなのに、それでもとり憑かれたかのように情熱を傾けてしまう力がファッションにはあるのだろうなと思う。
印象的だったのは、冒頭まだファッションに無頓着だったアンディのブルーのセーターが、実際には数年前に自分たちが作り出した流行による流れの中で生まれたものだという話。超一流のファッションデザイナーとファッション誌が流行を生み出し、それがたとえばLimtedやH&M、あるいはGap(日本ならユニクロ)といった大衆相手のチェーンストアへと繋がっていくというのは実際そうで、ホットファッションが手の届く価格にトレードオフされたものを自分たちは手に入れていることになる。そういうちょっとした台詞が、リアリティを生み出していると思う。
あと、観る前からマドンナの「Vogue」はかかるだろうなと思っていたのだけれど、やっぱり挿入歌として流れていた。
そして、映画を見終わってから、会社に行って3時間ほど仕事をしていく。映画に影響されて自分の仕事を頑張ろうと思ったというより、前の日にバタバタして終わらなかった分があったというのが正直なところ。やれやれ。
★★★(★=1点、=0.5点。満点5点)。
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