Sun Set Blog

日々と読書と思うコト。

エヘン虫

2008年03月06日 | Days

 昨日は5時起きで本社へ。ミーティングなどを済ませ、15時過ぎに同僚と一緒に新幹線に乗って大阪へ向かう。
 大阪では夜北新地で10人で飲み会。ぐるなびで見つけた個室の創作料理系の居酒屋で、話が弾む。
 今日は1日大阪で仕事をして、各地から集まった店長たちに1時間くらい講義(?)をする。アンケートの結果を見るとわかりやすいと好評だったので、とりあえず安心する。
 それから新大阪駅で夕食を食べて、同僚の一人と新幹線で岡山を目指す。
 今回の人事異動で岡山が担当から外れることになったので、後任に引継ぎをするための移動だ。
 途中、車中でいろいろと話す。後任は同期なので元々知り合いで、そういう意味ではお互いにやりやすい。

 ホテルに到着したのは21時少し前。それからジャージに着替えて、恒例のジョギングをする。一昨日くらいから風邪気味で、咳も出ていたし喉も痛かったのだけれど、ジョギングをしたらもしかしたら直るかもしれないと安易に思っていたのだ。
 それに、いろいろと走らない理由を探してそれを認めてしまうと、次からもその理由に大義名分ができてしまう。だからそういう理由があっても走るという事例を自分に蓄積することで、これからもこういう理由でさぼらないぞというひとつのきっかけになるとは思ったのだ。今日は早く眠るという同僚は「治るか、悪化するかどっちかだな」と話していたのだけれど……

 それとは別に、今日そんな風邪気味の状態でもジョギングを行ったのは、この町を訪れるのがおそらく最後だということもあった。
 担当から外れたらおそらくもう訪れることはほとんどないはずだった。
 そして、この町では10回くらいジョギングをしたのだけれど、なかなか感じのよいコースがあるのだ(もっとも、走るのは夜なので風景を見るわけでもなく、あくまでも走りやすいというだけだけれど)。

 この町のジョギングコースでは、走りはじめと終わりに大きな橋を渡る。オレンジ色のたくさんの電灯で照らされていて、ほとんど明かりのないその周辺の闇のなかに、起きたときには覚えていない夢の中の景色のようにぼんやりと鮮やかに浮かび上がっている。その橋の途中から川下のほうを見ると、川の流れの部分がすっかり影になってしまっていて、しんと暗く沈んでいる。その景色を見るたびに、川や水には惹かれるものがあるよなと思う。
 ジョギングは大体1キロ5分のペースで10km強走る。日中ずっと喉のところに張り付いていた咳の塊のようなものは、走っている間はなぜかどこかに消えてしまっている。定期的な息を吐くリズムが、身体の中の空気を整えていく。
 3kmを過ぎた頃から、汗をかきはじめる。途中、iPodの画面を見る。息はそれほど乱れないけれど、風邪気味のせいかいつもよりペースが遅い。
 5kmくらいのコースでやめておこうかなと思う。けれども最後だしと思い直し、結局10km走る。
 そして、最後の橋のところにきたときだった。
 雪が降り始めたのだ。
 オレンジ色の光景の中に、紙吹雪をざっくりと切ったような雪が、散るようにゆっくりと舞っていた。確かに走りはじめからずっと冷え込んでいた。雪が降ってもおかしくはなかった。けれども岡山だし、もう3月だ。まさか雪が降るなんて思ってもみなかった。
 走りながら、雪を見上げていた。無理をして走ってみてよかったなと思った。こういう思いがけないことがあると、たぶんいつまでも印象に淡く残る。そして、残る記憶はそれほど悪いものにはならなそうなので、そういった意味では人生的には得をしたような気がする。

 もちろん、その町を最後に訪れるときに、3月の雪が降っていた橋をジョギングしていたなんてことは、本当に他愛のないことだ。けれども細部の積み重ねこそがいろいろなものを作っていく。食べるもので身体が作られていくように、日々の細かな仕事が信頼のようなものを生むように。

 ホテルに戻って、シャワーを浴びる。走り終わったら、さっきまで感じなかった喉の痛みをまた感じ出す。ジョギングの間は、エヘン虫はきっと喉のどこかに隠れていたのだろう。
 これはもしかしたら風邪を悪化させたかなと少しだけ思ったけれど、まあよかったということにしておこう。とりあえず。


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 お知らせ

 それでいま5時に起きたのですが、喉はかなり痛いのでした……薬を買わないと……

コメント (2)
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