ジャニーズと大手メディア、BBCとジミー・サヴィル

2023-09-14 17:03:40 | 感想など

 

 

「外国はちゃんとしているのに日本はクソ」という妄信は最高にバカげているが、「外国もやってんじゃん(なのに何でうちだけ言われるんだ・・・)」と考えるのも同程度にはアホである。

 

というのも、ユートピア(理想郷)なんてものが存在しない以上、問題はいつでも、どこにでも起こるのであって、だからこそビッグモーターの不正からもよくわかるように自浄作用の仕組みが重要、という事実を全く理解していないからだ(動画で言及されているBBCとジミー・サヴィルとイギリス王室→今日のBBCの性被害報道、あるいはカトリック神父による多数の性犯罪と教会による隠蔽→映画「スポットライト」で描かれた告発などを想起。あるいは以前紹介したアルジェ・モーテル事件や光州事件とその報道も参照)。

 

で、BBCによる報道という「外圧」から始まったジャニーズ問題によって芋づる式に明らかにされつつあることは、日本の芸能界や大手メディアにはその仕組みが(今も)無いし、もっと言えば様々な組織・人間が関与する巨体な隠蔽構造ですらあった、という事実だ(だからこのブログでは、大手マスメディアのクロスオーナーシップ制度や記者クラブ制度の事を何度も取り上げてきた)。

 

今やジャニー喜多川による性犯罪をただ被害者が訴えるのではなく、第三者委員会もジャニーズ事務所も公に認定したわけだから、完全に次の段階に移行したと言えるが、会社名はそのまま残して商業活動を継続して行い、しかもそのスポンサーを続ける企業がまだそれなりに残っている状況はまさに異常と言う他ない(「所属タレントには罪はない」という視点からのスポンサー契約の是非については別記事で書くつもりだが、その点を重要視するなら、事務所自体の商業活動停止と同時に他事務所への移籍斡旋を進めるという対応を軸に据えた上で、その支援のあり方をこそ議論すべきだろう)。

 

なお、ジャニーズのスポンサーとして残るか否かの判断は、海外企業や投資家の評価を意識せざるを得ない国際的企業は早速スポンサーから外れ、ドメスティックな企業は国内しか気にする必要がないのでスポンサーに残っているという傾向を見せているが、これは「人口がそれなりに多く内需で何とかなったので海外を気にする必要性が薄かった」日本企業が変化に消極的で、「失われた30年」を現出する理由の一つになっていることを思わせて興味深い。

 

またマスメディアに関して言えば、国内の大手メディアはすでに官僚主義化していて猿山にしがみつく腰砕けの巣窟となっている中、BBCなど海外の大手メディアが、いくらでも報じるネタ(国際的にニュースバリューのあるネタ)を提供してくれる日本社会を草刈り場にしていくことすら起こるかもしれない。

 

まあ日本政府(法務省の広報など)にしてからが、問題の深刻さを理解しておらず後手後手に回っている状況だから、認識の甘さはさすが代用監獄制度などの「中世的司法」がまかり通っていると評価されるだけのことはあるが、ともあれこういった自浄作用の無さこそ、前述もしたように大きく言えば「失われた30年」を生み出したのであり、そして今回も外圧でしか変われず、その後の変化もグダグダである状況を見ると、日本社会は(大半が)これからの凋落に対応できようはずもないし、それが可能になるのは半世紀ほど先の話だろう、という自分の確信を新たにした次第である。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 政治に無関心でいることはで... | トップ | あと一日っっ・・・!! »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

感想など」カテゴリの最新記事