贈与、推し活、搾取システム

2023-12-23 16:25:13 | 生活
 
 
 
 
「損得ばかり考える人間になるな、贈与できる人間になれ」みたいな事を言う人が時々いて、その意図するところは理解できるが、そういう人間の志向性は簡単にシステム化、つまり搾取構造に取り込むことができちまう点には注意が必要だ。
 
 
こういう仕組みは、そもそも「人間というものは利己的に振舞うのだからこそ、利他的行為に超越性を見出す」みたいな感じで、共同体の論理や宗教の喜捨(日本で言えば「浄財」、イスラームで言えば「サダカ」)なんかで大昔からあるものなんだけど、それらが急速に説得力を失いつつある現代社会では、モナド化した個人に訴求するものとして「恋愛ビジネス」や「推し活ビジネス」なんかが台頭してきていると(余談だが、人間と異形が出てくる作品で勧善懲悪的でない場合、前者の利己的側面と後者の利他的側面を対照的に描くことでその境界線の曖昧さを強調する、というのは『デビルマン』や『DEATH NOTE』をはじめ、しばしば見られる表現方法である)。
 
 
より正確に言えば、恋愛ビジネスも女衒の手口の一つであったりして、割と古いものではあるし、「推し活」についても歌舞伎役者に入れ込んで散財するケースなんかが江戸時代に見られたりはしている。まあ要は、そういったシステムがより広範に普及し、さらに成熟社会化による「モノ消費→コト消費」という変化、そして共同体の解体や家族を形成する人間の割合が減少したことによって自分の趣味嗜好への投資割合が増加した結果、今述べたような投資のさせ方(あえて言えば「集金方法」)の有効性が増してきている、てなところだろうか(この文脈で考えると、なぜ「男は女に奢るべき」という言説が反発を食らうかもわかりやすい。つまりそれは、「法的な根拠もなければ社会的義務でもない内発性による贈与を外野が強制し、事によっては社会的制裁さえも匂わせる」という構造になっているからだ)。
 
 
言い換えれば、そういった感情を人工的・機能的に発露・高揚させて搾取するシステムが整ってきているわけで、相手を魅了したり、あるいはその不安や不全感に寄り添う言動をしつつ、その代償としての支出に「利他」というお墨付きを与えてやれば、軸が定まらない人間ほど容易にカタにはめられる!てわけだ。
 
 
 
 
 
 
よって、利他を称揚するのは大変結構だが、そういったものとの対し方も同時に注意喚起していかなければ、むしろいい鴨にしかならないんだよなあ・・・てのがよくわかる動画でございました(・∀・)

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