次から郷壊し編が始まるが、新EDもスタートということでいよいよクライマックスの趣が強くなっている。今回は、それに先立って一度1~17話までの展開を元に自分の予測を整理しておきたいと思う(なお、第17話の感想はこちらで、「北条沙都子」に関する考察はこちら)。
【「ひぐらしのなく頃に 業」の世界構造】
1:「ひぐらしのなく頃に 業」の舞台は偽りの昭和58年(以下「昭和58年」と表記)である。これは昭和63年の固有名詞(聖ルチーア学園)を伴った具体的な記憶、OP歌詞などから傍証される。
2:梨花は祭囃し編のカケラで惨劇を生き延び、昭和63年にまで生きたが、何らかのトラブルがきっかけで「昭和58年」に閉じ込められている(素直に考えれば、沙都子に雛見沢を出る件を話し、沙都子自身が両親にそうしたような流れで梨花に危害を加えたというものだろう)。
3:「昭和58年」の中で、梨花と「北条沙都子」はループしている。
4:全員かまでは不明だが、旧ひぐらしの記憶を継承している人物が複数いることが確認でき、これが各人の行動原理に大きな影響を与えている(圭一、詩音、鷹野)。ただし、この要素により旧ひぐらしで加害者になった人間が犯人にならないというわけではない→鬼騙し編のレナを想起(彼女は徐々におかしくなっているので、赤坂などに想定されるH173の投与とは考えにくい。加えて梨花を標的にしていないため、綿騙し編以降の犯人たちとは一人だけ様相が違っている)。
5:「昭和58年」において大災害は共通して発生していない。これは鷹野が旧ひぐらしの記憶を継承した結果、旧ひぐらしを規定した強靭な意思を持たず、ゆえに彼女が富竹に陰謀を打ち明け自ら舞台を降りるからである。
6:鷹野の悔悟と、それにもかかわらずおそらく毎回富竹と「失踪」していることを踏まえると、「昭和58年」は登場人物が目覚めるタイミング(の前後)から始まっており、「昭和58年」6月という極めて短いスパンを繰り返していると考えられる(鷹野が旧ひぐらしの記憶を昭和58年より前から持っていたとしたら、そもそも野村の甘言に乗る可能性が低いため)。
7:山狗や番犬、東京なども全て存在しており、上記で述べた要素以外は旧ひぐらしと共通していると考えるのが妥当(だからこそ、祟騙し編や猫騙し編の犯人たちの暴走は奇妙という話になる)。
【「ひぐらしのなく頃に 業」における勝利条件】
1:「北条沙都子」の目的(勝利条件)は、梨花を殺すことというよりもむしろ、梨花に「雛見沢を受け入れさせる」ことであると考えられる(そうでないなら、同居しているので寝首を欠けばいいだけ→猫騙し編で梨花が最初から重症の状態で始まることを想起したい)。その手段として繰り返し梨花を残虐な方法で殺したり、梨花が(自分を殺さないだろうと)信頼している人物に殺させたりする動きをとって、肉体的・精神的に疲弊・屈伏させることを狙っている。H173は綿騙し編以降そのために使用された(確実視できるのは祟騙し編以降。綿騙し編での魅音は喉を掻き毟っていないので「北条沙都子」が魅音の疑心暗鬼を煽って犯行を教唆か?ただし次の記事でも述べるが、その場合圭一たちの祭具殿侵入と魅音による凶行の始まりにはタイムラグがあまりなく、「北条沙都子」が人目に触れずそれをやるタイミングがあったのかという疑問がある)。
2:梨花の目的(勝利条件)は、この世界から脱出することである。よって、「ただ殺されないようにして生き延びても意味がない」。すると梨花にとっての正解は、オヤシロソードの欠片で自害すること=ループの輪を断ち切って「昭和58年」から離脱することであると考えられる(逆に言えば、それ以外は作中から得られるヒントで「昭和58年」から脱出しうる方法がない)。そして離脱した後に上位世界で「昭和58年」が作り出された要因を解消することが梨花のミッションということになるのではないか(これは構造的に「うみねこのなく頃に」と近い)。
3:2の想定が正しければ、オヤシロソードの欠片を「ループを断ち切るためのツール」として教えなかった羽入は信用できない(OPの「嘲笑った」場面を参照。こうなってくると、「あと5回」も真実なのか疑わしくなってくる)。ここからいくつかの可能性が想定できる。
(a)羽入が全ての元凶で「昭和58年」の創造も「北条沙都子」の暴走も全て羽入のせい+それは本来の世界における羽入の怒りか何かを反映している→神様のシンドローム
(a)´「昭和58年」における羽入の立ち位置は(a)と同じだが、それは「昭和58」年の上部にいる存在の意思(八代幾子=アウローラ的存在?)によるもの→「うみねこのなく頃に」的世界。つまり羽入はベアトリーチェに近い存在と言っていい(「北条沙都子」のポジションは◆◆◆◆と同じになる)
(b)羽入は「昭和58年」の構造を理解しておらず、ゆえにオヤシロソードの話も本当にそう思っている+それは本来の世界において羽入が出来事にコミットしていないから→この場合良かれと思って狂人的ムーブをしていることになるが、するとOPの「嘲笑った」の説明がつかない
(b)´羽入が「昭和58年」の世界構造を理解していないのは同じだが、その上部世界では深く出来事に関わっており、むしろそれゆえに「昭和58年」では梨花の助け役になる意思がない→賽殺し編にやや近いかな?
以上のそれぞれの可能性とその問題点、そして今後の展開をあわせて考えると、「昭和58年」においては羽入が黒幕で「北条沙都子」が実働部隊という可能性が一番高いと考える。とはいえ、上位世界においてのことはまだ考察材料が足りないので、次の18話を見てから推理してみたい。
さて、ここまでで結構な分量になったので一旦ここで終え、これまでの展開考察は次の記事で行うこととしたい。
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