高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

クロエリクチバ(沖縄編42)

2009年01月11日 09時01分13秒 | Weblog
宿のベランダに設置した水銀灯にクロエリクチバが飛来した。

クロエリクチバは前翅後縁中央寄りに特徴のある「,」状の黒い紋をもつのでこれを同定の目安としていた。

ところがこの個体はその黒紋がほとんど消失してしまい、小さな黒点がわずかに残ったもので、この個体はいったい何なのかわからず同定に時間がかかってしまった。
図鑑の解説を見て前翅の模様は個体変異があるのだと知った次第・・・。

襟にあたる部分が黒いことから「クロエリ」の和名がついたらしく、次からはここを先に見ればすぐわかると後で気がついた。

沖縄本島から石垣島や西表島にかけて、インド、スリランカ、南太平洋諸島、オーストラリアとたいへん広い地域に分布している。

幼虫はフィジー島でハマササゲ(マメ科)から見つかっているが、日本では食草がまだ不明のようだ。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.27)

クロモンカギバ(沖縄編41)

2009年01月10日 09時59分16秒 | Weblog
クロモンカギバはベージュ色のはねに目立つ黒紋がある。

九州南部から沖縄本島、石垣島、西表島にかけて分布している。
昨年はわが高知県でも偶産蛾であろうが確認することができた。

高知県ではよく似たギンモンカギバが多くみられ、黒紋をもつ個体については同定に悩んでしまう。
外観がきわめて似ていて、♀♂交尾器も明確な差がないというから難しい。
四国で見られる個体についてはあいまいだが、一応黒紋がはっきり大きい個体はクロモンカギバと判断している。

沖縄ではギンモンカギバは分布していないとされているので、沖縄で見る個体はすべてクロモンカギバと同定してよいのだろう。

幼虫は黒く鳥か何かの糞のような形でおしりに1本のまっすぐな尾状突起がついている。
食草はハゼノキで集団生活をすることが知られている。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.25)


オキナワミスジノメイガ(沖縄編40)

2009年01月09日 08時55分34秒 | Weblog
オキナワミスジノメイガも蛾類大図鑑に出ていない種である。

探してみると2002年に「誘蛾燈No.170」で発表されている。
撮影画像整理当初はこれが何かわからず、HP「みんなで作る日本産蛾類図鑑」の掲示板に問い合わせて、がいすとさんに同定していただき確認できた。

前翅に3本の黒い筋がみられることからミスジの名がついたのだろう。
個体数はそれほど少なくはないようだ。

沖縄本島、石垣島、西表島、与那国島、ジャワに分布している。
幼虫はマメ科のイルカンダを食べる。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

ギンネムエダシャク(沖縄編39)

2009年01月08日 09時47分30秒 | Weblog
ギンネムエダシャクは講談社の日本産蛾類大図鑑には出ていない。
調べてみると本種は元々北アルゼンチンからカリブをへて合衆国南部にかけて分布していたもので、食草のギンネムとともに1970年頃以降太平洋各地に分布拡大したようだ。

現在は小笠原諸島、トカラ列島~沖縄~台湾、ハワイ、サイパン、グアム、ルソン島など太平洋の熱帯や亜熱帯の地域に広く分布している。

地味で目立つ模様はないのだが今回の旅行では以前から見つけたいと思っていたので嬉しかった。
斑紋の変異が大きい。

幼虫はギンネム、ハイクサネムを食べることが知られている。

(撮影:沖縄県大宜味村 2008.11.28)


サカグチキドクガ(沖縄編38)

2009年01月07日 09時50分19秒 | Weblog
サカグチキドクガは前翅中央に黒い帯があり、翅頂付近に小さな黒斑が2つあることですぐにわかる。

おもに九州南部から石垣島、西表島にかけて分布している。
四国では西南部で見つけているがまれである。
また、本州の伊豆半島でも見つかっているというが、四国や本州の個体は偶産の可能性が高いと思われる。

幼虫はの食草を調べてみるとヤブコウジ科のモクタチバナ、ブナ科のイタジイ、ツバキ科のイジュが記録されている。
科が異なるのでかなり多種の樹木を食べているのではないだろうか。

和名や学名の「サカグチ」は沖縄第一中学校教諭の坂口聡一郎氏(故)の名前からついたもので、他にもハチ、コメツキムシ、ゾウムシなどにも同じ「サカグチ」の和名がついた種がみられる。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.27)

イカリモンノメイガ(沖縄編37)

2009年01月06日 11時25分52秒 | Weblog
イカリモンノメイガは一見アコウノメイガに似ているようだがもっと小さいこと、♂の腹端に黒褐色の毛束があることで区別できる。

また、同属の同じ大きさをしているクワノメイガやチビスカシノメイガとも間違えそうだが前翅の白い斑紋の形が違っている。

トカラ列島、奄美大島以西、台湾、インド、マレーシアにかけて分布していて沖縄では普通種になる。
幼虫はハマイヌビワを食べることがわかっている。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.25)

アコウノメイガ(沖縄編36)

2009年01月05日 09時54分09秒 | Weblog
アコウノメイガはトカラ列島以西、奄美大島、台湾、中国、東南アジア、マレーシア、インドとかなり広い地域に分布している。

沖縄本島では普通種らしく、本種と共にミツシロモンノメイガが灯火に飛来して一見紛らわしい。

両種の違いはアコウノメイガの方が小さくて、一番大きい半透明の前翅白紋の外側が尖っていること、前翅中央やや下に黒紋が認められることで区別できる。

幼虫はイチジク属を食べる。
種名についたアコウも同じクワ科なので食草なのだろう。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.24)

タイワンキドクガ(沖縄編35)

2009年01月04日 10時24分59秒 | Weblog
タイワンキドクガは前翅に薄い2本のすじがある。
チャドクガも同じような2本のすじがあるが、こちらは2本のすじがもっと離れていて翅頂付近に黒点があり沖縄には分布していないことで区別できる。
また、沖縄に分布しているゴマフリドクガにも似ているが、こちらは2本のすじがない。

平地性の蛾で幼虫はゴボウ、ダイコン、ツルソバ、バラ、モモタマナその他ほとんどの植物を食べるという。
沖縄では時に多数発生して幼虫の毒毛による被害が出る。

奄美大島以西、台湾にかけて分布している。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

シャクトリノメイガ(沖縄編34)

2009年01月03日 10時05分14秒 | Weblog
シャクトリノメイガは前翅翅頂が鎌状にとがり、メイガの仲間ではやや大きい方である。
シャクトリという名前から幼虫はシャクトリムシのような形態や動きをしているのだろうと調べてみたが、手元の資料では探しても食草も幼虫も不明だった。

沖縄ではやや少ないようで、九州南部以西、台湾、中国、インドに分布している。
(撮影:沖縄県大宜味村 2008.11.28)

ハガタベニコケガ奄美以南亜種(沖縄編33)

2009年01月02日 09時28分55秒 | Weblog
ハガタベニコケガは小さいが赤くてきれいだ。

日本に分布するものは3つの亜種に分けられていて奄美大島より西、石垣島、西表島にかけて分布するものが奄美以南亜種とされている。

北海道の個体は色も薄く黒い線も細いが南にいくに従い赤みが強くなり、黒い線も幅広く濃くはっきりしてくる。
北と南の両方を比べると、特に奄美以南亜種は別種のような違いを感じる。
(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.25)