高知の自然 Nature Column In Kochi

南四国で見かけた蛾をおもに紹介していましたが、現在更新を中止しています。

モモブトアオリンガ(沖縄編43)

2009年01月21日 09時51分57秒 | Weblog
黄緑色の小さなかわいいモモブトアオリンガ

このEarias属の仲間は似た種が多いので見つけたときは何かわからなかった。
同定には時間がかかったが、頭部の下唇鬚と前頭両側が紫紅色をしている特徴からモモブトアオリンガと判断した。
この個体は♀だが、♂だと中脚の特徴でも同定できるのではないだろうか。

沖縄県ではレッドデータリストに含まれているのでかなり少ない種と思われる。
奄美大島、沖縄本島、宮古島、南大東島にかけて分布している。
幼虫はオオハマボウやフヨウを食べる。

(撮影:沖縄県大宜味村 2008.11.28)

ウスチャトビモンエダシャク(沖縄編42)

2009年01月20日 09時34分58秒 | Weblog
うす汚れた何の変哲もない地味なシャクガ・・・と無視されてしまいそうなウスチャトビモンエダシャク
こういう目立たない色模様が保護色となり、天敵から身を守る役目を果たしているのだろう。

普通種かと思っていたが個体数は結構少ないようだ。
沖縄本島で見られるものは奄美以南亜種で、屋久島には屋久島亜種がいる。

トカラ列島以西、台湾にかけて分布している。
幼虫はノイバラを食べるというが、それに限らず多食性のようだ。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.27)

チビアカジママドガ(沖縄編41)

2009年01月19日 08時42分48秒 | Weblog
灯火にアカジママドガの一種が飛来した。
日本のこのStriglina属は外観がよく似たものが4種ある。

四国にはアカジママドガとヒメアカジママドガがいる。
なので見つけたときはヒメアカジママドガあたりかなと思っていた。
しかし、後でよく調べると沖縄にいるのはオオアカジママドガとチビアカジママドガということがわかった。
種が全く違うではないか。

そういえば四国で普段見ているものに比べてかなり色が濃い。
オオアカジマはやや大きくて薄い色合い、チビアカジマは小さめであること、その他からこれはチビアカジママドガであると判断した。

幼虫の食草はツバキ科のイジュが知られている。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.26)

ヒメヒゲブトクロアツバ(沖縄編40)

2009年01月18日 09時41分24秒 | Weblog
宿に設置した水銀灯に小型の黒いアツバが飛来していた。
ヒメヒゲブトクロアツバである。

高知県では外観がよく似たヒゲブトクロアツバを見かけるので採集したときはどちらかわからなかった。

蛾類大図鑑で調べるとヒゲブトクロアツバは屋久島以北に分布し、ヒメヒゲブトクロアツバは屋久島以南でインドからオーストラリアにかけて分布していて、屋久島では両種が混在している。

このことから沖縄本島で見られるのはヒメヒゲブトクロアツバということになる。

詳しい情報を知ろうとネット検索をしてみると画像が出てこない。
少ない種なのだろうか?
幼虫の食草はアスナロと出ていたが、他の植物も食べそうに思える。

この属は和名「ヒゲブト」の通り♂の触角中央やや基部寄りに鱗粉に覆われたコブ状のふくらみがある。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.24)



スキバドクガ♀(沖縄編39)

2009年01月17日 09時47分33秒 | Weblog
灯火にスキバドクガ♀が飛来して驚いた。

大図鑑ではスキバドクガは西表島や石垣島などの八重山諸島、台湾、マレーシア、インドに分布していると出ているので、沖縄本島で見つかるとは思っていなかったのだ。
しかし、帰宅して他の本で調べてみると沖縄本島にも分布していたことが後でわかった。
西表島では多数の飛来を見たので八重山の方が個体数は多いようだ。

♀は黒いゴマふり模様なので一見ゴマフリドクガと間違えそうに思えるが、スキバドクガの方がずっと大きいので混同することはない。
成虫はゴマフリドクガのような毒針はもっていない。

♂は小さくて和名の「スキバ」の通り透明なはねで♀とは全く似ていない。
昼飛性で灯火には飛来せず葉に止まった形はセミによく似ている。

私はほとんどライトトラップばかりするので、昼間活動する蛾はあまり知らず、植物の知識も薄いのでどれが食草かわからず、♂はまだ見つけたことがない。

幼虫の食草は従来ガジュマルが知られていたが、その他アコウ、ハマイヌビワ、オオイタビなども食べることがわかっている。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.25)


ヤエヤマクロノメイガ(沖縄編38)

2009年01月16日 09時14分13秒 | Weblog
今回ヤエヤマクロノメイガを見つけたとき、これは沖縄本島初記録かもと思ってしまった。

これは和名に「ヤエヤマ」とついているので八重山諸島特産だろうと早トチリしてしまったからである。

よく考えれば地名がついていても、そこだけに産するとは限らない種は他に多数あるではないか。
全く無知で浅はかな考えをしてしまうものだ。

帰宅後に図鑑類で確認してみると分布が八重山だけの本もあったが、沖縄本島でも見つかっている。
多分八重山諸島で最初見つかったのでヤエヤマという和名がついたのだろう。
ヤエヤマという言葉を聞くと南方の魅惑的な楽園の響きを感じてしまう。

沖縄では普通種というのに種名がわからず、最近2003年にやっと新種発表されたというのは意外であった。

幼虫はシダ類のヤリノホクリハランやリュウビンタイを食べる。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.27)


ホソバウスムラサキクチバ(沖縄編37)

2009年01月15日 10時30分52秒 | Weblog
ホソバウスムラサキクチバは沖縄では普通種のようでライトトラップによく飛来する。

沖縄では他に同属のよく似たヤエヤマウスムラサキクチバ、ウスムラサキクチバ、マダラウスムラサキクチバがいるのでまぎらわしい。

しかし、この♂の場合は他のウスムラサキクチバ類と比べて、前翅の幅が狭いので一目で他と区別することができる。

トカラ列島から奄美大島、沖縄本島を経て石垣島、西表島にかけて分布している。
屋久島や九州ではまだ見つかっていないようだが、私は四国西南部の足摺岬でこれと同じ♂に出会っている。
たぶん偶産蛾であろう。

普通種なのに食草が不明なのか調べて見つけ出せなかった。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.25)

フタコブスジアツバ(沖縄編36)

2009年01月14日 09時19分24秒 | Weblog
前翅の外横線が曲がって2つの黒コブをつくるフタコブスジアツバ

この黒コブはトビモンアツバにもあるので同定には注意がいる。
また、色模様は両種とも変異がある。

幼虫はハドノキを食べることが知られている。

九州南部から沖縄を経て台湾にかけて分布している。
私は四国西南部の足摺岬でも発見している。

やや少ない種のようだ。

(撮影:沖縄県大宜見村 2008.11.28)

マルバネキノカワガ(沖縄編35)

2009年01月13日 09時37分07秒 | Weblog
小型のマルバネキノカワガは木の皮に止まるとまずわからないだろうと思える保護色の地味な色模様をしている。

日本では石垣島と西表島に分布すると思っていたので、今回沖縄本島で見つかったのには驚いた。
それも本島北部では多くはないが各地で生息しているのだ。
後日帰宅して調べてみるとすでに沖縄本島でも見つかっていることがわかった。
国外では台湾、インド、オーストラリアまで広く分布している。

幼虫はアカギ、ビワ、ナシ、バンジロウ、ホルトノキ、アカメガシワなどを食べることが知られており、台湾ではスモモ、ビルマネム、サルスベリ、グアバなども食べることから相当多種の樹木を食べていることがうかがえる。
特に果樹を食べることから果樹園の害虫として今後注目していく必要がある。

キノカワガというと幼虫は木の皮を食べると思いそうだが葉を食べる。
木の皮は食べるかどうか飼育したことがないのでわからない。

大図鑑によると成虫は7~8月に見られるそうだが、私は石垣島や西表島に5月に2度行って2度共出会っているし、今回沖縄本島で11月末に複数見ているので、真冬はどうか知らないが春から秋遅くまで成虫がいるのではと思われる。

(撮影:沖縄県大宜味村 2008.11.28)

オオモンヒメシロノメイガ(沖縄編34)

2009年01月12日 09時41分46秒 | Weblog
宿のベランダに設置した水銀灯の明かりにオオモンヒメシロノメイガが飛来していた。
白い半透明なはねと模様は派手ではないが好感がもてる。

この蛾を最初に見つけたときは高知県で見かけるヒメシロノメイガではないかと思ったが、何だか大きさや模様が少し違っているように感じた。
そこで図鑑を見てオオモンヒメシロノメイガと判明した。

ヒメシロは本州、四国、九州、対馬、屋久島、トカラ列島に分布している。
一方オオモンヒメシロは九州南部以西、台湾、中国南部、マレーシア、インドにかけて分布しているので、似ていても沖縄本島でこの2種を混同することはまずないだろう。

幼虫の食草は本に出ていなかったのでネットで探したら、モクセイ科のムニンネズミモチ、シマモクセイを食べると出ていた。
時に大発生をするという。

(撮影:沖縄県国頭村 2008.11.24)