水産業界事件記録

水産業界で発生した事件の報道記録

かっぱ事件 かっぱ社長 田辺公己容疑者(46)逮捕 不正競争防止法違反容疑

2022-10-02 09:05:20 | 日記

2022年10月07日 日本経済新聞
[かっぱ社長逮捕1週間 営業秘密持ち出し、浮かぶ構図]
「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト元社長、田辺公己容疑者(46)ら3人が逮捕された不正競争防止法違反事件で、田辺元社長が競合する「はま寿司」の営業情報など多数のデータを持ち出していた疑いがあることが6日分かった。田辺元社長が転職前に秘密保持の誓約書に署名していたことも判明した。逮捕から7日で1週間。警視庁は田辺元社長が違法性を認識していた可能性があるとみて調べている。
者によると、幹部人材を募集していたカッパ・クリエイトの親会社、コロワイドに人材仲介会社から田辺元社長の紹介があったのは2020年7月中旬。2度の面接を経て、8月26日に採用の内定を通知した。
田辺元社長は9月中旬、ゼンショーHDに退職の意向を伝え、同月下旬から有給休暇を取得。職務で知った情報を外部に漏らさないとする秘密保持の誓約書に署名していた。元部下にはま寿司の内部データのファイルを外部サーバーにアップロードさせたのは、同月末ごろだったとされる。
データはその後、USBメモリーに移され、田辺元社長の手に渡ったとみられる。カッパ社への入社は11月1日だった。
元部下がアップロードしたデータには、営業に関する情報など多数のファイルが含まれていたという。警視庁はこの中で営業秘密と認定した仕入れに関する2つのファイルが不正競争防止法違反にあたると判断したもようだ。
田辺元社長は転職後、同社商品企画部長で同法違反容疑で逮捕された大友英昭容疑者(42)とデータを使い、商品原価を比較した表を作成するなどした疑いがある。
データの持ち出しが発覚したのは、田辺元社長が別ルートで情報を入手していたことがきっかけだった。ゼンショー側は、元社長が20年11~12月に元部下からはま寿司の売り上げデータをメールで受け取った疑いがあることを把握し、21年2月に警視庁に相談。社内調査の過程で営業秘密にあたる仕入れデータの持ち出しも浮上した。
関係者によると、田辺元社長は逮捕後の調べに対し、仕入れデータの取得などを認めたうえで「不正競争防止法はよく知らなかったが、社内ルールに違反していることは認識していた」などと話しているという。
検察当局は今後、田辺元社長だけでなく、法人としてのカッパ社についても社内の共有状況などを調べたうえで、起訴するかどうか判断するとみられる。
「かっぱ寿司」元社長を巡る不正競争防止法違反事件
警視庁は9月30日、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの元社長、田辺公己容疑者(46)や同社幹部ら3人を不正競争防止法違反容疑などで逮捕した。
田辺元社長の逮捕容疑は、ゼンショーホールディングス(HD)に在籍していた2020年9月末ごろ、過去に取締役を務めた子会社、はま寿司の内部データを不正に取得し、カッパ社への転職後に業務で使用するなどした疑い。
データは食材の仕入れ価格や取引先に関するもので、警視庁は「営業秘密」にあたるとみて捜査。カッパ社にも両罰規定を適用し、書類送検した。
不正競争防止法は企業の営業秘密を不正に取得して持ち出す行為などを禁止している。不正な利益を得る目的で営業秘密の持ち出しなどをした場合、懲役10年以下か罰金2千万円以下、またはその併科となる。

2022年10月06日 日本経済新聞
[かっぱのガバナンス空転 1年遅かった社長辞任]
「こんなデータ見せられたって、何の足しになるのか。誰がありがたがって見るのか」。回転ずしチェーン、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト社長(当時)、田辺公己容疑者(46)による営業秘密のデータを不正に持ち出した疑いのある不正競争防止法違反事件。データを見せられたかっぱ寿司の幹部は首をかしげ、こんな感想を抱いたのではないだろうか。「それで『何かしろ』というのか」と。
■ネタの相場観は共通
報道によると、田辺容疑者は、かつて取締役を務めたはま寿司の食材の仕入れ価格、仕入れ先の情報などを当時の部下などを通じて不正に入手したという。営業に関するデータを社外に持ち出し、競合する企業で活用することは断じて許されないが、そもそも喉から手が出るほどのデータなのか、疑問が残る。
というのも、すしの原材料は主にコメとネタ(魚介類)だ。どちらも農水産物で食材そのものに精密な工業製品のようなノウハウが詰まったものではない。飲食業界で仕入れを担当している人物ならば、各種ネタの相場観は肌感覚で持ち合わせる。と同時にそれがないと仕事ができないからだ。
はま寿司の出店形態は小型店やビル内店舗が多い一方、かっぱ寿司は郊外型店舗が主体だ。両社の物流や店舗オペレーションは異なる。仕入れ価格を知っても、各社それぞれの運営コストが違うから入手したデータは参考程度にしかならない。田辺容疑者もほんの手土産的な感覚でデータを入手したのだろう。ただ、メールのやり取りで足がついてしまった。ライバルの情報で本当に喉から手が出るほど欲しいのは、数年先までの出店情報だ。その情報を基にライバルの出店候補地を避けて出店することができるからだ。
■不正疑いの表面化後も続投
飲食業や小売業は新規参入も多く、人材の流動性は製造業よりも比較的高いといわれる。大手飲食チェーンや経営効率でならした小売りチェーンの幹部などに転職の誘いは日常的にある。だが、新天地で前職よりも大活躍しているという話はあまり聞かない。むしろ意図的ではないにしろ、新しい職場を混乱に陥れるケースすらある。トロイの木馬のように。
いくらその人物がピカピカのノウハウを持ち合わせていても、転職先の企業にそのノウハウを受け入れる社風や企業組織がないかぎり、小売業や飲食業独特の技術移転は難しい。異なる仕組みで回っている組織の中に別の仕組みを短時間で入れるのは至難の業だ。肩で風を切っていた新参者はいつしか居場所を失い、「こんなはずじゃなかった」と去っていく。そしてまた、別の居場所を探す。業界では一番長くいた会社の名前を枕詞(まくらことば)にして「〇〇くずれ」と揶揄(やゆ)される。
それよりも今回のことで驚いたのは、田辺容疑者によるデータの不正入手の疑いが表面化したのは2021年7月にもかかわらず、1年以上経過した10月3日になってようやく本人が申し出て辞任したことだ。そもそも21年6月に、はま寿司側の告訴を受け、不正競争防止法違反容疑で警視庁の捜索を受けた時点で、辞任か解任されてもおかしくない。
疑いをかけられて1年あまり。田辺容疑者本人もデータの入手を認めていたにもかかわらず、社長の座にとどまっていたのはなぜか。逮捕からの数日間、田辺容疑者は留置所から経営の指示を出し、営業報告を受けていたのだろうか。この会社にとっての社長とは何だったのか。
■軽量級にみえる社長職
カッパ・クリエイトを巡ってはここ10年ほどは経営不振に悩まされ、10年度に回転ずしチェーンの業界トップの座をあきんどスシロー(現FOOD&LIFE COMPANIES)に譲ったあとはズルズルと順位を下げ、現状は4位に甘んじる。地道な営業面での取り組みの決め手を欠き、M&A(合併・買収)による起死回生を狙うが、迷走を重ねた。
14年に現在の「牛角」などを手がけるレインズインターナショナル、大戸屋ホールディングスなどを傘下に持つコロワイドに駆け込んだ。そこからかっぱ寿司の社長は目まぐるしく代わった。それほど軽量級にみえる社長職でありながら、田辺容疑者はなぜ社長職に居続けたのか。営業秘密持ち出しは許されることではないが、社長に居座ったことのほうが不思議でならない。
カッパには指名・報酬諮問委員会があり、取締役会に答申でき、取締役会は代表取締役の選任・解任ができるはずだ。株主総会でも同様に選任・解任ができる。22年6月に同社は「当社取締役会の実効性に関する評価結果の概要について」を公表した。そこには「当社取締役会は、審議に適した規模、構成、多様性を備えており、当社にとって適切なものとなっております(中略)取締役会の実効性は十分確保されていると評価いたしました」とある。
ガバナンス(企業統治)ならぬ、カッパナンスは、いったい、どこを、何を見ていたのだろうか。おそらく長年の混乱により、消費者や社会の変化に敏感であるべき外食企業の本質が薄れているのだろう。そして親会社のコロワイドの責任も重いことを忘れてはならない。

2022年10月02日 日本経済新聞
[「かっぱ寿司」法人、異例の立件 営業秘密を組織利用か]
「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト社長、田辺公己容疑者(46)や同社幹部ら3人が逮捕された不正競争防止法違反事件で、警視庁は法人としてのカッパ社を2日に同法の両罰規定に基づき書類送検する方針だ。田辺社長が持ち込んだとされる競合他社「はま寿司」の内部データがカッパ社内で商品戦略などのために組織的に利用された疑いが強いとみて、異例の法人の立件に踏み切る。
田辺社長は2020年11月のカッパ社への転職前に、かつて自身も取締役を務めていたはま寿司の内部データのファイルを不正に取得したなどとする不競法違反容疑で逮捕された。警視庁によると、ファイルにははま寿司が扱う食材の仕入れ価格や取引先、商品の原価などに関する情報が含まれていた。同庁は営業秘密に当たるとみている。
田辺社長はカッパ社に転職後に顧問となり、商品企画部長の大友英昭容疑者(42)=不競法違反容疑で逮捕=にメールでファイルを送信した。
同部長は当時の商品本部の上司や部下の2人にファイルの情報を共有したほか、自社の商品原価と比較した表を作成。田辺社長にメールで送ったとされる。
外食業界でも回転ずしは原価率が高いとされ、仕入れに関する情報は収益に関わる重要なデータとなる。仕入れ先との価格交渉にも使える。警視庁はカッパ社が商品開発などに生かすため、競合するはま寿司の営業秘密を組織的に共有して活用していた疑いがあるとみて調べている。
不正競争防止法は不正の利益を得る目的で他社の営業秘密を入手したり、自社の業務に使用したりして侵害する行為を禁じる。加えて、流出先の組織で業務として営業秘密の開示や使用が行われた場合に両罰規定が適用される。
罰金は5億円以下(海外法人で使用されれば10億円以下)で、警視庁はこの規定をカッパ社に適用して書類送検する方針だ。
営業秘密侵害事件で法人が刑事責任を問われた例は少ない。「転職に有利になる」など個人的な動機で犯行が行われるケースが多いからだ。
警察庁によると、17~21年に全国の警察が摘発した営業秘密侵害事件は約100件に上る。このうち、両罰規定を使って法人も書類送検されたケースは1件だった。事件の詳細は非公表とされているが「大手の企業ではない」(同庁)という。
法人の刑事責任を立証するには、役員や社員が自社の業務に関して他社の営業秘密を活用したといえるかがポイントになる。今回は商品部門で複数の幹部らにデータが共有されているうえ、自社の商品原価と比較する表も作っていたとされ、警視庁はカッパ社の業務に営業秘密が使われたと判断したもようだ。
警視庁はカッパ社を巡る捜査で、社内でのデータの共有や活用状況の把握を進めている。田辺社長や大友部長らファイルを受け取ったとされる幹部らの認識を詳しく調べ、データを活用して利益を得ようとする目的があったことを裏付ける方針だ。

2022年09月30日 日本経済新聞
[かっぱ社長逮捕 価格競争背景に、仕入れ情報が要]
回転ずし業界で価格競争が激しい
回転ずし店大手「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイトの田辺公己社長が競合の「はま寿司」の営業秘密を不正に持ち出した疑いで警視庁に逮捕された。かつては業界首位だったカッパだが業界4位に低迷している。回転ずし業界は1皿100円程度が多い。食材価格が高騰するなか価格競争も激しく、仕入れ情報は収益を左右する。
一般的に外食企業のデータには、立地ごとの集客状況や食材の仕入れ情報などがある。出店戦略やメニュー開発などに有用で外食業界の核となる。中でも回転ずし業界における仕入れ情報は重みがある。
回転ずし業界は1皿100円程度が多い。価格を維持しながら集客力を高めるためには、いかに品質の高い水産食材を安く仕入れられるかが勝負となる。各社とも独自のネットワークも駆使しながら調達ルートを開拓することに注力してきた。仕入れ情報が他社に流れると、「手の内がばれてしまう」(回転ずしの関係者)。
新型コロナウイルスの感染拡大のなかでも、回転ずし業界は好調が続いてきた。すしは家族や年代を問わず人気なうえ、「出前」や持ち帰りとも相性が良い。自宅で食事を取りたいという需要も取り込み、業界1位の「スシロー」を運営するFOOD&LIFE COMPANIESは2021年9月期に大幅な増益となった。
だが、現在は回転ずし業界に逆風が吹いている。水産食材のコスト高が経営を圧迫し、スシローと2位のくら寿司は10月から値上げを実施する。スシローは郊外型の店舗で1皿の最低価格を110円から120円に、くら寿司は115円にする。2社とも原材料高や円安を背景としたコストアップが吸収しきれず、長年守り続けてきた「1皿100円」(税抜き)が終わる。
一方、業界4位に低迷するかっぱ寿司は客離れを防ぐために110円の最低価格を据え置く戦略をとった。回転ずし業界で対応が分かれ、競争が激しくなっている。
世界的に水産食材の価格が高騰しているなか、コスト上昇が経営の重荷となっており仕入れ情報の価値は高まっている。外食産業は人材の流動性も高く、「ノウハウを持つ競合会社からの転職は重宝される」(外食関係者)との指摘もあるが、ある関係者は「情報は経営の根幹。データを持ち出したらクビどころではない」と語る。

2022年09月30日 日本経済新聞
[かっぱの田辺社長 外食の幹部歴任「強引な側面も」]
逮捕されたカッパ・クリエイトの田辺公己社長(46)は大学卒業後の1998年、外食ブランド「すき家」を運営していたゼンショー(現ゼンショーホールディングス)に入社した。昇進を重ね、2009年4月に経営企画室のゼネラルマネジャーに就任した。
その後はグループが運営する外食チェーンの経営幹部を歴任する。14~17年に「はま寿司」の取締役を務め、17年にファミリーレストラン「ジョリーパスタ」の社長に就任。18年12月には別の外食チェーンの運営会社社長に就いた。
ゼンショー関係者は手腕について「ビジネスの推進力や発言力、積極性があった」としつつ「強引な側面もあった」と証言する。20年11月にライバル会社のカッパ社顧問に転じると、ゼンショー側では「古株なのになぜ」と驚きが広がったという。
外食大手コロワイド傘下のカッパ社は東証プライム上場で、全国に約300店舗(22年3月末時点)を展開する。22年3月期の連結売上高は672億円。はま寿司は約550店舗(同)で、22年3月期の連結売上高は1300億円。

2022年09月30日 日本経済新聞
[営業秘密、高まる漏洩リスク かっぱ社長逮捕]
回転ずし店「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト社長の田辺公己容疑者が30日、不正競争防止法違反の疑いで警視庁に逮捕された。転職前に在籍していた「はま寿司」の仕入れ情報を不正に持ち出した疑いがある。雇用の流動化が進むなか、同様の事件は増え、企業は営業秘密の「漏洩リスク」に直面する。海外でも機密情報の管理は厳格化の流れが強まっており、経営側と従業員側の双方で情報管理意識の徹底が急務だ。
データはすしの原材料となる魚介類の仕入れ値や取引先などがリスト化されていたとみられる。仕入れや価格戦略に直結する「手の内」で、競合先に渡ればコスト面で相手が有利になる可能性がある。
田辺社長がカッパ社に転じた2020年秋は新型コロナウイルスの影響で外食各社が苦戦を強いられていた時期に重なる。事件の背景に苦境や焦りがあった可能性があり、捜査はなぜ内部情報を持ち出したのかなど動機の解明が最大の焦点となる。
企業が秘密として管理する技術や営業の情報は「営業秘密」と呼ばれる。持ち出しが罪に問われるのは①秘密として管理されている②事業などに有用③公然と知られていない――の3要件を満たす場合だ。
警察庁によると、全国の警察が21年に検挙した営業秘密侵害事件は過去最多の23件。大手企業が絡む刑事事件は主に技術情報の流出だったが、今回のように事業に有用などの要件を満たせば営業に関する情報も刑事罰の対象となる。
営業秘密侵害の刑事罰が導入されたのは03年の不競法改正だ。以降、罰則引き上げなどの法改正を重ねてきた背景のひとつに雇用の流動化がある。
総務省の労働力調査によると、国内の転職者数は19年に過去最多の351万人を記録。転職希望者も21年に889万人で最多となった。一方で、情報処理推進機構(IPA)の20年の調査で、情報漏洩が発生したと回答した企業の漏洩ルートは「中途退職者」が36.3%で最も多く、前回の16年調査から7.7ポイント増えた。
営業秘密に対する厳格な対応は世界の潮流だ。グローバル化に伴う技術開発競争が激化し、営業秘密の保護は今や国際的な競争力に直結する。欧州連合(EU)は16年に営業秘密の保護を法制化する指令を採択。加盟国間でばらつきがあった営業秘密の定義や侵害行為の基準を定め、法整備を促した。
刑事罰を重視する米国は、経済スパイ法が営業秘密侵害を重犯罪として扱う。東京大の玉井克哉教授(知的財産法)によると、有罪となれば多くの場合、実刑判決は免れない。玉井教授は「雇用の流動性が高い米国では転職に伴う情報の流出に厳格に対処する環境が早くから整ってきた」と指摘。「日本でも会社側が対象情報を明確化し、従業員も理解を深めるなど相互にリスク管理の意識を高めていく必要がある」と話している。

2022年09月30日 日本経済新聞
[かっぱ社長を逮捕 営業秘密不正取得の疑い]
回転ずし大手「はま寿司」の営業秘密を不正に取得したなどとして、警視庁は30日、「かっぱ寿司」を運営するカッパ・クリエイト社長、田辺公己容疑者(46)ら3人を不正競争防止法違反(営業秘密領得)などの容疑で逮捕した。
競合企業の営業秘密を侵害したとして、上場企業の現職社長が逮捕されるのは異例。警視庁は持ち出された営業秘密がカッパ社内で共有、活用されたとみて法人としてのカッパ社も同法違反容疑で書類送検する方針。
田辺社長は外食最大手ゼンショーホールディングス(HD)出身で、子会社のはま寿司で取締役を務めた。2020年11月、外食大手コロワイド傘下のカッパ社顧問に転じ、副社長を経て21年2月に社長に就いた。
田辺社長の逮捕容疑はゼンショーHDに在籍していた20年9月末ごろ、はま寿司の仕入れ値などのデータファイルを外部サーバーにアップロードさせて不正に取得。カッパ社に転職後の同年11~12月に同僚に送信するなどして開示・使用した疑い。
不正競争防止法は企業の営業秘密を不正に取得する行為などを禁じる。不正な利益を得る目的で違反した場合、懲役10年以下か罰金2千万円以下、またはその併科と規定。法人への両罰規定もある。
カッパ社は東証プライム上場で、全国に約300店を展開している。22年3月期の連結売上高は672億円。
警視庁は21年6月にカッパ本社など関係先を家宅捜索し捜査を進めていた。
カッパ社は30日、田辺社長らの逮捕を受けて「多大なご迷惑とご心配をおかけし深くおわび申し上げる。捜査に全面的に協力していく」とのコメントを公表した。

2022年09月30日 読売新聞オンライン
[かっぱ社長 田辺公己容疑者(46)逮捕 不正競争防止法違反容疑]
すし原価など「秘密データ」部下使い外部送信…かっぱ寿司社長、持ち出し疑念避ける目的か
回転ずし大手「はま寿司」の営業秘密とされるデータが同業の「かっぱ寿司」に漏出した事件で、かっぱ寿司を運営する「カッパ・クリエイト」社長の田辺公己容疑者(46)(不正競争防止法違反容疑で逮捕)が、部下に指示してデータを外部サーバーに送らせていたことが捜査関係者への取材でわかった。警視庁は、退職時のデータ持ち出しを疑われぬよう部下を使った可能性があるとみている。
捜査関係者によると、田辺容疑者は、はま寿司の取締役などを経て親会社「ゼンショーホールディングス」の幹部をしていた2020年9月中旬~下旬、ゼンショーに退職を申告した。その後の同30日頃、当時の部下に指示し、すしの原価などに関する営業秘密のデータを外部のサーバーに送信させていた。
データは社内で閲覧制限がかけられていたが、田辺容疑者には接続権限が付与されていた。指示を受けて送信した部下には、かっぱ寿司側に不正に漏出させるという意識はなかったという。
だが、田辺容疑者は同11月1日付でカッパ社の顧問に転じ、その後、入手したデータをカッパ社幹部に提供していたという。
データは二つのファイルで、すしの原価のほか、食材の種類、ネタとして使う魚介類の仕入れ値などに関する情報が入っていた。カッパ社はこのデータをもとに、はま寿司と自社の商品原価などを比較する表を作成し、経営幹部らの間で共有していた。警視庁は、カッパ社側が不正に入手したデータをメニュー開発や価格設定の参考にしていたとみている。

 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿