水産業界事件記録

水産業界で発生した事件の報道記録

“漁獲不正”で脅す 組長追起訴で釧路地検言及―根室漁協恐喝

1998-12-22 10:26:13 | 日記
北海道新聞98/5/25
漁協組合長から五百万円を脅し取る―暴力団組長を再逮捕 
【根室】根室漁協の理事が暴力団に脅迫された事件で、道警釧路方面本部捜査課と根室署は二十五日、根室サケ・マス部会長の万屋喜一郎根室漁協組合長(63)から用心棒料として現金五百万円を脅し取った恐喝の疑いで、根室市昭和町四、指定暴力団稲川会系加藤興業組長、職業不詳根塚邦明被告(53)=暴力行為処罰法違反(集団的脅迫)で起訴済み=を再逮捕した。
調べによると、根塚被告は一九九七年七月下旬から数回にわたり、万屋組合長に対し、「よそから別の暴力団が入ってトラブルにならないように、おれが地元の監視をしてお前たちを守っている。一隻二十万円だ。五百万円でも安いくらいだ」と用心棒料五百万円を要求。九月三日に三百万円、五日に二百万円の合計五百万円を同組合長から脅し取った疑い。捜査関係者によると、五百万円は金融機関の口座に振り込む形で支払われていた。
捜査の端緒は、同漁協などに所属する船主でつくる同サケ・マス部会が「暴力団に脅され用心棒代を支払っている」という風評で、道警釧本などは引き続き余罪を追及している。
万屋組合長は北海道新聞の取材に対し「癒着を断ち切るために被害届を提出した」とし、金銭支払いの事実を認めているが、五百万円の出所などについては明らかにしていない。
根室漁協は組合員二百三十一人。昨年はロシアからの輸入水産物が約六十六億円にのぼり、総取扱高二百二十三億円で道内の漁協でトップ級。加藤興業は構成員約四十人。


北海道新聞98/7/8
“漁獲不正”で脅す 組長追起訴で釧路地検言及―根室漁協恐喝
【釧路】根室漁協組合長らが暴力団に現金を脅し取られていた事件で、釧路地検は七日、恐喝の罪で根室市昭和町二、暴力団組長、無職根塚邦明被告(53)=暴力行為処罰法違反(集団的脅迫)の罪で公判中=を釧路地裁に追起訴した。起訴状で同地検は、暴力団が「サケ・マス漁船が水揚げをごまかしている」として漁協幹部らを脅したことを初めて明らかにした。
起訴状によると、根塚被告は一九九六年六月、サケマス漁業会社の幹部が、日本のサケ・マス漁船を検査するロシア人監督官と海上で接触したことにつけこみ「特定の船のベニザケの漁獲量が多いのはどういう訳だ。違反をもみ消しに行ったろう。漁獲量の問題を新聞に発表したら大変な問題になるぞ」などと脅し、現金五百万円を脅し取った。
さらに、昨年八月中旬、全国鮭鱒流し網漁業組合連合会(全鮭連)会長や根室サケ・マス部会長を兼ねる根室漁協の万屋喜一郎組合長(63)に対し、同漁協漁船の水揚げ金額を記載した書類を示しながら「この書類が公になれば大問題だ。国際問題だ」などと脅し同九月上旬、現金計五百万円を受け取った。
同漁協をめぐる事件で、これまで捜査当局は、用心棒代などを脅し取っていたとするだけで、漁獲割当量オーバー問題に言及したのは異例。
この問題について、暴力団に金を渡していたサケマス船主は「不正に目を付けられ、昔は船主が脅されて払っていたが最近は、毎年自主的に各船から資金を集めて払うあいさつ料というか、利益供与だった」と述べている。複数の同漁協関係者によると、同漁協と暴力団との付き合いは三十年以上前にさかのぼり、かつては同漁協関係者が窓口となり、出漁する船主から一律現金を集め、数百万円単位で地元暴力団に渡していたという。
北洋サケマスの漁獲量をめぐっては、道庁、水産庁ぐるみで漁獲割当量を上回る水揚げをしてきたことが一九九二年表面化。その後、是正されたはずだった。
川淵克朗全鮭連専務は「肯定も否定もする立場にない」としている。


北海道新聞98/10/13
20年前から用心棒代 根室漁協恐喝の組長が公判で証言 釧路地裁
【釧路】北洋サケ・マス漁で違反操業をしているなどとして根室漁協のさけます流網部会から金を脅し取り、恐喝罪に問われている根室市昭和町四、暴力団組長、無職根塚邦明被告(53)に対する第五回公判が十二日、釧路地裁(田村真裁判長)で開かれ、根塚被告は、二十年ほど前から地元暴力団が用心棒代などとして部会から金を受け取っていたと証言した。
証言によると、地元暴力団は以前からサケ・マス水揚げ量違反が根室以外の暴力団に気付かれないように水揚げ時に見張りなどをする見返りとして「個別に船主からその都度十万、二十万円ともらっていた」。一九七八年ごろからは同部会と関係ができ、「副部会長などを通じてほぼ隔年で五、六百万円を受け取るようになった」という。
起訴状によると、同被告は九六年六月、業界団体の全鮭連役員に対し、違反操業のもみ消しを図ったなどと因縁をつけ、同部会から計千万円を脅し取った。