犬小屋:す~さんの無祿(ブログ)

ゲゲゲの調布発信
犬のこと、人の心身のこと、音楽や自作のいろいろなものについて

カセットテープを捨てる

2022年12月23日 | 日々
[あらすじ] アメリカ文学専門の亡父と、
国語国文学、主に万葉集や奄美方言を専門とした老母の
家も沈むほど大量の蔵書を遂に処分しようと準備している。

書庫として地下室を作り、スチールの書架を設置して
本を詰め込めるだけ詰め込んでいた。

書架と天井の隙間にもカードの詰まった箱が。
老母は辞書編纂の仕事に常に携わっていた。
語彙ごとに、カードを作るのが、当時のやり方だった。

通路の奥には、大量の「著者在庫」が、包みのまま積み上がっている。
著者在庫と言うより、自費出版して、買い取った分なのかもしれない。

老母が主著として出したのは、和泉式部集の語彙の索引だ。
おお。
研究者には必要だが、読む分にはまったく要らないもの。
そして、データ化が基本の今日では、研究者にすら無用のものとなってしまっているだろう。

捨てるしか無いのだろうか。
さすがに胸が痛む。



辞典として出版されたら、元のデータであるカードはもう不要なのだろうか?
編纂者としてはどうなんだろう。

何を取っても、今はデジタルの時代であり、
紙のカードは無用だろう。
古い出版物も、PDF経由でテキストデータ化できて検索できる。
と、あんまり知識の無い私のような者にも、方法は有るくらいだ。
やれやれ。



さらに、録音資料が有る。

琉球や奄美の方言研究に携わっていた。
あちこちの島へ行って、地元の方言話者に、
いろんな言葉をしゃべってもらって録音し、
それを発音記号に書き起こして記録していく。といったような仕事だ。

そういったカセットテープが山と有る。
が、これまた紙の本よりも湿気に弱い。

沖縄の方言調査のテープは、ひょっとするとコピーがセンターに有るのかもしれない。
しかし、『奄美方言分類辞典』の内容を著者自身に話してもらって録音したものは、
このカセットテープだけだったりするのだろうか?
分からない。
分からないうえに、カビてしまっている。

とても残念だけれど、捨てる。



写真のようなケースが8個有る。

以前、別の地下室に保管していたカセットテープがカビていて、
同様に大量に処分したことが有る。



40本が収まる金属のケースから、一つずつ出して、
紙のラベルを抜き取り資源ゴミに、
シールは可燃ゴミに、
カセットテープはプラスチックケースに戻して不燃ゴミに
分別する。

カビていないうちから何本かは、
車で聴いてみようかな?
我が車のカーステレオはカセットデッキが付いているのだ。

『奄美方言分類辞典』の、奄美出身である共著者の家には
幼かった私も何度もくっ付いて行っている。
独特のイントネーションは今も耳に残っている。

録音を聴いたら懐かしい思いに包まれることだろう。
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あけましておめでとうございます | トップ | 父の遺産、母の遺産。 »

コメントを投稿

日々」カテゴリの最新記事