[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々、
8泊9日のショートステイに入っている。
創世記の神は7日目に休んだそうだが、
私は6日目に休んでいる。
レスパイトとは、介護者の休養を意味する。
ステイ中は介護のレスパイトにはなるが、
家事は質量ともに普段以上の事をする。
粗大ゴミを出し、押し入れと物置を片付け、
鍋とシンクを磨き上げ、庭の木を三本剪定したら、
くたびれちゃったよ。 . . . 本文を読む
テレビを観ない。
テレビを観なくなって何年になるか分からない。
テレビ番組の内容云々が理由なのではなくて、
テレビを点けてあると次から次へと観てしまうことや、
観ないなら観ないで消しゃあいいのに点けっぱなしにしがちなことや、
しゃべりのテンポが速すぎることや、
曜日によらない生活をしていることや、
ビデオデッキが故障してそのままほったらかしにしたことや、
あれやこれやが理由だった。と思う。
テレ . . . 本文を読む
朝6時の介護士さんが言う。
「庭の白い花、なんですか?きれい。」
桃の木の花かな?いや視線が下か。じゃあクリスマスローズかな?
と、思った時に、電撃が走った。
思い出した!
※
介護士さんの指さしたのは窓のすぐ外の足元で、それはなんのことはない花だった。
ハナニラです。
ほとんど雑草のような草花だ。
どこにでも生えてくる。
道端にも咲いている。
友人Kのお母さんは「ニラバナ」と呼ぶ。
な . . . 本文を読む
[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知少々が、
8泊9日のショートステイ。
古い布団を粗大ゴミに出し、焦げた鍋を磨き、シンクにこびり付いた石灰を落とし。
日常の中ではできないあれこれを片付ける。
楽しみもある。
タラの木を切って、芽吹かせるための作業をした。
今年は出遅れたので、先端の芽は伸びきっている。
しかし、やわらかいので充分食べられる。
飼い犬ジーロ13歳8ヶ月去勢オスは . . . 本文を読む
[あらまし] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々は、
昨日から8泊9日のショートステイ。
朝、布団を厚いほうから5枚、粗大ゴミに出した。
押し入れからは、更に布団が出てくる。
数を数え、次の粗大ゴミ収集の予約を取る。
捨てない布団を片付ける前に、押し入れはしっかり掃除しよう。
すのこは天日に干す。
次の粗大ゴミ収集予約の日まで、捨てる布団は物置に入れておこう。
と、物置を開ければ . . . 本文を読む
[あらまし] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。
昨日は二度目の大学病院受診。
少し新たになった処方を近所の大混雑薬局で受け取り。
※
薬局に、しゃべり続けている女性がいた。
窓際にソファが並び、みんな、60分かそれ以上の待ち時間をおとなしく待っている。
広い待合室の隅にはキッズコーナーが有り、子どもたちはそこで遊んでいる。
奥には、体脂肪計や血圧計や骨密度計や脈波計が有る。 . . . 本文を読む
[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。
大学病院を受診することにした。
神経内科で担当してくれることになった医師は、
若い男性の医師であった。
彼の独特の雰囲気は、「うちの息子」のような感じだった。
私には息子はいないが、ドクターはとにかくなんだか
うちの息子と感じさせる。
別に「晩飯要らねえ」と言われたわけでも
「勝手に開けんなよ」と言われたわけでも
「るっせーなクソば . . . 本文を読む
[あらまし] 3年半前、ずっと敬遠していた陶芸を始めた。
先生が何年越しでしつこく誘ってくれていたところに、
友人Kが「陶芸やりたい」と言い出したので、
ほんじゃこの機会に私も、と乗っかってみたのである。
始めてみたら、見事にはまった。
今までやってきた絵や細工や鉱物の勉強などなどが
一つにまとまる世界が陶芸だった。
これだ!という気がした。
そこは月に一回だけのヒミツの陶芸サークルだった。
. . . 本文を読む
半磁器土は、心地よく削れる。
轆轤で挽いて延ばすのは、私にはまだ難しそうで、試していない。
大まかに形を作って、よく乾かしてから削る。
しかし、脆いので、削る時にどこかに力が掛かって折ったり割ったりすると悲しい。
一回素焼きしてから、削る。
素焼きしたってまだまだ弱いから、うっかりした所に力が掛からないように注意を払いながら、削る。
※
中国古代の書聖、王義之は、鵞鳥を好んだという。
食べる . . . 本文を読む
[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。
かかりつけ医に断られてしまったので、訪問診療に切り替えたいが、
その前に一旦、大学病院を受診しよう。
夜間に立ち歩いて転倒する、というパターンが有った。
その対策として、大き目のパッドを入れて、
夜間はトイレに立たずにおむつの中で小用を足す、ということにした。
これは、本人も承諾しているのだが、そう決めたからってすぐに出るもんでもな . . . 本文を読む
[あらすじ] 今まで敬遠してきたことをやろう。
5年前にはカムアウトし、3年半前には陶芸を始め、
2年半前に、今まで敬遠してきた毛筆書道やサンスクリットやヨーガを始めた。
程度の差は有るが、習慣化し、既に私の一部となった。
またぞろ、取り組みたい欲求が春の虫のようにわいてくるじゃないの。
いろいろ考えた。
自分が既に築いている価値観から外れることをやってみよう。
怖い事。
無意味だと思っている事 . . . 本文を読む
人の歩き方を真似することができる。
骨格が違うのだから、限度は有る。
でもその骨格の違いを作ってきたのが歩き方だ、と言える部分も有る。
それは顔真似にしたって同じことだろう。
日頃の表情がその人の顔貌を作っていくという面は大きい。
容貌と言うように、
歩き方の形を歩容と言う。
※
このところ、視力が落ちた。
いや、視力が落ちたという言い方は不正確だ。
見えにくくなった、と言った方がいい。
い . . . 本文を読む
[あらすじ] 探し物が見つからない時は、お釜を紐で結ぶと出てくる、という。 まさかそれを鵜呑みに信じたわけではないが、やってみた。 すると、本当に見つかったのだ。 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々。 室内で転倒して起き上がれなくなった時などにヘルパーさんを呼べるように、 介護事業所にコールが繋がるボタンを、常に首に掛けている。 それが、無い。と言う。 本人と、介護士さんと、私の . . . 本文を読む
[あらすじ] 同居母86歳パーキンソン病要介護2認知症状少々、
十年かかった医者で「うちでは診きれない」と言われ、
他を探すことに。
といった次第で、近所の大学病院を受診した。
初めまして。とお互いに挨拶を交わした医師は、
三十代前半かと見える、男性の医師。
パーキンソン病の薬の問題、蜂窩織炎のこと、足の指の間の問題、
心肥大のこと、訪問診療にするかどうか、今後の方針、
などなど、丁寧にひとつ . . . 本文を読む
家。
家というのは、自分の領域で、
そこで安心して休める所だと思う。
うたた寝したり屁ぇこいたり裸でうろついたり、する。
家に、自室が有る。
ここが私のねぐらなわけだが、
どうも、このところ、ここでも休まった気があまりしない。
家にいると、母に何かと呼ばれる。
そのうち、呼ばれなくても呼ばれることに構えるようになってくる。
結局、自分で自分の首をしめているようだ。
呼ばれたくないならと、外出す . . . 本文を読む