テリー・イシダの『独酌酔言』。

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少しでも分かりやすく!コロナウイルスの事⑫日本のPCR検査数、何件まで増やせばいいのか?

2020年04月12日 | コロナウイルス2020

少しでも分かりやすく!コロナウイルスの事⑫

日本のPCR検査数、何件まで増やせばいいのか?

◆緊急事態宣言が4月7日(日)に発表、8日(月)から実施、

即実施かと思いきや、、、政府と自治体(まずは東京都)との間で、営業自粛要請の業種範囲を巡ってグズグズして、10日(金)にやっと東京都が具体的な内容を発表しました、

が、政府の“経済維持”への配慮が大きすぎて、なにやら骨抜き、妥協の産物、日本社会でよくある“中途半端な折衷案”になったように感じます、

これで人との接触8割削減が可能なのか?不安です、

◆初期段階で極端に少なかったPCR検査、

さて、PCR検査数の少なさに不安を持っている人が多いと思います、

初期段階での「PCR検査数の絞り込み戦略」の内側に迫った番組が4月11日(土)21時~NHK総合で放送されました、

『NHKスペシャル▽新型コロナウイルス瀬戸際の攻防~感染拡大阻止最前線からの報告』、

実は前半を見逃してしまったのですが(無念)、3月までのPCR検査の実施絞り込み戦略について相当理解が深まりました、

NHKオンデマンドとかスマホアプリ NHKプラスで観れると思います、ぜひ!

で、番組の中では概ねワタシが想像していたような“クラスター潰し”戦略が紹介されていました、

戦略の是非評価は終息後の科学的調査に任せるしかないと思いますが、

初期段階でのPCR検査の絞り込みはしっかりと考え抜かれた戦略であったと感じました、最前線のクラスター対策班の奮闘には感謝したいと思います、

東北大学教授の押谷仁氏とともに、現場で指揮を執られた感染数理学者の北海道大学教授の西浦博氏のコメントがしっくり来ます(ワタシの頭の回路が統計学的なので^^)、

クラスター班のツイッターもあります ⇒

◆安倍首相が1日2万まで増やす!と宣言したPCR検査の推移

さて、4月1日以降の国内でのPCR検査数の推移はこんな感じです、
※厚生省の日報の数字を基にしています
※記載日の午後0時(正午)までの集計数値のため、マスコミ報道とはずれがあります
※検査結果が出るタイムラグがあるので、1日単位でのPCR検査数と新規感染者数の比率はあまり意味がないと思います
     総感染者数 新規感染者数 PCR検査数  陽性出現率
4月 1日  2178 +225 +2011 11.2%
4月 2日  2381 +206 +2    
4月 3日  2617 +236 +2821     8.4%
4月 4日  2935 +318 +3436     9.3%
4月 5日  3271 +336 +1757    19.1%
4月 6日  3654 +383 +1533    25.0%
4月 7日  3906 +252 +9139    2.7%  緊急事態宣言
4月 8日    4257 +351  +6187     5.7%  
4月 9日  4768 +511 +2889     10.7%
4月10日    5347   +579    +4384      13.2%
4月11日   6005 +658  +6120  10.8%

それなりに増えていますが、1日2万検査には程遠い数量です、

なぜ増えないのか?分かりません、設備、人員、保険所・医師の判断などいろいろと理由はあると思いますが、、、

現場は大変でしょうが、首相がハッキリと表明した以上、今後も検査数増加に努力してほしいです、

◆さて、適正なPCR検査数とは?どれくらい検査したらよいのでしょうか?

これがよく分かりません、未知のウイルスとの闘いです、未だ明確な基準は無いのかな?

まずざっくりとトレンドと実態を追うと、

■WHOもPCR検査数拡大が望ましい、というのが基本スタンス
■韓国のPCR検査数、42万件(4月1日現在)、感染者数10,480人(4月11日現在)
■日本のPCR検査数、74,891件、感染者数6,005人(いずれも厚生省資料4月11日現在)
※米国は積極的に検査を行っているようですが、直近の数字は不明(分かりませんでした)、、、

日本のPCR検査数が圧倒的に少ないので、『地下感染者がうじゃうじゃいるのではないか?』と云う不安感が根強くあります、

2月に感染爆発を起こした韓国ですが、その後は封じ込めに成功(これは参考にすべき先例です)、検査が多いと封じ込めることが可能なのか?

では、どれくらい検査したら良いのか?を考えるのに、少しだけヒントになる数字がありました、

検査拡大に積極的なスイスからの報告です、青文字はこちらのサイトから引用 ⇒

■スイスのPCR検査数、

スイスで4月5日までに実施された検査数は合計15万8千件。人口100万人当たりの検査数は1万5000件を超えた。英紙フィナンシャル・タイムズによると、スイスは住民1人当たりの検査数が世界でも特に多い。

この数字を日本に適用すると、、、

日本の国内人口1億2600万人とすると、スイス並みのPCR検査密度は約190万件となります、

あちゃ!日本が如何に少ないかがよく分かります、

また、こんな記述も、

「一般的な基準として、10件の陰性判定に対し1件の陽性判定が出る検査体制は全ての感染者を特定できていると言える。このレベルの検査体制を敷く国を我々は大いに歓迎する」

検査結果の大部分が陽性であれば、その国は十分な検査をしていないということだ」と付け加えた。大規模な検査を実施している国では、検査数に対する陽性者の割合は12%未満とされる。ちなみにスイスは4月1日時点で15%だ。

上記の理解はちょっと分かりにくいですが、なんとか解説を試みます、

まず②は、、、
陽性率が10%くらいの検査であれば全体として信頼できる検査数だと述べています、

つまり、、、感染初期の日本の戦略=クラスター周辺の重点検査では、検査数が少なく、これでは“国内の感染者全体像”掴めていない!という指摘です、

もともと検査数が少ない訳ですから“全体像を掴めない”のは承知の上の戦略ですが、やはり、日本では感染者の全体像を掴めていない!という指摘は、ある程度蓋然性があるということで良いと思います(とくに4月に入ってからの日本の現状=感染爆発前夜では)、

そして③がややこしいです、

PCR検査の陽性率が12%以下になるなら、その検査は感染者の全体像を浮かび上がらせている、ということか思います、

これはスイスのように“一定数以上の検査数があること”を前提にした文脈です、

日本のように検査数自体が少ない現在の陽性出現率は参考にならないと考えます(少なくとも現時点では)、

そして、これから日本国内でも大規模な検査が実施されて、その陽性率が12%以下になった時、初めてその検査は“感染者数の全体像”を推察する指標になりうる、というふうに読めます、

ちなみに韓国の場合、総人口約5200万人/検査数42万件、100万人辺り検査数は8,077件です、おそらくこれくらいあれば検査結果(陽性出現率)が「国内の感染者総数を反映」していると考えて良いはずです、

これを日本にあてはめると、約102万件となります、現状は8万件ほど、少なくとも韓国並の検査率が目標になるような気がします、

どんどん検査をしていけば、どこかで陽性出現率が減り始める訳で(韓国ではすでに減り始めているはずです)、それが“終息を示す一つの指標”にもなります、

仮に感染者が減っても、検査数が少ないと“まだ地下感染者がいるのではないか?”という不安が残ります、

その時に充分な検査数と陽性出現率のデータがあれば、高い確度で“終息宣言”が出来るという意味でもありります、

まとめると、

・日本もPCR検査数を増やす方向に舵を切ったが、まだ十分な検査は行われていない

・PCR検査数の増加は、感染者総数の全体像の理解に役立つ

・韓国並の検査率を目指すなら、国内で100万件超検査が必要(現状は8万件ほど)

・100万件超検査をすれば、その時点での陽性出現率数値が“終息宣言”の根拠になりうる

ということかな?という結論に到達しました、ざっくりした“独酌酔言”的試算です、

4月1日~11日の国内PCR検査による陽性出現率は、4055件/40,279件=10.1%です、

1月の最初の検査からの全体の陽性出現率は、6005件/74,891件=8.0%です、
(そんなに高い訳ではないんだ、、、ますます理解が難しいなあ、、、)

このままの出現率で検査数が増えていけば、その検査は国内の感染者全体像をある程度指し示していると云えるようになるかもしれません、

その時初めて「地下感染者がまだいるかもしれない」と云う不安から逃れることが出来ます、

しかし、逆に云うと、100万件検査したら10万人以上の感染者が出てくる可能性が高いということです、、

そのレベルくらいまでは覚悟しないといけないようです、、、



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