公権力の二重性
地震や航空機衝突事故のニュースに紛れていたが,昨年暮れから今年にかけて,政治資金裏金をめぐる警察・検察の捜査と,要人への事情聴取,国会議員の逮捕が報道されている。
自民党に自浄機能がなく,野党に政権交代を含めた追求能力を欠くことから,わたしたちはやっぱり警・検察が乗り出さなければと,感じてしまう。
しかし,それだけでいいだろうか。
旧聞に属するが,昨年末の新聞記事に,公安警察に関するコメントがいくつか載っていたので,この疑問に関連して紹介する。
2023年12月18日付の朝日新聞の天声人語士は,大川原化工機の「冤罪事件」について,社長らの逮捕が,米トランプ政権の中国敵視姿勢の中で,安倍政権が「経済安保」という言葉を頻発するようになった時期と一致することを指摘し。「国益を取り違えた身勝手な論理が闊歩し,公安警察の暴走を許していなかったか」と,疑問を呈している。
また,12月29日付の朝日新聞の「耕論」には,『公安警察暴走の背景』というテーマのもと,札幌での警察による野次排除,大河原化工機の冤罪事件を題材に,3人の方のコメントが載せられている。
ジャーナリストの青木理さんは,第2次安倍政権と菅政権を,「戦後類を見ない《警察政権》」と断じ,政府の要職に警察出身者が続々と起用されたと指摘している。また,特定秘密保護法や共謀罪法といった「治安法」が成立していることにも,注意を向けている。そして,こうした中で,戦後整えられた警察と政治の相互不干渉の仕組みである,都道府県の『公安委員会』が形骸化していることに危機感を表明している。
もと東京地検公安部長で弁護士の若狭勝さんは,検察在任中に見た目でも,公安警察は特異な存在だったと述べている。そして,刑事警察は,証拠を集めて犯人を逮捕・起訴しすれば捜査は終わり,有罪が確定すれば事件は終了になるが,公安警察では逮捕は情報収集の一環で,通過点であり,微罪,別件逮捕,家宅捜査を用いて治安への脅威と見なした団体の実態を解明し,時にはダメージを与えるのが最大の任務であると述べている。警察と検察は本来なら協力関係にあるが,公安警察の活動は検察から見てもブラックボックスで,都道府県の公安委員会ではなおさらだろうと,若狭さんは述べている。
映画「ヤジと民主主義劇場拡大版」監督の山崎裕侍さんは,5年前に起きた安倍首相の札幌での街頭演説に野次をとばした市民が,警官によって身体を拘束されて排除された事件について述べている。排除されたうち一人については,昨年の6月に札幌高裁が警察の行為は違法で表現の自由を奪うものだったと判決している。山崎さんはこうした法に基かない権力の行使や,公安警察による住民運動や労働運動の情報収集は,市民運動を委縮させ。民主主義を覆すことになる,と危惧している。
わたしたちは,戦時中の特高警察など言論の自由を封殺した権力の怖さを知っている。悪いやつを取り締まって欲しいと警察を頼りにする中で,公権力がわたしたちの自由を束縛する道を広げる可能性もあるということを,わたしたちは自覚し,注意すべきではないだろうか。
さようなら八代亜紀さん
八代亜紀さんが亡くなっていた。73歳はまだまだ早すぎる。
わたしが1980年にJICAの仕事でパラグアイに赴任した時,八代さんの『舟唄』や『雨の慕情』が大ヒットしていた。現地の日系人の方々が集うカラオケでも,皆さん好んで歌っていた。
パラグアイ現地人の方々は,日本の演歌を聴くのが好きだった。特に『雨の慕情』はお気に入りで,日本語の話せないパラグアイ人の女性が,歌詞を暗記して上手に歌っていたのを思い出す。
YouTubeで,八代さんの歌をたっぷり聴いた。
ご冥福を祈ります。
STOP WAR!
八代亜紀さんの歌をYouTubeで何回も聴きました。ご冥福を祈ります。
先輩である故降旗監督の映画「駅」の北海道の酒場にて八代亜紀が歌う「舟歌」が流れる高倉健・倍賞千恵子二人のシーンが印象に残っています。このシーンが無ければ映画として印象に残らなかったと思います。残念です。ご冥福祈ります。
自民党を割って出る精錬の士はいないものですかねえ。