スポーツマスコミに考える

紋切り型・イメージ報道やめて 民放大会でシンポ アスリートがテレビに苦言 
 荒川(静香)さんは、金メダル獲得後の取材攻勢について「金メダリストの運命と、覚悟ができており、苦ではなかった。私自身は金メダリストを身近に見ていたので、対処法が身に付いていたのだと思う」と振り返り、「家族までもが取材対象になってしまったことの方が心配だった」と話した。
 栃東関は、「はたき込みで勝つとマスコミは『残念ですね』という。勝つためにやっているのに。おれは何のために頑張っているのか」と紋切り型の報道に苦言を呈した。沢野(大地)さんも「優勝しても、持っている日本記録と比較し『三十三センチ届かず』と言われてしまう」と苦悩を明かした。


 スポーツマスコミが暴走するのは、
・広告主優先主義
・過剰な選民意識
の2つが原因です。

<広告主優先主義>
 「スポーツマスコミ」なるものが世に出てきてから、幾日も経っていません。メディアの多チャンネル化によるスポーツの露出増加に対し、メディアは発展途上です。メディアとして確立していない以上、ジャーナリズムよりも広告主貢献の方が、彼らにとっては重大なテーマです。
 キャッチーなフレーズや下世話なネタで目を引こうというのには、視聴率、部数を稼いで、広告主を増やしたい=給料を増やしたい、という発想があるわけです。メディアバリューをはかる物差しが、視聴率・部数しかない今日では、彼らはこれを錦の御旗にして、選手の迷惑や不平も省みず、今日も下世話なネタに走らせるわけです。
 これに対抗するためには、安易なフレーズを多様するメディアを信用しない(見ない、買わない)、下世話なネタには反応しない、という消費者行動が必要です。あるいは批判もしていかなければならないでしょう。健全なメディア批判という新たな物差しが用意されれば、スポーツジャーナリズムも一つのジャンルとして確立されるはずです。

<過剰な選民意識>
 スポーツマスコミで働く人のほとんどは、スポーツが好きな人。それは間違いありません。そもそも悪意があって、選手に迷惑をかけたり、皮肉な報道をする人はいないでしょう。でも悪名高き記者クラブがあったり、スポーツメディアへの参入障壁があるため、彼らには「自分たちは、認められた人間。素人にはできないようなことだって、俺らにはできるんだよ」という意識が芽生えるわけです。
 テレビで車の助手席に乗り込んで、話を聞けるのは俺様だから。選手と直接交渉で取材依頼できるのは、私ぐらい。そんなことを売りにしているディレクター、記者、ライターは大勢います。というか、メディア側(テレビ局、新聞社、雑誌社)が、それを「スキル」として求めています。
 そこに選手の都合は存在しません。「仲が良いんだから良いでしょ」と一方的に思われて、断り切れない人もいることでしょう。でも「仲の良さ」を基盤とした取材の上に、ジャーナリズムは生まれるのか。大いに疑問の残るところです。選手に不快感を抱かせた上で、安易なお涙頂戴ものや裏話独白ものしか作れないのであれば、スポーツジャーナリズムなるものは、永遠に生まれないことでしょう。そして仲が良いはずなのに、その思いこみがかえって選手を不快にするケースも生まれてしまっているのです。

 金子達仁の最大の功績は、読者をロッカールームまで招き入れたことと言われています。彼の作品、それ自体は綿密な取材の下に生まれた著述であり、山際淳司以降、停滞気味だったスポーツノンフィクションに、新たな可能性を提示することに成功しました。問題は、それ以降、多くのライター、ディレクター、そして新聞記者がファンをロッカーへ招く金子的手法を踏襲しようとしたことです。オフ・ザ・グラウンドの選手の独白を独占的に入手できれば、それでスポーツ報道としての価値が生まれると勘違いしてしまったのです。
 本来ジャーナリズムの担い手であるべき「選ばれし民」達は、鋭敏な視座を見いだすことを放棄し(放棄せざるを得ない環境でもあった)、選手とのリレーションづくりという困難でありつつも安易な選択を選んでしまったのです。そこには、批判的視点の欠如という、ジャーナリズムの自己否定しかありません。

 今後、健全なスポーツジャーナリズムを生み出すために、私たちがしなければならないことに、どんなことがあるのか。先に挙げたような消費者活動も一つでしょうし、blog等のCGMを活用することも一つでしょう。スポーツを愛する人が増えてきている今、軽薄なスポーツマスコミを排除することは不可能ではない気がします。ファンの声が大きな波を引き起こして、スポーツに対する報道姿勢が変化する日が早く訪れることが願われます。
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Jリーグの熱い季節

柏と横浜Cが激闘、引き分け…J2(読売新聞) - goo ニュース

 「勝ちたい気持ちが強い方が勝つ」ということをよく聞きますが、両チームとも「勝ちたい」という思いが伝わってくる好試合でした。スタジアムの雰囲気も、日立台ならではの一体感にあふれる盛り上がりが高揚感を演出し、最高の状態。まさに両者相譲らずの試合だったと思います。横浜の3点目は、野口ピントの気持ちが前に行きすぎたのかなぁ。恐らく柏ファンは勝てる試合を落とした気持ちなんだろうと察します。ひょっとしたら、自動昇格枠争いにも、少し弱気になってしまっているでしょうか?
 でも、この後の神戸-柏、神戸-横浜の直接対決で何が起こるかわかりません。今日、日立台でサポーターが掲げたフレーズは「一心同体」。今年の神戸のキャッチフレーズは「トモニイコウ」、横浜FCの今シーズンのコンセプトも「蹴りをつける(サポーターとともに、今まで夢でしかなかったJ1昇格に必ず決着をつける)」。3クラブがほぼ横一線に並んで、残り5節。1チームは入れ替え戦で、さらなる一体感を試される。J1で必死に残留を追い求める福岡、セレッソ、京都だって、皆が一体になろうとして戦っています。最後に、ともに喜びあえるのは、どのクラブか。
 浦和、ガンバ、川崎の優勝争いはもちろんのこと、昇格、残留争い、入れ替え戦。Jリーグの熱い季節がやってきました。
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