ポルトガルの空の下で

ポルトガルの町や生活を写真とともに綴ります。また、日本恋しさに、子ども恋しさに思い出もエッセイに綴っています。

ポルト・ワイン(Port Wine)

2018-10-07 08:11:53 | ペット
2018年10月7日

ポートワインが美味しくいただける季節になりました。そこで今日はポルト・ワインについてです。

ポルトガル語では Vinho do Porto(ヴィニュ・ドゥ・ポルト)、ポルトのワインという意味です。


あえて「ポルト・ワイン」と書いたのは、昔、日本にあった赤ポートワインとよく間違えられるからです。通でもないわたしが書くのにはためらいがあるのですが、ポルトワインなくして我が街ポルトを語ることはできません。

わたしの話は、ごく一般的な知識の域を出ないと思いますが、宜しかったら読んでください。

ポルトワインは、その歴史と格調高い風味で世界のワイン通を魅了しており、食前酒、または食後酒のデザートワインとしてたしなまれます。お値段の程はピンからキリまで。

巷のスーパーマーケットで出回っているのでは、安いのは10ユーロくらいから良いものは100ユーロまで。ヴィンテージものとなると、10万円を超え、普通のマーケットなどでは手に入りません。

葡萄はポルトに注ぎ込むドウロ川上流の葡萄畑でとれたものが使われます。それらの葡萄は、摘まれてすぐに、男性たちが歌いながら一晩中足で踏み潰すのが昔カラの慣わしでした。

もっとも昨今これは、専ら観光客用のイベントとしか行われず、現在はほとんどが機械によってつぶされるようです。
 
さて、多くの人が勘違いするのですが、ポルトワインとポルトガル産のテーブルワインは大いに違います。何が違うかと言うとポルトワインは、醗酵の途中でブランディが加えられることです。 ブランディを加えることによって醗酵が止まり、糖分がアルコールに変わらずに残り、甘くて強いお酒になるのだそうな。

その後、ポルトの対岸の町Vila Nova de Gaia市の川べりに立ち並ぶ酒蔵の樽のなかで熟成され、さらにブレンドされて瓶詰めでポルトの港から世界に出荷されて来たのです。通常のテーブルウィンが10~15度のアルコール度数に比べ、ポルトワインは20度前後です

それで食事と共に飲むテーブルワインと違い、ポルトワインは食前食後酒としてたしなまれます。

今でこそ、ドウロ川上流から陸路を使って樽ごと酒蔵に運ばれて来ますが、昔はポルト独特のBarco Rabelo(バルコ・ラベロ)という帆掛け舟で、ドウロ川を下って運ばれて来ました。

ポルトワインは5種類に分けられます。

ルビーポルト:
美しいルビー色で樽熟成4、5年の若いワイン。甘口。 

タウニーポルト:
英語の黄褐色tawnyから名づけられた樽熟成6年以上。  

ヴィンテージポルト:
よい葡萄が収穫された年のぶどうのみを使って造られその年の年号がつく。
       
2年間の樽熟成の後瓶詰めされてそのまま瓶で熟成。 ラベルにはワイン会社名とともに必ず使用されている。葡萄の収穫年号と「Vintage」の表示がつく。     

レイト・ボトルド・ヴィンテージ(Late Botlled Vintage):
よい葡萄が収穫された年の一種類葡萄で造られる。 4、5年の樽熟成後瓶詰めされ、さらに瓶で熟成され、その年の年号が入る。
       
ホワイト・ポルト:
 白葡萄からつくられ食前酒として楽しまれる。他の4種類のポルト・ワインと違い、冷たく冷やして飲む。辛口。

実はこのポルトワイン、ポルトガル産物とは言うものの、上質のワインをここまで昇華させてポルトワインを世界の名だたるお酒に仕上げたのは、残念ながらポルトガル人ではなくて主にイギリス人なのですね。

わたし流に解釈すれば、ポルトワインは、本国では造ることができなかったイギリス貴族のワインであったわけです。ワイン会社の持ち主は、今では多くがイギリス人、ドイツ人などの外国人ばかりになってしまい、現在、所有者がポルトガル人だというのは、わたしが知る限りでは「Ferreira社」でしょうか。軒を貸して母屋を取られるとは、言ったものです。欲も機転もあまりないポルトガル人は、その甘い汁を持っていかれてしまったと言うことでしょうか。

ポルトガル人にしてみれば、「甘いけれども苦いポルトワインである」とわたしは密かに思っているのです。


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