映画音楽「銀嶺の果て」メインタイトル “Snow Trail” - Main theme 伊福部昭(解説:藤田崇文)

2024-01-16 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「銀嶺の果て」メインタイトル 
“Snow Trail” - Main theme
■音楽:伊福部昭 (Akira Ifukube) [1914年5月31日 - 2006年2月8日] 

映画オリジナルスコア 〜 編纂:藤田崇文
監督:谷口千吉 / 公開日1947.8.5 / 製作会社=配給:東宝=東宝 モノクロ 88分


 三人組の銀行強盗が冬の北アルプスに逃げ込んで繰り広げられる活劇人間ドラマ映画で、日本を代表する国際派俳優・三船敏郎の映画主役デビュー作である。そして、音楽担当の伊福部昭にとっても記念すべき第1作目の映画音楽作品となった。監督は本作品が監督昇進第1作となった谷口千吉がつとめ、彼の盟友・黒澤明が脚本を書き下ろした。
 映画オープニング「メインタイトル」は、ティンパニのトレモロとピアノの激しいクラスター奏法で曲が始まる。その後の拍子はかなり複雑で、各小節の拍子は2/4. 3/4. 7/8. 2/4. 3/4. 7/8. 2/4. 3/4. 5/8…と1小節ごと目まぐるしく変わり、旋律を支えるリズムと伴奏は荒々しさを表現している。
 この「銀嶺の果て」には製作現場の面白いエピソードが残っている。アルバムには挿入していないが、2人の男女が楽しくスキーをするシーンに、伊福部は冬山の神秘を表現するような音楽を用意した。コールアングレがソロでゆったりと演奏される。一方、ワルツのような楽しく軽快な曲を要求する谷口と現場で論争し、「監督と喧嘩をする作曲家」として映画界でたちまち有名になった。その後、冬山の神秘を表現するコールアングレの響きが醸し出す効果が評判を呼び、映画会社や他の監督たちから注目が集まる存在になる。

<楽譜管理:東京音楽大学 / パート譜制作:東京ハッスルコピー>

▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
King Records,The Greatest Japanese Film Scores SYMPHONIC FILM SPECTACULAR 12

▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
The Greatest Japanese Film Scores: Planning supervision(Takafumi Fujita)

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