映画音楽「乱」組曲  “Run” suite 武満徹 (解説:藤田崇文)

2024-01-20 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「乱」組曲  [Ⅰ] [Ⅱ]  [Ⅲ]  [Ⅳ]
“Run” suite  [Ⅰ] [Ⅱ]  [Ⅲ]  [Ⅳ]
■武満徹 (Toru Takemitsu) [1930年10月8日 - 1996年2月20日] 

映画音楽演奏会用編曲スコア使用(編曲:武満徹)
監督:黒澤明 / 公開1985.6.1 / 製作会社=配給:ヘラルド・エース、グリニッチ・フィルム・プロ=東宝、日本ヘラルド映画 カラー 162分


 シェイクスピアの『リア王』と毛利元就の“三本の矢”をベースに、戦国時代の武将の親子・兄弟の愛憎を描く日仏合作映画。黒澤明の監督・脚本(共同執筆=小国英雄、井手雅人)作である。戦国時代、猛将・一文字秀虎は七十歳を迎え、家督を三人の息子に譲ろうとする。兄弟三人協力し合うように、と告げたが、秀虎を待っていたのは息子たちの反逆と骨肉の争いだった。激しい騎馬合戦や燃え上がる城のダイナミズム、伝統演劇を取り入れた観念的な様式美が観る者を圧倒し、黒澤映画の世界に引き込む。
 音楽を担当した武満徹は「乱」映画使用楽曲から抜粋、再構成し4楽章からなる「乱」組曲 [Ⅰ][Ⅱ] [Ⅲ] [Ⅳ] に仕上げた。全4楽章は、三の城落城(第1、2楽章)、八幡野の戦(第3楽章)、クレジット・タイトル(第4楽章)と、映画「乱」において重要な場面を飾っている楽曲で構成され、組曲自体が映画のエッセンスとなっている。
 また、武満としては異例ともいえるティンパニを多用し、中低音域を中心とする重く厚いオーケストラの響きは、同時期に作曲された協奏曲《オリオンとプレアデス》《リヴァラン》《虹へ向かって、パルマ》、あるいはオーケストラのための《夢窓》などといった色彩豊かな音楽とは全く異なった世界を築き上げている。原曲はロサンゼルス映画批評家協会賞音楽賞、および第9回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞。

<楽譜管理:ショット・ミュージック>


▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
King Records,The Greatest Japanese Film Scores SYMPHONIC FILM SPECTACULAR 12

▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
The Greatest Japanese Film Scores: Planning supervision(Takafumi Fujita)






最新の画像もっと見る