映画音楽「赤ひげ」“Red Beard” 佐藤勝(解説:藤田崇文)

2024-01-23 | 解説(音楽解説・曲目解説)
「赤ひげ」 
“Red Beard”
佐藤勝 (Masaru Sato) [1928年5月29日 - 1999年12月5日] 

映画音楽演奏会用編曲スコア使用(編曲:佐藤勝)
監督:黒澤明 / 公開1965.4.3 / 製作会社=配給:黒澤プロダクション、東宝=東宝 モノクロ 185分


 「赤ひげ」は、日本映画界が誇る巨匠監督である黒澤明の集大成作、最高傑作ともいわれる。山本周五郎原作『赤ひげ診療譚』を、黒澤を長とする四人の脚本家が総力を上げて脚色した。江戸時代後期、徳川幕府が設置した小石川養生所(救済病院)を舞台に、「赤ひげ」と呼ばれる所長の新出去定(三船敏郎)と、長崎帰りの蘭学医である若い医師・保本登(加山雄三)の師弟の物語を通し、保本が養生所の医師として成長していく姿と貧しい暮らしの中で生きる人々の温かい人間愛を謳い上げる。
 赤ひげの生き方を称賛し、その人間的スケール感を奏で上げるヒューマンドラマに黒澤は『ベートヴェンの「歓喜の歌」』をイメージした。さらには、『フルトヴェングラーが指揮しているかのような味わい』も、と音楽担当の佐藤勝に要望した。
 実は、このアルバムへ挿入するにあたり、オーケストラ・スコア有無の確認作業に一番難儀した楽曲である。録音日が刻々と迫る中、一時は割愛も考えたが、東宝ミュージック倉庫のダンボールの中に残されていたスコアがみつかったことで、今回、録音に踏み切ることができた。この「幻の一曲」を、佐藤自身がオリジナルスコアから演奏会用に編曲したバージョンでお届けする。もしも別題名をつけるとしたら、「ベートーヴェンを敬愛する=第九交響曲第四楽章のモチーフによる変奏曲」といってもよい作品ではないかと思う。合唱はなく、オーケストラのみの作品である。

<楽譜管理:東宝ミュージック [佐藤家預かり] >


▶︎ CD発売:キングレコード:シンフォニック・フィルム・スペクタキュラー 12
King Records,The Greatest Japanese Film Scores SYMPHONIC FILM SPECTACULAR 12

▶︎ 日本映画音楽の巨匠たち 企画監修・解説とエピソード:藤田 崇文
The Greatest Japanese Film Scores: Planning supervision(Takafumi Fujita)

最新の画像もっと見る